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カルチャーの先駆者、吉田潤氏が考えるトレンドの変化とは?


「ここ数年、ヘアのオーダー方法が大きく変わりました。20年前は、アイドルやモデルの切り抜きを持ってきて、『こんな風にしてください』と言うことが多かった。今は他人のマネではなくオンリーワンを求める。SNSがコミュニケーションツールの主流となり、自己アピールが上手になってきていると思います」

SHIBUYAを中心とした日本カルチャーを見守ってきた吉田潤氏に、トレンドの変化をインタビュー。ギャル・ギャル男ブームからジェンダーレスな現代へ。

この変化に“理由”は存在するのか?

TRENDはSNSから生まれる時代へ

ここ数年、ヘアのオーダー方法が大きく変わりました。20年前は、アイドルやモデルの切り抜きを持ってきて、「こんな風にしてください」と言うことが多かったんですよ。僕たちヘアスタイリストも、輝きたいと思っている子たちに「流行りはコレ!」と、提案してあげることが仕事だったし、1日中、木村拓哉さんや森田剛さんのヘアカットオーダーが入り続ける日もあったりしてね。

でも今は、他人のマネではなく“オンリーワン”を求める。SNSがコミュニケーションツールの主流となり、自己アピールが上手になってきていると思います。日本というアジアきっての先進国の政府が、Twitterだのインスタだのと、いちいちSNSの反応を気にする時代ですからね。

ただ、“良いこと”ばかりではないのも“現代”の弊害。ネット社会化により情報(本物も偽物も)があふれかえり、オンリーワンが乱立していることにより、逆に没個性になりつつある。80~90年代は、SNSもなく、スマホもなく、連絡手段はそれこそ、家電と手紙だけだった。情報ソースはTVと雑誌と口コミだけ。色んな文化が生まれては消え、混沌とした状態が独自のカルチャーを生み出すきっかけになっていたように思います。

それこそ、ギャルとかギャル男とかね。

たっぷりエクステをつけて、何色もの色で髪を染めて、派手な格好、奇抜なメイク、ようやく手にしたガラケーにはこれでもか!!というほどたくさんのストラップをぶら下げて。
自分自身を輝かせるには、他人の力を借りず、“己の力で光る”しかなかったんですよ。

男が男として伸びなければ、“生物”としての未来はない

今は、SNSがあり、“自分”を発信できる【ステージ】が、カンペキにそろっている。
世界の裏で起った出来事だろうと、次の瞬間には情報を得られるくらい情報網が繋がり、あらゆる物が揃い、あふれていて、20年前とは格段に“用意されている”ことが違う。

なのに、僕から見ると――今の子たちは、ステージに立てただけでよろこんでしまっている気がするんですよ。「俺ってスゲェだろ?」ってSNSで発信して、少しフォロワーが付いて、誰かにコメントをもらったら、それで満足して終わってしまう。よろこんでいるだけじゃなく、ステージにはすでにたくさん人が並んでいる状態で、その中で目立つように伸びるべきだということには気が付いていない。実力は昔以上にあるはずなのに……ほんと、もったいないですよ!!

今の日本って、なんだか「ぼんやり」してるでしょう? 政治も、ヘアも、服も、すべてが。こんな風にぼんやりしていたら、他のアジア圏の国にどんどん追い抜かれてしまうだけ。このぼんやりとした社会を正すためには、メディアコントロールされず、本物の輝きを放つ奴らが必要なんです。SNSだって、今は流行っているけどいつかは終焉を迎えるんだから。

だから――これはオッサンのたわごとだと思ってもらっていいんですけどね。僕たちが支えてやるから、踏み台になってやるから、もっと学んで、吸収して、追求して、伸びていってほしい。自分たちの未来が不透明だと思うのであれば、未来を変える力を蓄えてほしい。
きちんと親離れをして、自分で考える力を養って、前へ前へ出てほしい――

男が男として伸びなければ、“生物”としての未来はないんだから。

ま、偉そうに語っちゃいましたけどね。
僕が今一番気になっているヘアの注目ポイントは、昔は長かったけど、今は短いMENS達の「エリアシ」が今後どうなるかなんですけどね(笑)
ああ……エリアシ、再生させたいなぁ。

PROFILE

 
吉田 潤 | Jun Yoshida

「ISM」代表 / 東京都出身
浜崎あゆみをはじめ、数々のアーティストの
ヘアスタイルを担当し、1990年代後半から現在まで
20年近くに渡り、SHIBUYAカルチャーをけん引する
ヘアスタイル作りに携わりカリスマとして支持を集めている。