櫻井海音
ドラマ『死ぬまでバズってろ!!』
主人公がトラウマと向き合いながら少しずつ成長していくところが魅力
現代のSNS社会を舞台にしたマンガ作品『死ぬまでバズってろ!!』が、与田祐希さん主演で実写ドラマ化されました。破天荒な生き方をする主人公・加菜子に思いを寄せる真面目な警察官・渡辺を演じる櫻井海音さんに、作品の魅力や演じる際に心がけていることのほか、俳優デビューから5年を経ての変化なども伺いました。

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<あらすじ>
パスタ屋でアルバイトをしながら生計をたてる26歳フリーター・浅野加菜子(与田祐希)。彼女の人生は、偶然撮影したひき逃げ事故の動画がSNSで大バズりしたことで、一夜にして激変する。鳴りやまない賞賛と“いいね”の通知、リポストの数々。メディアに取り扱われ、初めて味わう快感に溺れた加菜子は、より過激な「正義」を振りかざす告発系インフルエンサー・タパ子へと変貌。バズるためなら手段を選ばないその行動は、彼女の倫理観を少しずつ麻痺させていく。しかし、行き過ぎた正義は新たな憎悪を生み、いつしか彼女は匿名の中傷や批判に晒されるようになり、気づけばタパ子自身が恐ろしい復讐劇の渦中に……!?

原作や脚本を読んでの感想を教えてください。
現代のSNS社会を題材にしているのですが、すごくポップにわかりやすく描かれている作品だなと、原作や脚本を読んで思いました。だから、そこを自分のなかでどれくらいポップに、しかもタパ子のキャラを立たせながらできるか、ということを考えながら撮影しています。
作品の魅力は、どんなところに感じますか?
やはり、タパ子のキャラクターがものすごく強く印象に残ると思うんですけど。そんなタパ子が、周りの人たちを巻き込みながら、自分自身のトラウマと向き合って、少しずつ成長していくところが魅力だと思います。特に、自分が(ナイフで)刺されてでもバズってやる!という……ホントに作品のタイトルどおりなのですが、タパ子の気概に対して、すごくステキだなと思いました。
今、櫻井さんがおっしゃったように、タパ子はキャラが立っていて、渡辺は彼女に振り回される役どころです。実際に与田祐希さんとご一緒して感じることは?
与田さんの持っている雰囲気が、彼女ならではというか。常に、ものスゴいハッピーオーラが出ているような人なんです。現場のスタッフさんや僕は、そこにどうアジャストしていけるか、ということを考えながらやっています。なるべく与田さんの……というか、タパ子の動きありきで、それに対してこちらはどういうリアクションをしていくか、ということは考えています。

与田さんのお芝居によって、ご自身のお芝居が引き出された、というような場面はありますか?
僕はあまり、自分のプランとかを持っていかないタイプで。その現場で、監督が求めているものを汲み取ってやるのが自分には合っている気がするんです。今回は、与田さんがタパ子としてグイグイきてくれる……それは演出ではあるのですが、タパ子側から距離感を詰めてきてくれるので。そこに対して、真面目な渡辺は“いや、ムリー!”ってなるという。その駆け引きというか、距離感の塩梅は常に考えています。
原作のある作品に携わる機会も多いと思いますが、特に本作において、原作モノならではだなと感じたことはありますか?
原作のある作品をやらせていただくときは、ベースとして、原作の持っている空気感やキャラクターをしっかりと理解して、お芝居に反映させていくことを大事にしています。具体的には、役の動きであったり仕草であったりというところです。今回もそれを徹底してやりました。渡辺はタパ子としゃべっているシーンが多いので、原作の雰囲気を大事にしながらも、多少の動きを足していかないと映像としては成立しないんだなと感じました。
以前のインタビュー記事で、原作モノをやるときは、常に原作を見返すとおっしゃっていました。
そうですね。撮影前に原作を見て、そのシーンの絵がどうなっているのかを確認します。

櫻井さん演じる渡辺は、警察官という役どころ。タパ子への愛情と、警察官としてモラルを守ることとの間で葛藤する場面もありますよね。
渡辺は真面目なんですよね。だから、タパ子のやっていることに対してすごく不安を感じているんですけど、どうしても自分とはまったく違うタパ子に惹かれてしまう。その方程式的なものを大事にしながら、どうしたら渡辺がちゃんと真面目でいられるか、ということを考えるようにしています。
渡辺は真面目なキャラクターですが、ご自身で真面目さを感じる瞬間はありますか?
僕自身は、真面目なときもあれば真面目じゃないときもありますが(笑)、ベースとして、仕事のときは真面目でいる気がします。今、自分が何を求められているのか、この現場においてはどういう居方が正しいのか、みたいなことを常に考えているので、そういった意味では真面目かなとは思います。でも、人並みにふざけたりもしますし。オン・オフを切り替えるようにはしています。
撮影現場での印象的なエピソードがあれば教えてください。
いやぁ、いかんせん、クランクインしてまだ5日ぐらいなので(取材は8月中旬)、そんなにないかなー……あっ!亀戸で撮影をすることが多いんですけど、撮影の合間に、与田さんが餃子の差し入れをしてくださって、おいしくいただきました。そういうふうに、自然と現場を明るくしてくれる方なんです。

俳優デビューから約5年。当初とくらべて、成長したと思う部分はありますか?
ある程度の自信と余裕は出てきたかな、とは思います。自分のやってきた作品や芝居に誇りを持っているので。少しずつですが、自信みたいなものはついてきました。
自信がついたことが、役者としての自分にどのように作用するのでしょうか。
うーん、堂々と現場にいられるというか。自分からも発信できる、みたいなところですかね。
以前は、堂々と現場にいられなかった?
いや、そんなことはないんですけど。うーん、なんて言うんだろうな……自信とか余裕みたいなものは、外に向けてというよりは、自分の内側に向けて持っていると言ったほうが近いかもしれません。

画面やスクリーンを通して自分のお芝居を見たときに、以前との変化を感じたりとか。
以前は、そのギャップが大きかったんです。自分ではできていると思っていたことが、完成したものを見るとできていないとか。でも今は、わりと自分が思い描いていたとおりの画になっていたりするので、そこの乖離が小さくなったかなと思います。
そう感じる場面が多くなったのは、いつ頃からですか?
えー!?でも、ここ1、2年だと思います。
2024年に主演を務めたウェブドラマ『【推しの子】』は、多くの人に認知されるきっかけの1つになったかと推測しますが、ご自身にとっても大きな作品ですか?
もちろん!もちろん、そうです。

それは、どういった意味で?
やっぱり、この歳でこのキャリアで、あれだけの規模の作品で主演を務めるって、なかなかないことですし。(『【推しの子】』の)実写化が発表されたときは様々な意見もありましたけど、いざ配信が始まったら、「いいじゃん!」という声が大きくなっていったので。自信になりました。

櫻井海音
さくらい かいと
2001年4月13日生まれ。
前回は昨年の年末に取材をさせていただいた櫻井さん。以前も年齢の割にすごく落ち着かれている方だなと言う印象でしたが、この数ヶ月でさらに落ち着きが増していて、インタビューでもすごくどっしりとした返答だなと感じたお時間でした。またやはり大好きな焼き鳥に対しての熱意は変わらずその話をする時はすごく少年のような表情になっていて、可愛らしいなぁと思いながらお話を聞かせていただきました。後編ではその焼き鳥についてやお芝居についてなど色々伺っております。お楽しみに!
最近の出演作に、テレビドラマでは、TBS『御上先生』(‘25)、WOWOW『アオハライド Season1/2』(‘23/’24)、映画では、『カラダ探し THE LAST NIGHT』(‘25)、『お嬢と番犬くん』(‘25)、『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』(‘25)、『【推しの子】 -The Final Act-』(‘24)などがある。

©「死ぬまでバズってろ!!」製作委員会・MBS
タイトル:『死ぬまでバズってろ!!』
キャスト:与田祐希
櫻井海音 鈴木仁 星乃夢奈 清水伸 吉田ウーロン太 森香澄 新田さちか 矢野聖人
野間口徹 池田鉄洋
脚本:政池洋佑 木江恭 鶴田幸伸
監督:戸塚寛人 佃直樹
コピーライト:©「死ぬまでバズってろ!!」製作委員会・MBS
※Item Credit
ジャケット¥129,800、シャツ¥41,800/ANTOK
パンツ¥30,800/CULLNI(CULLNI FLAGSHIP STORE)
その他/私物
(プライス全て税込み)
※Team Credit
カメラマン:遥南碧
ヘアメイク:竹内未夢
スタイリスト:藤井晶子
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿
