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吉沢亮
Vol.1
映画『青くて痛くて脆い』
“人の色”が混ざり合う―
作品の中で染みわたる彼の色

「何て美しい3文字だろう…」きっと誰もがそう思う。彼の名前が至る所に流れ、張られ、存在する世界。世界の「美しい」の概念にぴったりとしっくりと当てはまる『吉沢亮』の3文字。しかし、渦中にいる当の本人の視線はいつだって自然であるがまま。猫のように飄々と自由な足取りで人生を歩いているように見える。瞳の奥に“凛々しいストイックさ”を灯らせながら―…。語られることのない努力の先で常に新しい表情を魅せ続けてくれる彼に作品のお話と3つの質問をお聞きしました。

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―作品編―

映画『青くて痛くて脆い』

<あらすじ>

人付き合いが苦手で、常に人と距離をとろうとする大学生・田端楓と空気の読めない発言ばかりで周囲から浮きまくっている秋好寿乃。ひとりぼっち同士の2人は磁石のように惹かれ合い秘密結社サークル【モアイ】を作る。モアイは「世界を変える」という大それた目標を掲げボランティアやフリースクールなどの慈善活動をしていた。周りからは理想論と馬鹿にされながらも、モアイは楓と秋好にとっての“大切な居場所”となっていた。しかし秋好は“この世界”から、いなくなってしまった…。秋好の存在亡き後モアイは社会人とのコネ作りや企業への媚売りを目的とした意識高い系の就活サークルに成り下がってしまう。変わり果てた世界。取り残されてしまった楓の怒り、憎しみ、すべての歪んだ感情が暴走していく……。アイツらをぶっ潰す。秋好を奪ったモアイをぶっ壊す。どんな手を使ってでも……。楓は、秋好が叶えたかった夢を取り戻すために親友や後輩と手を組み【モアイ奪還計画】を企む。青春最後の革命が、いま始まる― 。

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田端楓 × 吉沢亮

楓は「人との距離をとって、人と近づきすぎない」というのを生きるテーマにしている男の子。単純に「そういう風に生きられたら楽だな」と思っているんだと思います。ただ、目立つ人や積極的な人たちのようになりたい部分もあるんです。「なりたいけどなれない」みたいな。それゆえ嫉妬心や変なプライドが邪魔をして、そういった人たちを歪んだ見方で見てしまうんです。だからこそ秋好みたいにズカズカと入ってくるタイプに憧れを持ってしまう部分はすごく理解できました。人との距離の縮め方が分からなくて一本線を引いちゃう部分は僕にもあるので(笑)。現場でも本当は仲良くしたいけど距離をとってしまうことがよくあるんですよね。ただ、人から「間に合わせに使われた」と思ってその怒りをぶつけるというのは僕には共感できなかったかな。辛い思いをする気持ちも分かるんですけど、「誰だってそうじゃん」という話だと思うし。人間関係に対しての怒りは田端のようには生まれないし、ぶつけないな、と思いました。

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「一本線を引いてしまう」と仰っていましたが

そういった部分は年齢とともに変化したり…?

逆になんか開き直っちゃっている感じがありますね。22、3歳くらいから主役をやらせていただく機会が増えたこともあり、以前は「もっと頑張らなきゃ」「自分から積極的に話さなきゃ」という思いが強かったんですけど、最近は「別にいいや」と思っちゃってます(笑)。それがいいのかは分からないけれど「疲れたくないな」という思いの方が強くなってきました。

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今回の作品は登場人物一人ひとりに

人間の歪みや青さが投影されていると

感じました。

その中で吉沢さんが一番シンクロした

キャラクターは誰ですか?

それで言うとやっぱり楓かな。なんか楓って傍から見たらすごくダサいし、闇の抱え方が身勝手な男じゃないですか。勝手に自分で妄想して苦しんで落ちていく。その上、身勝手さに他人も巻き込んでいってしまう。客観視したらめちゃくちゃウザいし、気持ち悪いし、みたいな役なんですけどそういった感情や被害妄想的なものって僕にはすごい理解できたんです。なので演じながら楓に同情していました。「頑張れー」と思いながら(笑)。

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楓を演じていて

印象的だったシーンはありますか?

どこだろうなあ…。過去の楓と秋好が最後に別れる食堂のシーンがあるんですけど、そこで彼の感じた「孤独」には切なさを覚えました。

今までも闇を抱える役を

多く演じられていますよね。

こういった闇を抱えている役は演じていて楽しいんです。僕自身明るいか暗いかで言うと暗い人間なので(笑)。不思議と時期的に「こういう傾向の役が来るな」という流れがあるんです。少し前まではめちゃくちゃ明るい三枚目のバカっぽい役が多かったりだとか。「なんでだろうな?」と自分の中ですごく疑問に思っていたんです。でも最近になってこういった暗い役が増えてきて「やっと自分の人間性が見えるようになってきたのかな」と思っています。嬉しいことなのかは分からないですけど(笑)。ただ、やっていて楽しいのは確かですね。やっぱり「気持ち悪さ」とかって表に出すと嫌われちゃうじゃないですか。でも芝居の中だったら何をやってもいいわけで。暗ければ暗いほどいいものなので、自分をすごく解放している感じがします。

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吉沢さん自身も

「楓は身勝手で気持ち悪さがある」と

仰っていましたが

実際、彼みたいな人が

周りに居たらどうですか?

僕は普通に仲良くなると思います。やっぱり彼の主観で見ているから彼がすごく嫌なヤツに映っていると思うんですけど、ああいった嫌な人って別に普通にいると思うんです。そう思うと僕は仲良くなるんじゃないかな、と思います。

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確かに。しかも割と多そうな気も…。

逆に秋好みたいな子がいたら?

リアルにいたら一線を引くかな(笑)。でもこの作品の秋好はすごい素敵だと思いました。花(杉咲花)ちゃんが演じたことによってさらに秋好の魅力が増したと思います。台本を読んでいる段階では「ただの痛いやつだな」という印象が強かったんですけど(笑)。最初は「私はこうです!」という見せ方を意識している女性だと思っていたのが、花ちゃんが演じることで「私はこういう生き方がしたくて、こうしていきたいんだ!」という真摯な想いを持って生きている女性という印象に変わったんです。自分の目の前にあることに一生懸命で、周りから「痛い」と言われていることに対しても傷ついていて。そんな「真っすぐさが魅力的だな」と花ちゃんの秋好が思わせてくれました。

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では最後に自身の見どころと作品の

見どころを教えてください。

自分の見どころでいうと、人と話している時、例えば秋好と話している時と董介話している時では話す相手によって距離感や表情、喋るトーンなども変えながら演じていたので、そういった部分を観ていただけると嬉しいです。作品の見どころはそれぞれの表情かな。本当に個性的なキャラクターばかりで、各々が何かコンプレックスや闇を抱えている現代の等身大の若者だと思うんです。この作品はそんなキャラクターたちの青春群像劇。自分に当てはまるような人や感情を見つけられるんじゃないかな、と。「この人のこの感情分かるな~」とか「ここは理解できるな~」とか。一方で「僕はこの人嫌いだな」と思う部分もきっとあると思うので、自分に当てはめながら観ても楽しんでいただけるのかな、と思います。

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吉沢亮

よしざわ りょう

1994年2月1日生まれ。

静穏な海を泳ぐ自由な心柄、自身さえも制さない無意識な大胆さで世界を魅惑する26歳。

代表カット

映画『青くて痛くて脆い』公開中

原作:住野よる 監督:狩山俊輔 

脚本:杉原憲明

出演:吉沢亮 杉咲花 / 岡山天音 松本穂香 清水尋也 森七菜 茅島みずき 光石研 柄本佑

※Team Credit

カメラマン:鈴木寿教

ヘアメイク:西岡達也

スタイリスト:九(Yolken)

ディレクション:町山博彦

インタビュー・記事:満斗りょう