井上祐貴
ドラマ『マルス-ゼロの革命-』
自分とかけ離れた役を演じることに気合が入った
ドラマ『マルス-ゼロの革命-』に(テレビ朝日系)に、二瓶久高役で出演中の井上祐貴さん。リーゼントにヒゲという強烈なビジュアルとは裏腹、おバカで能天気なお調子者というキャラクターを演じるうえで心がけていることや、撮影現場でのエピソードなどを伺いました。
〈あらすじ〉
学校ではいじめにあい、SNSでも居場所を失ってしまった逢沢渾一(板垣李光人)。命を絶とうとしたそのときに現れた、謎の転校生・美島 零(道枝駿佑)。《ゼロ》と名乗るその青年は、「俺がおまえをこの腐った世界から救ってやる」と告げる。「俺と一緒にこの世界をぶっ壊そう」そう扇動するゼロに導かれた落ちこぼれ高校生たちは、7人で【マルス】という動画集団を結成し、大人社会に反旗を翻す!
ドラマ『マルス-ゼロの革命-』に出演が決まったときの気持ちを教えてください。
以前、出演させて頂いたドラマ『やっぱそれ、よくないと思う。』のプロデューサーである中川さんと、ご一緒させて頂くのが今回初めてのプロデューサー田中さんからお話を頂いて、二瓶久高役に決まったんです。一度ご一緒した上で、また声をかけて頂けるというのはもちろんうれしいですが、久高が今までに演じたことのないキャラクターで、自分自身ともかけ離れた役ということで、さあどう演じようかと僕としてはとても気合が入りましたし、やりがいも感じてとてもうれしかったです。
プロデューサーさんからは、
何かお言葉をいただいたのですか?
「二瓶久高は井上祐貴のイメージにない役だから、一つの経験にもなるし、挑戦にもなると思って決めました」と言ってくださいました。
二瓶久高はリーゼントにヒゲ面、短ランと
かなりインパクトのあるビジュアルですが、
ご自身の意見も入っているのでしょうか。
衣装には僕の意見も入れて頂いてます。髪型やヒゲは、最初に監督とお話ししたときに、もう決まっていました。僕は前髪を下ろすと実年齢より若く見えて、上げるとちょっと大人っぽく見えるので、リーゼントで前髪を上げたら高校生に見えるかな?と聞いたときは不安になりました。そもそも、リーゼントにヒゲで高校生としての見た目が成立するのかな!? って。でも、実際にやってみると意外に大丈夫でしたね。今はむしろ、久高としてはしっくりきています(笑)。
衣装は、どのへんに井上さんのアイデアが?
久高はバンドマンということで、どこかにレザーを取り入れたほうがバンドマンっぽく見えるかなとか。あと久高はフレディ・マーキュリーに心底あこがれている子なので、彼を意識した感じをちょっとでも出したいとお伝えした上で、フレディ・マーキュリーの映像や写真を見て僕が感じたこと、イメージしたものとかを衣装合わせのときにお話ししました。
撮影が始まってからも、フレディ・マーキュリーの曲を聴いたりしますか?
してますしてます! 彼の出演している映画は以前観ていたのですが、今回この作品への出演が決まって、改めて(出演作品を)全部観直しました。
久高は自身とかけ離れた役とおっしゃっていましたが、役へはどのようにアプローチしていったのですか?
久高のイメージを膨らませる為に、今お話ししたように、まずはフレディ・マーキュリーの作品を隅々まで見ました。あと、監督の平川さんが、久高は『ROOKIES』の“平っち”(平塚平)と『今日から俺は!!』の今井勝俊をイメージしているとおっしゃっていて。監督がイメージした部分を説明していただいたら、僕の中で一気にイメージが湧いたんですよ。なので、改めてその2作品を観て、いろんなところにお二人の役のエッセンスを取り入れさせていただいてます。
自分とはまったく違う人物を演じる際は、
どのような心持ちなのでしょうか。
演じているうちに、逆に演じやすいのかもと思えてきました。“自分だったら”という思考をいっさいなくして、“久高だったらこうする”だけを考えればよくて。あとはもう、それを表現できるかどうかなんですけど。久高のちょっとおバカな思考みたいなところは、台本を読みながらなんとなくイメージできるようになってきました。
久高を演じているうちに、
新たに発見した部分はありますか?
いっぱいあります。思っていたより、久高はすごく繊細ですね。マイペースで周りのことをあまり気にしないイメージだと思うんですが、意外に一つひとつのことをちゃんと受けとめて、ちゃんと落ち込んだり喜んだりしているんですよ。それを素直にそのまますぐに出していくキャラクターなのかなって。すごく人間味を感じます。
久高のような役を演じていると、日常生活もいつもよりテンション高めになったりしますか?
自分では、ちょっとわからないです。久高は表情がとても豊かなので、僕としては、リアクション一つとるときも顔のパーツを全部動かすぐらいの勢いでやっています(笑)。なので普段から、表情筋を大きく動かすクセがちょっとついている気がするぐらいかな。
主人公・美島零(ゼロ)役の道枝駿佑さんをはじめ、共演者のみなさんの印象を教えてください。
道枝くんは、とにかくカッコいい! なのに、くしゃっと笑う感じもかわいいし。現場でのまっすぐな姿に、一緒にがんばっていきたいと、自然に思わせてくれる人ですね。(逢沢渾一役の)板垣くんは、今まで同じ作品には出演しているのに一緒のシーンがないということが多かったんですよ。大河ドラマ『どうする家康』とか、ドラマ『silent』とか。あと、『ホリミヤ』では一緒のシーンがなければ、撮影現場で会うこともなかったんです。だから、「やっとお話ができますね」という話をしました(笑)。
撮影現場の雰囲気は?
ほかのキャストのみなさんが僕より圧倒的に芸歴が先輩なので。いろんなことを質問して、たくさんのことを吸収したいなと思いつつも、どうやって踏み込んだらいいのかわからなくて、クランクイン前はちょっと不安だったんです。でも、それは僕の考えすぎだったみたいで。みなさんフランクにしゃべってくださるし、明るくて楽しい現場です。
空き時間などは、
どのように過ごしているのですか?
平川さん曰く、最近の若者は表情筋があまり動かないらしいんですよ。なので、空き時間にみんなで輪になって発声練習をしながら表情筋を動かしたり、片眉だけを上げる練習をしたりしています。
たしかに、片眉だけを上げるのは
難しそうですね。
そうなんです! でも、それができたら一気に表現の幅が広がって、自分の武器になると思うから。泉澤くんなんて、もう全部のパーツを自由自在に動かせるんですよ。「左眉毛!」と言えばピッて動くし、「右の耳!」と言ったらピッて動くし。ホントにスゴいんです。
撮影中は、そういった表現を
常に考えながら動いていると。
そうですね、常に考えています。だから、ものすごくカロリーを使っているのか、撮影が終わると毎日頭がドッと疲れています。
撮影中は、糖分補給もしていますか?
はい、たくさん糖分を摂っています。僕、この現場で初めてラムネを舐めるようになりました。
ラムネに入っているブドウ糖は、
脳を活性化させる働きがありますよね。
って言いますよね。まだあんまり実感はできていないんですけど……(笑)。
先日、第1話がオンエアされましたが、
“実はこのシーンでこんなことをしていた”
みたいな裏話はありますか?
最後のほうに、事件が一段落して、(動画集団の)【マルス】のメンバーで下校をするシーンがあって。そこで、久高が「あれがそれでマルスってことかな」と言うんですが、そのセリフは空を見上げながら、めちゃくちゃフレディ・マーキュリーを意識して言いました(笑)。
そうなんですね!
監督と話してたときに、「このセリフはもう浸りに浸って、空を見上げながら言ってみよう」ということになって。僕が「フレディ・マーキュリーですね」と言ったら、「そうそう!」って。やっぱり、ところどころにそういうニュアンスを入れていきたいと思っているんですけど、一番それを出せたのがそのシーンだと思います。
【マルス】を率いるゼロはカリスマ的な魅力を
持つ人物ですが、井上さんにとって
カリスマ的な存在はいますか?
うーん、あこがれとか尊敬とかだったら親父なんですが、カリスマってなるとパッと思い浮かばないですね。
お父様のどんなところにあこがれるのですか?
なんだかんだ言いながら、ずっと家族のことを考えてくれているのがにじみ出ちゃっているんですよ。決して言葉や行動に表すタイプじゃないのに、それがすごく伝わってくるので。自分が家族を持つようになったときに、そういう心を忘れないようにしたいなって、親父を見ながらいつも思うんですよね。
今後の二瓶久高的見どころと、
全体の見どころを教えてください。
今後は、ゼロの目的がちょっとずつ明らかになっていきます。ゼロの目的が何か、そして、その目的に向かってゼロがどう近づいていくのか、というところが作品としての一番の見どころだと思います。久高としては……どう言えばいいのかな、ちょっと言い方が難しいんですけど。第1話を見る限り、おバカなお調子者で、空気を読めないヤツという印象があるし、しばらくそういうイメージが強いと思います。そんななかでも、ちょっと人間味を感じられるような久高も見せることができたらいいですね。
井上祐貴
いのうえ ゆうき
1996年6月6日生まれ。
影を味方に色気のある表情を沢山見せてくださった井上さん。目がとても印象的で、表情が変わるたびにその眼差しにどんどん引き込まれました。前回登場時の自然光が似合う爽やかさとのギャップも最高です。気さくな方でとてもナチュラルに居てくださり、和やかな撮影となりました!
最近の出演作に、NHK総合 大河ドラマ『どうする家康』(‘23)、ABCテレビ/テレビ朝日系『何曜日に生まれたの』(‘23)、テレビ朝日『unknown』(‘23)、NHK総合 ドラマ10『大奥』(‘23)、テレビ東京『花嫁未満エスケープ 完結編』(‘23)などがある。
©テレビ朝日
[マルス-ゼロの革命-]
テレビ朝日系
毎週火後9・00〜9・54
道枝駿佑ゴールデン帯連続ドラマ初主演の青春“クーデター”サスペンス
謎多きカリスマ転校生・美島零《ゼロ》に導かれ、動画集団【マルス】を結成した落ちこぼれ高校生たち7人が大人社会に反旗を翻す!「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」の人気脚本家・武藤将吾が3年ぶりに完全オリジナルで描く、爽快な新感覚青春ドラマ。
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
スタイリスト:TAKURO
インタビュー:林桃
記事:林桃/緒方百恵、有松駿