稲葉友
映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』
絶対的な信頼を寄せている俳優さんと
10年振りの共演でした
数々の作品でインパクトを残し、昨年は長編映画の主演も務め、ますます目が離せない存在感を放つ稲葉友さん。2023年6月16日からは映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』にて、親交の深い俳優・橋本淳さんとW主演を果たした稲葉さんに、作品を通じて感じたことを語っていただきます。
©「よっす、おまたせ、じゃあまたね。」製作委員会
<あらすじ>
30歳のちばしんは、ニートで引きこもっている。ある日、彼のもとに小学生の同級生で親友だったながちんが、借りていたゲームソフトを返すため、20年ぶりに現れる。幽霊を自称するながちんは、ちばしんに「自分の死体を見つけてほしい」という相談を持ちかけ……?
今回は橋本淳さんとW主演ということで、
撮影前はどのような心境でしたか?
橋本君とご一緒するのは10年ぶりくらいだったので、もう本当に楽しみにしていました! 10年の間にもプライベートで会う事もありましたが、それよりもお互いの舞台を観に行くような関わり方をすることが多かったんですよね。すごく尊敬しているし、絶対的な信頼を寄せている俳優さんでもあるので、また一緒の作品をやれて嬉しいです!
本作は猪股和磨監督が
「あの頃の親友に向けて作った」と、
クラウドファンディングをかけた作品
だそうですね。最初に脚本を読んだときの
感想を教えてください。
すごく優しい作品、というのが大きい印象です。それは撮影が終わって映像が完成した今でも変わりません。作品自体の優しさはもちろん、猪股和磨という人そのものが持っている優しさが詰まった内容だと思います。具体的にどこが猪股さんらしいかと聞かれると難しいんですが……押し付けがましくないし、ありのままを素直に受け入れやすい物語です。
稲葉さんが演じるのは、
「自分の死体を見つけてほしい」
という言葉と共に現れた“ながちん”。
ご自身の役柄への印象についてはいかがですか?
すごく他人を巻き込む力がある人。吸引力があるというか、自分の通ったところに流れを作って、その流れに人が乗っかってきてくれるような印象です。ながちんはたくさんの人としっかり向き合って関わっているからこそ、そういう流れが生まれるんでしょうね。でも、だからこそ演じるととっても疲れるんですよ(笑)。こんな人になれたら素敵だと思いますけど、自分は日常であんなにパワーを出して生きていけないなと思いました(笑)。
橋本淳さんが演じた“ちばしん”は
どのような印象でしたか?
僕には4歳ぐらいで出会って、いまだになんとなく関わりがある幼馴染がいるんです。その人に近い存在かもしれないと思いました。今さらどんな印象で……と語るには難しい間柄なんですよ。物心ついた時から自分の人生に介在しているし、居ることが当たり前。いつも気にかけてるし、彼にハッピーなことが起きれば自分も嬉しいっていう。ちばしんに対してもそんな感情を抱きました。家族というか、身内に近いというか、自分ごとのように捉えられる存在。いつもは人格を分析しながら脚本を読むのに、今回は最初からながちん目線で読んでいました。
ちばしんとながちんが徐々に昔のような空気感に
戻っていく様子があまりに自然で驚きました。
橋本さんとはどのようなやりとりをして
役作りをされましたか?
とくにないですね。役柄やシーンとして「自分はこう思う」みたいな話はさせてもらったり、逆に聞かせてもらったりしていましたが、橋本君となら絶対に大丈夫だって最初から思っていたので。10年前に共演した橋本君との現場がものすごく思い出深かったのもあって、俳優としても、人としても、無防備に信頼しているんですよ。芝居を受けるのが上手いし、僕がながちんとして持ち込まなきゃいけないエネルギー量を超えてさえいれば、あとは橋本君がなんとかしてくれるっていう、乱暴にも思える信頼感です(笑)。
とても素敵な関係性ですね!
猪股監督とは
どのように撮影を進めていましたか?
猪股さんとは今回が初めましてでしたが、演出も「ああ、この脚本を書いた人なんだな」って納得する優しさがありました。お芝居に対して「それも良いですね。次はこのパターンもやってみてほしい」というように、伝え方ひとつにしても気を遣ってくださっているのが伝わりました。NOを押し付けないやり方で進めてくれるので、こっちも恐れずにお芝居の一歩目を踏み出せるんです。自分が用意してきたものを出し切れば、あとは精査して演出としてのジャッジをしてくれる。もちろん監督としてのこだわりや芯もしっかりある方なので、安心して演じることができました。
2人の掛け合いを大事しながら
撮影をされたようですが、
1番楽しかったシーンはありますか?
たくさんありますよ〜! 特に気に入っているのは、ながちんが好きな女の子に告白した後に展開される、ながちんとちばしん2人のシーンです。このシーンは夜に差し掛かる時間帯の下北沢で、ワンカットの長回しで撮影されました。軽くテストして、やるべきことを決めておく程度の勢いでそのまま本番をスタートしてみたら、その場にいる全員が「良い!」って心が一致したような空気があって! 演者だけでなくスタッフのみなさんが「今の良かったな…」と思う空気を共有できて、なんと本番一発OKでした。これはもう本当に感覚としか言いようがないけれど、映画を撮影していてすごく楽しいって思える瞬間でした。シーンとしては観ても楽しいわけじゃないと思いますが、僕にとっては印象深いシーンです。
稲葉友
いなば ゆう
取材当日は急激に気温が下がって雨模様。激しい気温変化で体調に問題ないか尋ねると、「寒いけど良い感じ。あんまり体調を崩すことってないんです」と、体調コントロールには気を遣っていることを聞かせてくださいました。何事にも自分の心身と向き合って取り組まれている稲葉さんの魅力を、後編のインタビューでもお届けします!
1993年1月12日生まれ。
最近の出演作に、映画『恋い焦れ歌え』(22)、ドラマ『みなと商事コインランドリー』(22)、『つまらない住宅地のすべての家』(22)、『大病院占拠』(23)などがある。また、現在放送中のドラマ『明日、私は誰かのカノジョ Season2』(23)に出演中の他、7月25日22:00~放送スタートのNHKドラマ10『しずかちゃんとパパ』に出演。
©「よっす、おまたせ、じゃあまたね。」製作委員会
映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』
6月16日(金)より
東京・シネクイントで1週間限定レイトショー
6月23日(金)より
アップリンク吉祥寺、kino cinema立川高島屋S.C館ほか全国で順次公開
[出演]
橋本淳 稲葉友
安倍⼄ 森⾼愛 マメ⼭⽥ ⼊江雅⼈ 千葉雅⼦
中村まこと 市川しんぺー 他
[監督・脚本]猪股和磨
[⾳楽]KiQ
[エグゼクティブ・プロデューサー]⽵内崇剛
[プロデューサー・編集]篠⽥知典
[撮影]平井諒
[照明]富⾕颯輝
[録⾳]⼩濱匠
[⾐装]庄司洋介
[ヘアメイク]⼭⽥亜美
[部屋装飾]藤本楓
[助監督]志筑司
[制作担当]井⼝慶
[宣伝美術]橋本興平
[製作]「よっす、おまたせ、じゃあまたね。」製作委員会
[配給・宣伝]SPOTTED PRODUCTIONS
※Item Credit
ジャケット¥63800/スティーフ(スティーフショールームTEL:03-6721-0549)
シャツ¥13200/ヌワールファブリック(ジーンズ ファクトリー 卸団地本店 TEL:088-861-5100)
パンツ¥35200/ハビィー(ハビィー TEL:03-6555-5451)
シューズ¥16500/ヴァリジスタ グローバル スタジオ(アースマーケティング TEL:03-5638-9771)
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
スタイリスト:添田和宏
ヘアメイク:永瀬多壱
ディレクション:半澤暁
インタビュー・記事:井上ハナエ