松坂桃李
映画『スオミの話をしよう』
「三谷さんによって、ひとつのフライパンで素晴らしく調理された作品。ぜひ美味しくいただいて」
9月13日公開の映画『スオミの話をしよう』は、三谷幸喜さん脚本・監督によるオリジナル作品で、突如行方不明となった女性と、彼女について語り出す5人の夫たちを描いたミステリーコメディです。
本作で、スオミの二番目の夫で怪しげなYouTuber・十勝左衛門(とかち・ざえもん)を演じている松坂桃李さんが、約5年ぶりに「FAST」にご登場!今作が初参加となる三谷作品への想いや演じた役について、また、ラストのシーンについての感想などをお聞きしました。
©2024「スオミの話をしよう」製作委員会
<あらすじ>
豪邸に暮らす著名な詩人・寒川(坂東彌十郎)の新妻・スオミ(長澤まさみ)が行方不明となった。豪邸を訪れた刑事の草野(西島秀俊)はスオミの元夫で、すぐにでも捜査を開始すべきだと主張するが、寒川は「大ごとにしたくない」と、その提案を拒否する。やがて、スオミの過去を知る男たちが次々と屋敷にやってくる。誰が一番スオミを愛していたのか、誰が一番スオミに愛されていたのか。安否をそっちのけでスオミについて熱く語り合う男たち。しかし、彼らの思い出の中のスオミはそれぞれがまったく違う性格の女性で……。
今作が初めての三谷組でしたが、撮影はいかがでしたか?
三谷さんの現場は本当に楽しいということは前からお聞きしていたのですが、その分、緊張感もありましたし、初参加ということもあって最初はプレッシャーもありました。でも、撮影前に1ヶ月くらいリハーサルというか稽古の期間があったので、それも含めて本当に全部が楽しい現場でした。
同じコメディでも「ゆとりですがなにか」と比べると、今作の方は「喜劇」という言葉がしっくりくるなと感じました。改めて、コメディや喜劇に出るおもしろさと難しさをどんなところに感じられましたか。
「自然と生まれる笑い」みたいなものって本当に難しいですし、そこの計算が緻密でないと観ているお客さんに届かないんです。そこは三谷さんが少しずつ計算して、構築されたお話があったからこそ出来上がるものなので、そのレールに乗れるように準備するのは大変なところではありました。
緑色の髪も斬新なYouTuberの十勝左衛門を演じるにあたって、ご自身で工夫されたことはありますか?
打合せの時に、三谷さんから「こういうYouTuberの方がいるんですけど、こういった雰囲気でお願いしたいです」というお話があったんです。特にその方を参考にしたわけではないのですが、噛み砕いて、自分の中での「十勝左衛門」を想像しながら、「自信」というスーツを身にまとって現場に向かった感じです。
十勝は自信家なので、人に隙を見せないというか、相手に対して無言の圧力じゃないですけど、「絶対上に行ってやる!」という野心みたいなものを現場でちゃんと出せればいいなと思いながら取り組んでいました。
十勝はなんでもお金で解決しようとはするけど、スオミを助けようと行動を起こす姿に優しさを感じました。
ただ、それも彼の中では結果的に「これがお金に繋がるかも」といった残念な思惑があったかもしれないので、そこは観てくださった皆さんがそれぞれいろいろな風に「十勝」という男を捉えてもらえればと思います。
元&現夫の5人からみた「スオミ」を演じ分けた長澤まさみさんのコメディエンヌぶりをどうご覧になりましたか?
別人というよりも、スオミとしての多面性がそれぞれにあって、長澤さんの中での「スオミ像」みたいなものがしっかりと表現されていたので、僕が言うのもおこがましいですが、本当に素晴らしかったです。
スオミが多くの人に愛される理由をどう思われますか。
どのスオミも、男がほっとけないような隙が垣間見えたときに、きっと心が動かされるんでしょうね。「憎みきれないところがまたいい!」みたいな。どのスミオに対してもそう思えるのは、やはり長澤さんが構築されたスオミが素晴らしいからだと思います。
ラストの長澤さんが「ヘルシンキ」を歌い、みなさんも踊るミュージカルシーンも圧巻で、最後の方は一緒になって歌ってしまいました。演じてみていかがでしたか。
あの歌詞とメロディは耳に残りますよね。でも最初は「踊るなんて聞いてないぞ、また事務所に騙されたな」と思ったんです (笑)。
ダンスシーンがあることをご存じではなかったんですか!
ええ(笑)。でも、皆さんと一緒にダンスの練習をして、お芝居のリハーサルをやっている時間がすごく心地よくて、日に日に皆さんと団結していく感じが好きになっていきました。「ゴールに向かってみんなで頑張るぞ!」という部活のような雰囲気は楽しかったですし、すごくいい時間でした。
完成された作品をご覧になった手応えは?
作品の手応えはバッチリなんですけど、僕個人としては、ラストのダンスシーンは慣れていないのもあって、観るのはちょっと恥ずかしいものがありました。
いえいえ、とても素敵でしたよ!では最後に、映画を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。
長澤さんが演じたスオミの多面性と、そのスオミを愛した夫たちの純粋な愛とクセ(笑)。それを三谷さんがひとつのフライパンの中で最高にすばらしい調理法で料理してくださったので、ぜひ皆さん、劇場で美味しくいただいてください。
松坂桃李
まつざか とおり
1988年10月17日生まれ。
スラット長い身長ととても小さくシャープなお顔の松坂さん。FASTは最後に取材をさせていただきましたが、疲れた様子を一切見せず、終始ニコやかに気さくにいてくださりました。撮影時では役柄にあった写真とシンプルな写真を今回は撮影をさせていただきましたが、椅子に座った写真ではとっても足が長くスタッフも驚きながら撮影をさせていただきました!またどんな時でも「悦んで!」と優しくニコやかに答えてくださる松坂さん。松坂さんの温かいご協力と寛容なお心遣いでスムーズに撮影をすることができました。そして松坂さんといえばの写真も撮っておりますので、ぜひ探してみてください!
後編では最近の松坂さんについて迫っております!お楽しみに!
最近の出演作に、ドラマでは、日本テレビ『ブラッシュアップライフ』(‘23)、Netflix「離婚しようよ」(‘23)TBS『VIVANT 』(‘23)、映画では、『ゆとりですがなにか インターナショナル』(‘23)などがある。また、待機作に『スオミの話をしよう』(24年9月13日公開)、『雪の花 -ともに在りて-』(25年1月24日公開)、などがある。
©2024「スオミの話をしよう」製作委員会
■タイトル
『スオミの話をしよう』
■公開日
9月13日(金)
■脚本と監督
三谷幸喜
■製作
フジテレビ 東宝
■制作プロダクション
エピスコープ
■配給
東宝
キャスト(ビリング)
長澤まさみ
西島秀俊 松坂桃李 瀬戸康史 遠藤憲一 小林隆 坂東彌十郎
戸塚純貴 阿南健治 梶原善 宮澤エマ
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:AZUMA(M-rep by MONDO artist-group)
スタイリスト:カワサキタカフミ
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿