綱 啓永
映画『教場 Reunion/Requiem』
自分を見つめ直すことができる作品
長岡弘樹による小説「教場」シリーズを原作とし、次々と映像化されてきた『教場』が、ついに2本の作品として映画化。前編となる映画『教場 Reunion』は、1月1日よりNETFLIXで配信されており、後編となる映画『教場 Requiem』は、2月20日より劇場公開されます。本作に、警察学校の生徒・門田陽光役で出演している綱 啓永さんに、主演の木村拓哉さんとのエピソードや、撮影時の思い出などを伺いました。
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©フジテレビジョン ©長岡弘樹/小学館
<あらすじ>
その内部が決して公になることはない、未来の警察官を育成する学校=教場。適性のない人間をふるい落とす場でもある密室空間で「夢と希望と秘密を抱えた生徒たち」と「どんな些細な嘘も見抜くことのできる鬼教官・風間公親(木村拓哉)による、卒業(=警察官になること)をかけた真剣勝負が今、始まる――。

『教場 Reunion/Requiem』に出演が決まったときの気持ちを教えてください。
(噛み締めるように)うれしかったです。ただ、長く続いているシリーズ作品の世界に自分が足を踏み入れることへの重圧みたいなものはありました。僕の役どころが、作品にとってとても重要なポジションだったので、プレッシャーみたいなものもちょっと抱えながら作品に参加していました。
うれしさと不安とが入り混じったような。
やる気しかなかったですけど、やっぱり自分たち自身でも前作とくらべてしまうんですよね。行進1つ、点検1つとっても、前作には負けなくないというか。そういう話は、今回の第205期の生徒たちでよく話していましたし、チームとしても個人としても負けたくないという気持ちを持って、現場に臨んでいました。
前作とくらべて、勝ち負けという点でいうと、結果的にどう感じていますか?
勝ち負けなんて存在しませんでした。そんなことを考えていた自分たちがバカだったなと。今回、本作のOBやOGと呼ばれる方たちも出演してくださっていますが、試写を観たときに、もうホントにカッコよくて!役者としてこうなりたいと思いました。
ドラマ版のなかで、特に印象に残っているキャラクターは?
平田和道を演じた林 遣都さんです。『教場』という作品に、とてつもないパワーを与えてくれていますよね。

綱さん演じる門田陽光は、どんなキャラクターですか?
すごくまっすぐで純粋で、風間教官にいろいろなことを言われても、それを自分のなかでしっかりと噛み砕いて考えられる人間です。門田は、(佐藤)勝利くん演じる矢代桔平と対になっている役どころなのですが、矢代が感情にまかせて動くタイプだとしたら、門田はその逆で。きちんと自分のなかで1回考えてから行動に移せる人間だと思います。
共感はできる?
すごく共感できます。どちらかといったら、自分は門田側です。僕も、感情が動いてもそのまま出すのではなく、1回、自分のなかで考えるクセがあるので。今回、門田の成長というところも意識していたんですけど。感情に流されずに立ち続けるという部分は、最初は門田の弱さでもあったと思うのですが、最終的に強みであると感じました。
その成長を表現するのは難しかったですか?それとも、すんなりできたのでしょうか。
今回は、撮影のスケジュールに助けられた部分がありました。クランクイン前から撮影に必要な訓練をして、撮影期間中も練習をする時間があったんです。そうすると、第205期の生徒の仲も少しずつ深まって、役の深みも少しずつ出てきて。それが結果的に、役の成長につながり、自分の成長とも重なる部分がありました。この準備期間がなかったとしたら、もしかすると、今回のようなアプローチのしかたではダメだったのかなと思います。
ご自身では、どういったところが成長したと感じますか?
肌感なので、言語化するのは難しいのですが、確実に強くなりました。心も体も。体に関しては、夏の撮影でもあったので、あの大変さを乗り越えたというのは、みんなの今後の糧にもなると思うし。内面的な部分も、あの厳しい現場を経験したということが、すごく自信を与えてくれたので。そこが一番成長できたところかなと思います。

今おっしゃったように、門田は矢代と対になる役どころで、佐藤さんとは緊迫したシーンもありますよね。
印象に残っているのは、2人でのアクションシーンです。一つひとつ全部の動きが決まっていたのですが、本番までに、勝利くんがたくさん練習に付き合ってくださって。僕が「もう1回やってもいいですか?」と言っても快く応じてくれるし、逆に勝利くんからも「ここ、もう1回やっていい?」と言ってくれるし。「(アクションで)痛くない?」とか、すごく気遣ってくれて、ホントにやさしかったです。僕は以前、『#真相をお話しします』という映画で菊池風磨さんと共演したことがあるので、空き時間にはそんな話で和んだりもしました。
佐藤さんの役者としての印象は?
とても真面目なんだということが伝わってきました。監督から演出を受けているときの表情ひとつをとっても、矢代という役に真摯に向き合っていることがすごく伝わってくるし。好きになっちゃいました。
警察学校の生徒役ということで、黒髪・短髪という綱さんにはめずらしいヘアスタイルに、制服の着用もありました。外見から役に入る部分もありましたか?
ありました。僕はよく、役作りは衣装とメイクが半分以上を占めているのではないかと思っているんですけど。今回、人生初の……いや、ウソです、学生時代は坊主にしていたこともありました(笑)。でも、この世界に入ってからあそこまで髪の短い役は初めてだったので、短髪にして一気に気合いが入りました。
外見の影響も大きいのですね。
僕は、ほかの生徒役のキャストたちとくらべると、短髪にするのが遅かったんです。みんなが次々に短髪になっていくと、それにつれて顔つきが変わっていくんです。シンプルにビジュアルが変わるだけじゃなく、不思議とたくましくなるんです。僕自身は、まず似合うか似合わないかが不安だったのですが、かわいらしい雰囲気になってホッとしました(笑)。

風間教官が登場すると、観ているこちらにもピリッとした緊張が走りますが、実際に風間教官と対面しての感想は?
ピリどころではなく、ビリっという感じでした(笑)。現場ではもう、木村さんは常に風間公親としていらっしゃるんです。現場に風間教官が来ると、「おはようございます!!」って。キャストだけじゃなく、スタッフのみなさんもピシッとなって、チーム全体で警察学校の生徒になった気分でした。あんな経験は、なかなかできないんじゃないかと思います。
たしかに。
でも、木村さんご自身はとてもやさしくて、生徒の訓練も見にきてくださったんです。そのときは、風間公親じゃなく木村拓哉さんなんです。アメカジのセットアップに、アクセサリーをつけて、スーパー大スターの超カッコいい木村さんなんですけど。いざ訓練が始まると、風間公親と生徒の関係を作りやすいようにスイッチを入れて、厳しい言葉も投げかけてくださるんです。もちろん、僕らも適当にやっていたわけではないですが、あらためて背筋がピンとなりました。
風間教官は、やはりすべてを見透かされるような目が特徴だと思いますが、実際にその視線を浴びたときは、いかがでしたか?
もう、汗がとまらないです。右目が義眼なんですが、動かないのがまた怖くて!ホントに見透かされているような気持ちになります。実際に、カメラが回っていないときも、ずっと僕らのことを見てくださっていましたし。木村さんは、控え室に戻ることもありますけど、現場にいることが多くて。待機していたり、スタッフさんとしゃべったりしながらも、教室の僕らを見ているんです。
まさに“教場”ですね。厳しくもあり、でも愛情深く、生徒たちを見ていてくれるという。
おっしゃるとおり、ホントに愛情を感じるんです。すべて僕らのためにというか、作品のためにやってくださっていたし、「作品のために、僕は厳しくする瞬間もあると思います」と、言葉としてもいただいていました。あそこまで言葉に説得力があって、心に響かせることができる人はなかなかいないと思うので。そんな木村さんとご一緒できたことは、自信にもなりました。

門田は風間教官とのアクションシーンがありますが、撮影秘話などがあれば。
あります!僕、こういうインタビューに備えて、現場で思ったこととかをメモしているんですけど、さっき見返したときにそのシーンのことも書いてありました。あのシーンで、僕が木村さんの顔に定規を当てるんですけど、段取りのときは外して当てていたんです。そうしたら、「いや、本当に打ってきていいよ。俺は全然大丈夫だから」って。めっちゃカッコいい!と思いながらも、もしそれで当たりどころが悪かったら、俺どうなっちゃうの!?って、怖くて。
そうですよね。
でも木村さんを信じて、顔面のど真ん中にバーンって思いっきりいったら、もうめっちゃキレイにキメてくださって!もちろんお芝居なので、ガチで締めにくるわけじゃなくて、ちゃんと痛くないところ……でも、お芝居をしやすいように、ちょっと痛いぐらいの力加減で。それを、ホントにもうビタでやってくれる。撮影が終わった後も、「大丈夫か?」と、アフターケアもしっかりしてくださるという。
木村さんからアドバイスをいただいたりも?
お芝居のアドバイスというのは、特にもらってないです。もらいたかったですけど。僕のほうから聞く勇気はなかったです。「僕にはなにが足りないですか?」とか、ホントは聞いてみたかったですけど……。木村さんって、演じている役によって現場での居方が変わるらしいので。違う雰囲気の作品でまたご一緒できたら、ぜひ聞いてみたいです。
木村さんとご一緒して、こんな俳優さんになれたらいいなと思ったところは?
いや、もう全部ですよ。みんな、木村さんの言葉は信じるし、受け入れるし。「もっと、こうしろ」と言われたら、素直に「はい」と言えるし(笑)。あんなふうになりたいと、すごく思います。今回、常に冷徹な空気を醸し出して現場にいてくださったおかげで、僕らも役に入りやすくなりましたし。きっとそれが、観てくださる方にも画面越しで伝わると思うんです。特に後編は、劇場の大きなスクリーンで、迫力のある音響に包まれて観たら、まさに現場にいるかのような空気をきっと味わえると思うので。ぜひ、劇場で観てほしいです。

空き時間なども、教場のように緊張感があったのでしょうか。
やっぱり木村さんがいない現場は多少、肩の力が抜けるというか、他愛もない話で盛り上がっていました。なかでも、(笠原敦気役の)金子大地くんが目立っていました。最初は、とても静かだったんです。というか、大地くんのパブリックイメージって、静かでクールな感じだと思うんですけど。そういう面もありつつ、すごくおもしろくて明るい人なんです。それが撮影中盤ぐらいから出てきて、(渡部 流役の)猪狩(蒼弥)くんとともに、けっこう場を回してくれていたイメージがあります。
金子さんとは、仲を深められたのですか?
大地くんは、同じシーンが多かったりとか、生徒が背の順で整列したときに隣だったりしたので、しゃべる機会が多くて、すごく仲が深まりました。一緒にサウナにも行きましたし。僕のなかで、撮影中の共演者とサウナに行くって、けっこう珍しいことなんです。
そうなのですね!
学園モノとか、今回のような人数の多い作品だと、僕、人見知りなので、あんまりしゃべれないんです。もちろん、いつもみんなが輪に入れてくれるのでしゃべれますけど、少人数の現場のほうが得意で。そんななかで、大地くんとはサウナに行けて、けっこう深い話もできたので、めちゃくちゃうれしかったです。今でもたまに連絡をとっていて、「いつ会えるんですか?」みたいな話をしているんです。大地くんが、舞台の公演で全国を回っているので、なかなか会えないんですけど。このお仕事のプロモーションで会う機会があるので、今から楽しみなんです。大好きな先輩です。
あらためて、本作の公開を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
自分のインスタグラムにも書きましたが、僕ら、暑い真夏に、アツい心を持って臨みました。公開されるのは1月、2月と寒い時期ですが、この作品を観て、少しでも温まって……いや、むしろ暑いと感じるぐらいになってくれたらうれしいです。自分にとっての正義みたいなものを、すでに持っている人もいるかもしれませんが、自分を見つめ直すことができる作品でもあると思うので。そういった部分も感じながら、ぜひ劇場でご覧ください!

綱啓永
つな けいと
1998年12月24日生まれ。
取材前から廊下ですれ違う度に「お疲れ様です!」と元気に挨拶をしてくださる綱さん。インタビューはコロコロと表情を変えながらお話をしてくださって、それにつられてこちらも表情が緩んでしまうくらい、スッと緊張感や張り詰めた空気を和らげる、解く力のある綱さんはやはりさすがでした。本作品の撮影時期が夏だったことや、訓練などを通して学んだことや心の変化などすごく細かく話してくださいました。後編では、過去のインタビューから年齢を見据えた質問まで綱さんらしくお答えくださいました!お楽しみに!
最近の出演作に、テレビドラマでは、NHK総合『未来の私にブッかまされる!?』(‘24)、フジテレビ『366日』(‘24)、『恋愛のすゝめ』(‘23)、映画では、『WIND BREAKER / ウィンドブレイカー』(‘25)、『女神降臨 Before/After』(‘25)『#真相をお話しします』(‘25)などがあり、2026年3月20日公開の『東京逃避行』や『口に関するアンケート』(2026年公開予定)が控えている。

©フジテレビジョン ©長岡弘樹/小学館
タイトル: 映画「教場 Reunion/Requiem」
出演: 木村拓哉
綱啓永 齊藤京子 金子大地 倉悠貴 井桁弘恵 大友花恋 大原優乃
猪狩蒼弥 中山翔貴 浦上晟周 丈太郎 松永有紗
佐藤仁美 和田正人 荒井敦史 高橋ひとみ
赤楚衛二 白石麻衣 染谷将太 川口春奈 味方良介 大島優子 三浦翔平 濱田岳 福原遥 目黒蓮
坂口憲二
佐藤勝利 中村蒼 / 小日向文世
原作: 長岡弘樹「教場」シリーズ/「新・教場」「新・教場2」(小学館刊)
監督: 中江 功
音楽: 佐藤直紀
脚本: 君塚良一
公開表記: 映画「教場 Reunion」1 月 1 日(木)配信開始 on NETFLIX
映画「教場 Requiem」2 月 20 日(金)公開 in THEATERS
©フジテレビジョン ©長岡弘樹/小学館
※Item Credit
カーディガン ¥47,300、シャツ ¥30,800、パンツ ¥33,000 すべて ラッド ミュージシャン (ラッド ミュージシャン 原宿 03-3470-6760)、その他スタイリスト私物
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:牧野裕大
スタイリスト:三宅剛
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿
