中川翼
ドラマ『モンスター』
「今、やっとスタートラインに立てたなという感覚があります」
子役の頃から数多くの作品に出演してきた中川翼さんが、10月14日スタートの10月期 新・月10ドラマ「モンスター」(カンテレ・フジテレビ系)に出演します。
趣里さん演じる弁護士・神波亮子が、時に法が追いついていない令和ならではのさまざまな問題と向き合い、まるでゲームのように法廷闘争に立ち向かう、異色のリーガル・エンターテインメント作。中川さんが演じるのは、亮子が通うコンビニの店員でありながら、ハッキングが得意な謎の男・城野尊。人生初の銀髪に染め、日々撮影に奮闘している中川さんに、役作りのために実行したことや共演者の方とのエピソード、さらにご自身のこれからのことなど、たっぷりとお話しいただきました!(取材は9月中旬)。
<あらすじ>
幼い時に母親を亡くして以来、父親と二人で暮らしてきた神波亮子(趣里)。ずば抜けた才能と、裁判傍聴による莫大な知識を備えていた亮子は高校3年生で司法試験に一発合格。しかしその後、父が突然の失踪。亮子はその理由をなぜか追求することはなく、法曹界にも進まず、一人で暮らしてきた。そんな時を経て、ひょんなことから亮子は弁護士として働くことを決め、とある法律事務所へ就職する。
ドラマの出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか?
最初は「コンビニ店員」というワードと、趣里さんが主演で共演できるということしか聞かされていなかったので、「どんな感じだろう」という不安や緊張もありました。でも、今までは学生役が多かったので、きっと今後増えていくであろう学生以外の役に挑戦できる喜びが強かったです。
趣里さんは事務所の先輩ではありますが、今まで関わる機会が少なかったんです。お会いした時もすれ違いざまに「お疲れ様です」と挨拶を交わすくらいだったので、共演できる喜びはとても大きかったです。
ここまでの台本を読んだ感想を教えてください。
コンビニ店員とだけ聞いていたのですが、さらにハッキングを得意としていて亮子に協力する、という別の役割が書かれていたのを目にした時はとてもワクワクしました。どこまで自分が「影の協力者」を表現できるか考えましたし、今作は 1話完結型なのですが、どこかに伏線があったり、話の展開が逆転していったりするような進み方で、台本を読んでいても興味深かったです。
今の段階で、城野をどんな人物だと解釈していますか。
台本を読んでいても、城野について深く描かれている部分は見当たらず、バックボーンも全く分からないので、本当に難しくて。話を重ねるごとに亮子とのシーンが頻繁に出てくると思うので、きっとそこに詰まっているのだと思っています。
これは監督とも話していたのですが、城野は亮子にだけは心を開いて話せるところがあるので、どこか親友に近いものがあるんです。そこを中心に考えていった時に、18歳の男の子のかわいらしさが垣間見えても面白いだろうし、きっと出てしまうこともある。ただ、深い部分でいうと、実は明るい子だけど人と会う時は取り繕って、他人に心を開けないような、どこか現代っ子っぽい人物だなと思いました。
公式サイトのコメントで「台本を読んで、城野尊がどう物語に関わっていくのか読み解いていくうちに、この18歳は只者ではないなと。ゾクゾクしました」と仰っていましたが、どんなところに「只者ではない」と感じましたか?
僕は今18歳で城野と同い年なんですけど「こんな人はまずいないな」と思います。常に冷静でいられないとうまく亮子に協力できないし、いかにバレずに事件と関わっていくかを考えないとできないことなので、そこに一番「只者ではないな」と感じました。それに「天才的なハッカー」という肩書きもかなりインパクトが強かったです。
その「只者ではない感」をどう表現しようとしていますか?
ハッカーもいきすぎると「犯罪者」になるというイメージがあって、僕が1番好きなサイコパスなキャラクターが、菅田将暉さん主演の映画「キャラクター」でFukase(SEKAI NO OWARI)さんが演じた殺人鬼・両角なんです。そのキャラクター像が自分の中では犯罪者のトップレベルだと思っていて。城野はそこまではいかずとも、パソコンをいじっている時の目つきや亮子に協力している時に「こいつやばいやつなんじゃない?」というのが垣間見えるのも面白いかなと思っています。
その他に役作りで準備されたことはありますか。
コンビニ店員の役をやったことがなかったので、この役が決まってから家の近くのコンビニに、時間がある日は朝昼晩通って店員さんを観察していました。時間帯が変わるだけで、店員さんの雰囲気が全然違うんです。城野に一番近いキャラクターを見つけるまで「どういう人が働いているんだろう」と人に注目しましたし、お客さんがいない時のレジでの過ごし方や商品の出し方みたいな普段はそこまで気にしない部分に注目して観察していました。
城野に一番近いと感じた時間帯の店員さんは?
夕方の5時から7時ぐらいのシフトに入っている、ちょっと髪の毛を染めた大学3、4年生ぐらいの男性でした。
主演の趣里さんをはじめ、SixTONESのジェシーさんや古田新太さんなど、個性豊かな方々が出演されていますが、皆さんとのエピソードはありますか。
現場は本当に明るくて、何より趣里さんがいつもニコニコと現場を明るくしてくれているので、毎回楽しんで撮影できています。
実はまだ趣里さんとしか共演していないんです。僕のシーンのメインがコンビニなので、そこでの趣里さんとのお芝居がほとんどですが、一度スタンバイしている時にジェシーさんとお会いすることができて、その時ご挨拶をしたら「知っているよ~。(京本)大我のドラマに出ていたよね」と声をかけてくださいました。京本さんとは、以前「お迎え渋谷くん」というドラマに出ていて、一緒のシーンはなかったんですけど、知っていてくれたのがうれしかったし、キュンとしました(笑)。
では、今後、ジェシーさんとの絡みもあるかもしれないと……。
あってほしいと願っています!実は「お迎え渋谷くん」のときも、原作では京本さんが演じた渋谷くんと僕が演じた本田の絡みがあったんですけど、ドラマでは描ききれなくて一度も共演できなかったので、今後ジェシーさん演じる杉浦義弘との共演シーンがあるのかというところも含めて、ぜひ最終話まで楽しみにしていてください。
ところで、先日、Instagramで「バサラオ」を観劇されたと投稿されていましたね。共演している古田さんや、事務所の先輩・中村倫也さんもご出演されている舞台ですが、どんなものを受け取りましたか?
昔の時代背景を題材にしたミュージカルを見るのが初めてだったので、まずそこに新鮮さを感じました。何よりも倫也さんの歌声が素敵で聴き心地が良すぎて!主演の生田斗真さんをはじめ、登場人物みなさんの見た目が美しく、その美しい人たちが目の前を行き来していると、それだけでドキドキしてしまいました(笑)。
長時間ではありましたが、始まってみると歌もお芝居も本当に素晴らしくて、一瞬で虜になり、あっという間でした。歴史を学ぶという意味でもすごくいい作品だなと思いました。どのジャンルにも振り分けられるし、逆に言えばどれにも当てはまらない、新しいジャンルの作品だなと思いました。
中川さんは舞台未経験とのことですが、舞台への挑戦心はわきましたか?
「バサラオ」の少し前に、同じ事務所の豊田裕大くんが出ている舞台『ハムレット』も観劇させてもらいました。ミュージカルはハードルが高いかもしれないですが、その2作を観て、映像とはまた違った表現だけど、どちらも胸を打つ作品だったので、僕もいつか挑戦してみたいなと強く思いました。
舞台は毎回、お客さんの目の前でお芝居をしますからね。
お客さんの顔が見られるというのも舞台ならではですし、きっと緊張感も映像作品とはまた違うものがあると思いますが、僕が舞台をやってみたいと思う1番の理由が、カーテンコールです。お客さんの拍手を聞くだけで達成感が得られるだろうし、自分の気分も上がって励みになるだろうなと思うので、いつか実際にその景色を見られるように頑張ります。
現在18歳。進学せずに俳優1本でやっていくと決められたそうですが、そう思うきっかけがあったのですか?
去年の12月に誕生日を迎え、18歳になったタイミングで「本気で俳優をやっていきたい、この仕事1本でやっていこう」と決めました。今までは学業のことが頭によぎってしまうことがあったのですが、自分なりのけじめをつけたくて。それに「大学は今行かなくても」という考えもあったし、何よりも「今はお芝居をしたい」という気持ちが強かったんです。
今回のドラマの出演が決まって、人生で初めてハイトーンカラーにも挑戦できたこと、今はすごく新鮮な気持ちですし、この選択をしたからこそこれからがより楽しみです。
その選択を踏まえて、これから目指す「俳優像」を教えてください。
今、やっとスタートラインに立てたなという感覚があるので「もっとこうした方がよかったかな」と振り返っては試行錯誤しながら、その時によって「こういう俳優になりたい」という理想像が、徐々に自分の中で強いものになっていくと思います。
僕は事務所の先輩たちに憧れて入ったので、いずれはみなさんのような俳優になりたいのですが、この髪色に変えたこともあって「志尊淳さんや道枝駿佑さん(なにわ男子)に似ているね」と言われる機会が増えたんです。なので、直近の目標で言うと、密かにお二人との兄弟役を狙っています。
見た目や雰囲気が似ている俳優さん同士で兄弟役のキャスティングというのも、新しいですね!
小学生の頃から言われることはあったんですけど、道枝さんも役作りで銀髪にされていた時があったので、それもあって今は「似ている」と言われるのが多くなったのかな。なので、頑張れば双子役でもいけるんじゃないか…と、勝手に思っています(笑)。
中川翼
なかがわ つばさ
2005年12月6日生まれ。
とても謙虚に周りにお辞儀をして物腰の低い雰囲気で登場された中川さん。最初は少し緊張していたのか、取材は進むにつれ、徐々に柔らかい表情で撮影もインタビューをすることができました。インタビュー時では、年齢以上に自身の意見や考え方がしっかりとしていて、伝えたいことや話したいことが常に定まっているのが感じ取れるぐらいにはっきりとした返答でとても魅力あふれるインタビューのお時間となりました。撮影時でも常に落ち着いていて、カメラマンの要望やポージングに瞬時に判断し応えてくださるので、中川さんのおかげもあり撮影もスムーズに進めることができました。
これからも周りに対する気配り心配りをしつつも、自分自身の考えや軸をぶれずに持ち目標に向けて一歩一歩進まれている中川さんのご活躍を心から応援しております。
初出演ありがとうございました!
最近の出演作に、テレビドラマでは、関西テレビ、フジテレビ『お迎え渋谷くん』やテレビ朝日『相棒season 22』(‘24)、NHK総合『大奥 Season2「幕末編」』(‘23)、映画では、『スパイスより愛を込めて。』(‘23)、『耳をすませば』(‘22)などがある。また、待機作として、映画『うちの弟どもがすみません』(24年12月6日公開)や、NHK土曜ドラマ『水平線のうた』(25年3月1日、8日放送)が控えている。
【番組情報】
モンスター
10月14日 (月) スタート
カンテレ・フジテレビ系
毎週月曜 後10.00~10.54 ※初回は15分拡大
【出演】 趣里 ジェシー(SixTONES) 宇野祥平 音月桂 中川翼 YOU 古田新太
※Team Credit
カメラマン:八重樫ケイン
ヘアメイク:三河内靜香(AIR)
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿