中村蒼
もし近くに悩んでいる人がいたら、少しでもその人の気持ちを和らげてあげたい
2006年に舞台『田園に死す』で主演、俳優デビュー以降、これまで数々の作品で役者としての頭角を現している中村蒼さん。インタビュー後編では、不安になった時の対処法やリフレッシュ法など、中村さんのパーソナル面に迫ってみたいと思います。
「沈黙の艦隊」の原作は約30年前に連載されていた作品ですが、読んだ感想を教えてください。
今回のお話をいただいてから原作を読んだのですが、潜水艦がメインになった漫画を読むのは初めてでした。絵から感じるエネルギーがすごくて、熱い思いが伝わってくる作品だなと思いました。
連載当時の世代の人たちにお話を聞くとみなさんこの作品を読んでいて「自分はどう思うか」ということを仲間内で話し合っていたということを聞きました。そんな風に読者を作品の世界観に一緒に巻き込み、マンガを通じて政治に訴えるということも含め、高貴なムーブメントを起こした作品ということを改めて知りました。
私も全巻読んだのですが、メディアや政治も巻き込んだ展開で、頁(ページ)をめくる手が止まらなかったです。中村さんはどんなところに面白さを感じましたか。
僕たちからすると潜水艦って謎な部分じゃないですか。その中で行われていることは基本的には秘密事なのですが、艦内の様子や仕組み、それぞれの役割が細かく描かれていたのが印象に残りました。そういうのって男心がくすぐられるんですよね
作中では、中村さん演じる山中が、同じ「やまと」の乗組員・入江を気にかけ、優しい言葉をかける場面もありました。もし中村さんが後輩に相談を持ち掛けられたり、悩んでいる姿をみかけたりしたらどうされますか?
う~ん、難しいですね。僕自身は山中とは正反対だと思っていて、自分がその人よりも経験を多く積んでいないと、すぐに答えたり何か助言したりすることはできないと思います。なので、僕にできることは直接的にアドバイスするよりも、ほかの話題をもちかけて、少しでもその人の気持ちを和らげてあげることくらいかなと思います。
それだけで十分優しい心遣いだと思います! 中村さんはもうすぐ33歳ですが、30代に入ってこれまでの価値観や人生観に何か変化はありましたか?
よりいろいろなことに気づくようになったし、ちゃんと先を見るようになった分、どんどん不安が増している感じもします。若い時は役についてやお芝居の不安は毎日のように思っていましたけど、今はひとりの人間として人生を考えた時に「大丈夫かな」と思うことが増えたし、考えることも多くなりました。
年齢を重ね多分、より広い目でいろいろなことが見えてしまうから、考えることも不安になることも多いのでしょうね。不安になった時はどのように解決されていますか。
特にこれといった解決法はなくて「もうずっと付き合っていくしかないな」って思っています。
ずっと不安を抱え続けるのはしんどくないですか?
とてもしんどいですけど、そういうものなのかなとも思うんです。でも、時々現場で先輩方とお話させてもらうと、自分と同じように悩まれていたことがあったり、未だに悩まれているというお話を聞いたりすると「あぁ、自分だけじゃないんだな」と思えるので、そうやって時々だれかと話して、少しずつ和らげていく感じです。
何かご自身なりのリフレッシュ法があれば教えてください。
ラジオが好きなので、聴いている時は他のことは何も考えず、耳に入ってくることだけに集中できるんです。特にくりぃむしちゅーさんのラジオ番組が好きで、今もよく聴きながらリフレッシュしています。
ラジオのどんなところに魅力を感じますか?
パーソナリティーの方とリスナーの距離感が近い感じがするんですよ。例えば、その人たちが学生時代の話をしていたら、自分はその学校とは関係ないのに「自分もその学校にいたんじゃない?」っていう錯覚すら覚えて(笑)。声だけしか聞こえないのに、なんでこんなに身近に感じるんだろうと思うところが一番の魅力かなと思います。あとは「この人たちは普段こういうことを考えているんだ」といった、テレビだけでは分からない部分も知れるのがすごく楽しいです。
では最後に。もうすぐ春なので、なにか新しくチャレンジしてみたいことはありますか?
仕事に関しては常に新しいことをしているなと感じています。その作品ごとに違う人間を演じているし、毎回新しい職場に行っているような感覚はありますね。でも、今回ご自身で出演しながら作品をプロデュースされている大沢さんを間近で見ていて、もしかしたら自分にも、そういう考えがこれから必要になってくるのかなと思いました。
中村蒼
なかむら あおい
1991年3月4日生まれ。
インタビューでは周囲にたくさんの人がいましたが、周りを気にされないぐらいとても高い集中力を持つ中村さん。低く囁くような素敵な声に聞き惚れていると時より見せるクシャッと笑う笑顔は魅力的でした。真面目なお話ではまっすぐとしっかりこちらを見つめる瞳ははとても印象的でした。終始気さくでありのままでいてくださり、撮影終わりにしっかりとした挨拶には、こちらも頭を深く下げてしまうほど誠実で真面目なお人柄でした。
初出演ありがとうございました!これからもどんどん増す大人な魅力の中村さんを応援しております!
最近の主な出演作に、テレビドラマでは、NHK総合『大奥 Season2』、連続テレビ小説『らんまん』、WOWOW『なかせたんと青と-いちかの料理帖』、映画では、東宝『沈黙の艦隊』ワーナー・ブラザース映画『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』などがある。
©2024 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES.原作/かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』(講談社「モーニング」所載)
Amazon Original ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン 1 ~東京湾大海戦~』作品概要
タイトル:Amazon Original ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン 1 ~東京湾大海戦~』
配信日:Prime Video にて世界独占配信中
話数:全 8 話
キャスト:大沢たかお 玉木宏 上戸彩 ユースケ・サンタマリア 中村倫也 中村蒼
松岡広大 前原滉水川あさみ田中要次 田口浩正アレクス・ポーノヴィッチ リック・アムスバリー 橋爪功
岡本多緒 手塚とおる 酒向芳 笹野高史 夏川結衣 江口洋介
原作:かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」(講談社「モーニング」)
監督:吉野耕平(1 話、2 話、7 話、8 話) 中村哲平(3 話、4 話) 蔵方政俊(5 話) 岸塚祐季(6 話) 脚本:髙井光 鎌田哲生 音楽:池頼広
主題歌:Ado「DIGNITY」(ユニバーサル ミュージック) /楽曲提供:B’z
クレジット:©2024 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES.原作/かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』(講
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Jacket:¥44,000 YOKE(ENKEL)
Shirt:¥35,200 URU(ENKEL)
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・ENKEL
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カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:荒木 大輔
スタイリスト:高草木 剛
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿