一ノ瀬颯
日曜劇場『Get Ready!』
憧れの堤幸彦作品に参加し、俳優としての夢が叶った
堤幸彦が演出を手掛け、1話完結で構成される医療ヒューマンエンターテイメント『Get Ready!』。注目度の高い日曜劇場で、自身にとって三度目の医者役として出演しているのが一ノ瀬颯さん。オペの才能を見込まれて日本トップクラスの大学病院に呼び寄せられた外科医・染谷慈恩を演じる彼に、作品や役どころへの想いをお尋ねしました。本作への出演を機に「夢が叶った」と語る、その理由とは?
<あらすじ>
多額の報酬と引き換えに手段を選ばず患者の命を救う謎の闇医者チーム、通称「仮面ドクターズ」。孤高の天才執刀医・エース率いるチームのメンバーはターゲットとなる患者の前では仮面で顔を隠し、その正体は世の中には知られていない。そんな彼らが患者選別のため秘密裏にカルテ情報を入手しているのが、日本トップクラスの医療技術を誇る千代田医科大学附属病院。こちらで対応できなくなった患者に近寄り手術の交渉をおこなう彼らの手口や存在に院長は嫌悪感を抱き、逮捕に向けて警察の協力を仰ぐことに。ところが捜査が進むにつれて、病院と「仮面ドクターズ」の間に深い関わりがある可能性が浮上して…?
三度目となる医者役は才能あふれる外科医。
演じてみていかがですか?
今回は外科医ということで、初めて白衣を着た医者の役なんですよ!過去二作品で演じたのは研修医と救急医の役だったので、衣装が専用のスクラブ(医療着)でした。医者として患者さんを担当する役どころも初めてで、そのぶん今まで以上に責任を感じる立場。立ち居振る舞いの部分も、しっかり経験を積んでいて実力のある存在に見せなきゃいけないなと思いました。
演じている染谷慈恩は
どのようなキャラクターですか?
染谷は、命を救いたいという気持ちが人一倍強い性格。その一面は、今後の医療について新しい治療にトライしていくべき、と院長や医局の仲間に意見を伝えるシーンなどによく表れてます。なので、仮面ドクターズがやっていることは良いことではないけれど、命を救っているのは事実だし…とモヤモヤとした気持ちを抱えているんです。でも染谷はオペの才能を見込まれてスカウトされたおかげで日本トップクラスの大学病院で働けているし、院長の娘と婚約していることもあって、院長には逆らえないという葛藤に苦しんでいます。
染谷は第1話から
「仮面ドクターズの技術はすごい」
と発言するなど、
一目置いている様子がありますよね。
同じ第一外科の仲間たちも仮面ドクターズに興味はあるけど、実力や存在を認めているわけじゃない。でも染谷は「命が救われるならそれも有りなんじゃないか」という考えを誰の前でも出してしまうので、周りをヒヤッとさせることがあるんです(笑)。外科医仲間たちからは「染谷は出世コースだから将来は安泰」と言われるものの、病院の医療では救えない命があると無力さを嘆いてしまう。自分の立場や考え方の違いから、他の人には理解してもらえない悩みも多いだろうなと思います。
堤幸彦が演出を手掛ける日曜劇場に
参加が決まった時、どんな気持ちでしたか?
僕は勉強と部活動ばかりでテレビをほとんど観ずに育ってきたので、俳優を始めるまではあんまりドラマや有名な監督について詳しくなかったんです。そんな僕が唯一、昔から名前を知っていたのが堤幸彦さん!とくに『SPEC』シリーズがめちゃくちゃ好きで、ドラマの公式本や餃子のストラップを買うくらい大ファン(笑)。芸能界に入ってから「いつか堤監督とご一緒したいな」と思っていたので、『Get Ready!』で夢が叶ってすごく嬉しかったです!それに堤さんの作品はカット割や撮り方が特徴的で、どうやって撮っているのかずっと興味があって。出演が決まってからクラインクインするまでずーっと楽しみにしてました。
実際に撮影してみた感想は?
堤さんは指示が独特で面白いなと思います。とりあえず一回芝居を通しで見てから、「ここでいきなり叫んでみて」、「このセリフだけ大声で言ってみて」と指示を重ねていくんです。シーンによっては「そんなことして大丈夫なの!?」と驚くこともありますが、キャストのみなさんも即座に対応して、堤さんがひらめいたものを形にしようと演じてます。僕が今まで経験してきた現場ではキャラクターをなるべく自然体で演じるように言われていたので、思いがけない言い回しや演技を要求されるのは初めてでした(笑)。そんな堤さんの頭にだけ浮かんでいた映像が形になり、出来上がったものを見ると、「僕が好きだった堤作品はこんなふうにして作られていたんだ」と答え合わせに繋がるんです。
コメディや意外性のある演出を盛り込むのも
堤作品ならではですよね(笑)。
染谷は基本的に院長に怒られているシーンばかりですし、キャラクター的にもコメディ色を出しにくいのか、あまり突拍子もない行動を要求されることはないんですよね。そのなかでも、第1話では点滴棒を振り回して仮面ドクターズのドローンカメラをぶち壊したり、院長が総回診する大名行列のシーンでは列にうまく合流できなくてウロウロしていたり、いくつかコメディっぽいシーンがあります(笑)。
コミカルな演出が散りばめられているなかで、
撮影中つい笑ってしまいそうになった
エピソードはありますか?
第1話の総回診のシーンですね。この直前、医局の仲間たちと芋けんぴを食べながら会話していて、突然やってきた院長を前に全員急いで立ち上がるシーンがあるんです。染谷は総回診に参加する時間だと告げられて慌てて準備をするんですが、芋けんぴを手放すタイミングを失って、ずーっと手に隠しもったまま大名行列に入ろうとしています(笑)。でも堤さんからは「大名行列に入れなくても何食わぬ顔をしていてほしい」と言われていたので、笑ってしまわないように気をつけてました。
それでは最後に、
今後の見どころをお願いします!
先日放送された第6話では、染谷は院長から将来を期待されているにも関わらず、仮面ドクターズにつながる情報を警察に流すというリスキーな行動に出ます。自分の中では正しいことをしたと思っているけど、初めて院長に歯向かったことで、今後どんな関係性に変わっていくのか注目していただきたいです。じつは染谷には貧しい町工場に生まれて医者を目指したという裏設定があり、島根の大学から日本トップクラスの大学病院に引き抜かれているので、今の地位は金銭面も含めて手放したくないはず。それでも自分が理想とする医療のために危ない橋を渡り続けるのか、それとも保身に走るのか、悩む姿がたくさん描かれていきます。葛藤を抱えながらも努力する染谷を見守ってください!
一ノ瀬颯
いちのせ はやて
一ノ瀬さんが空を見上げるカットを撮影中、ちょうど上空に飛行機が通過すると「誰かを見送ってるみたいになりました(笑)?」とその場を和ませるお茶目な発言が。また当日は空が曇っていたはずなのに、撮影のために外に出ると一気に晴れ模様に! 天気まで明るくしてくれる一ノ瀬さんは、寒いなか太陽のような笑顔を見せてくださいました。
※Item Credit
シャツ¥29,700
パンツ¥29,700
イロコイ(03-3791-5033)
中に着たシャツ¥37,400
08サーカス/08ブック(03-5329-0801)
シューズ¥84,700
パラブーツ/パラブーツ青山店(03-5766-6688)
その他
スタイリスト私物
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ディレクション:半澤暁
ヘア&メイク:金田紗世子(MAKE ON)
スタイリスト:藤長祥平
インタビュー・記事:井上ハナエ