―『天才てれびくん』×前田公輝
僕にとって『天才てれびくん』はいちばんの“青春”。今の自分を作ってくれた“僕のすべて”が詰まったものです。僕に限らず、当時の「てれび戦士」たちはみんなそうなんじゃないかな。学校と両立しつつ、普通ではできないような経験をたくさんさせてもらったかけがえのない場所ですね。『天才てれびくん』のおかげで、子どもの時の記憶が薄まることなく濃く残り続けているんです。ただ、当時の映像を見返した時に目を塞ぎたくなるほど恥ずかしくもなるんですが(笑)。
―唯一無二の場所へ戻って来た…舞台化のお話を聞いた時いかがでしたか?
率直に嬉しかったですし、また帰って来られると思ってもみなかったので信じられなかったです。「てれび戦士」を卒業して、一度夏のイベントに参加させていただいたことがあったんですが、僕の中では「一度戻って来られたから満足だ」とあえて戻りたい気持ちに蓋をしていたんです。その『天才てれびくん』への想いを再び解放できるんだと思うと最高に嬉しかったですね。嬉しすぎて、出来上がった台本を読ませていただくまでは、「もしかしたらこの話はなくなるかもしれない。期待しちゃダメだ」と、自分に言い聞かせていたくらいでした(笑)。
―「嬉しすぎて信じられない!」という興奮がひしひしと伝わってきます。
最初にお話を聞いたのが半年ほど前だったんです。他の出演者の方も分からない状態でお話をいただいたので、本当にどうなるのかが分からず…。ただ、僕としてはこの舞台の上演が決定したら例え木の役でもやりたいと思っていました(笑)。
―木の役!それはそれで拝見したいです…(笑)。「てれび戦士」時代の記憶に残っているエピソードはありますか?
たっくさんあります!今回共演の望(ド・ランクザン望)とのことでいうと、僕ら2人の「てれび戦士」最後の撮影でのエピソードかな。最後のロケが2チームに分かれて2泊3日で指示された場所を巡り、どちらか先に宝の地図を手に入れたほうが勝ちといったゲームだったんです。望と僕はお互いそれぞれチームの最年長だったんですが、僕らのチームが先にゴールして望たちのチームを待っている状況になって。その後ゴールへ向かってくる望を見た時に、今までの色んな映像がフラッシュバックして、お互いに泣きながら思わず抱き合っちゃったんですよね。本当は敵同士だからそんなことしたらダメなのに(笑)。それまでずっと常に「カメラを意識して、どれだけ視聴者の皆さんに届けられるか」を大切にして頑張ってきたはずなのに、あの時だけは完全にカメラを忘れていましたね(笑)。
―「てれび戦士」たちとの再会も楽しみですね!実際、舞台のお話を元「てれび戦士」の方たちとしましたか?
卒業してからも、飯田里穂、バーンズ勇気、伊倉愛美とは4人で集まることが多く、その4人では話しましたね。望には出演が決定してからすぐに連絡をしました。「あの時の『天才てれびくん』をもう一度!というよりは、卒業後に各々が積んできた経験を持ち寄って、その引き出しからいろんなものを出していこう」と話しています。
―各々の経験が相まって、当時を知っている人にも新しい魅力をお伝え出来そうですね!
そうですね。実は僕自身、映像のお仕事が多かったので少し舞台に臆病になっていたところがあって…。
「お客さんがいなかったらどうしよう」と不安になっていたんです。でも、先行予約でありがたすぎるほどの数の応募がきたとお聞きして、意欲がどんどん湧いてきました。「待っていてくれる人がいるから頑張らないと」と奮起させられましたね。
―では最後に、舞台を楽しみに待っている皆さんにメッセージをお願いします!
僕ら「てれび戦士」は、小さい頃から“芸能界”で生きています。決して生半可な気持ちなどではなく、みんな必死に登っていこうと頑張っているんです。小さい頃はピュアだからこそ見ていたものがたくさんありましたが、ピュアが故に見えていなかったものも多かった。大人になって見えてきたものがたくさんあるけれど、今度は小さい頃に見えていたものが見えなくなって…。今このタイミングで僕らがこの舞台をやる意味はきっと、当時見えなかったものを見せるためだと思っています。今回の作品はテレビのあり方を考えさせる話でもあり、メッセージ性も強いストーリー。『天才てれびくん』を見ていてくださった方はもちろん、そうでない方にも伝わる作品になっていると思うので、ぜひ、会場に足を運んでいただきたいですね。そして何よりも、僕自身は今回出演しない「てれび戦士」の仲間たちに託された想いを抱いて舞台に立とうと決意しています。小さい頃からずっとエンターテインメントの世界で追求してきた僕らが集結するという強みを感じていただけるよう頑張ります!

前田公輝
まえだ ごうき
1991年4月3日生まれ。
基盤の揺らぐことのない自身の色、その色を器用に変化させる役者としての才に富んだ情熱的な28歳。
舞台『天才てれびくん the STAGE ~てれび戦士REBORN~』
脚本:小林雄次 演出:井上テテ
出演:前田公輝、長江峻行、鎮西寿々花、ド・ラングザン望、飯田里穂(声の出演)
高野洸、多和田任益、松村優 / 麿赤兒(特別出演)/ 横山だいすけ/2020年1月23日(木)~1月26日(日) ヒューリックホール東京
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:田中誠太朗
スタイリング・ディレクション:町山博彦
インタビュー・記事:満斗りょう