綱 啓永
映画『恋わずらいのエリー』
心折れずに果敢にアプローチする姿が礼雄の見どころ
映画『恋わずらいのエリー』に、幼なじみを想い続ける礼雄役で出演する綱 啓永。チャラめの見た目だが、恋愛には一途というギャップが魅力の礼雄を演じるにあたり、役作りでこだわった点や、青春映画の第一人者・三木 康一郎監督との撮影秘話などをお聞きしました。
©2024「恋わずらいのエリー」製作委員会©藤もも/講談社
<あらすじ>
学校イチのさわやか王子・オミくん(宮世琉弥)との妄想を“恋わずらいのエリー”の名でSNS上でつぶやくのが日課の、妄想大好き女子・エリー(原 菜乃華)。ところが、オミくんの裏の顔を見てしまったうえに、恥ずかしい妄想を彼に知られてしまい大ピンチのはずが、秘密を共有したことでまさかの急接近!。さらに、クラスメイトの要くん(西村拓哉)に“恋わずらいのエリー”であることがバレてしまうが、エリーに興味を持った要くんは「友達になって」と迫り、まさかの三角関係に?!はたして、オミくんとエリーの恋の行方は……?
綱さん演じる高城礼雄は、どんな男の子ですか?
登場人物みんなかわいいんですが、礼雄もかわいいですよね。幼なじみの紗羅ちゃん(白宮みずほ)のことが好きで、どんなにつんけんされても心折れずに果敢にアプローチする姿がすごくかわいいし、そこが礼雄の見どころなのかなと思います。
ご自身に通ずる部分はありますか?
僕も好きな子に対しては自分からアプローチするタイプなので、恋愛観は礼雄と似ていますね。
礼雄は自称・紗羅のボディーガードですが、綱さんも好きな人を守りたいタイプ?
もちろん!ちゃんと守ります。
礼雄を演じるうえで心がけていたことは?
衣装合わせのときに三木監督と話したのは、礼雄の言動は、すべて紗羅ちゃんを想ってのものだと。なので、そこを大事にしつつ、原作では“見た目がヤンキー風”という紹介文もあるので、しゃべり方も普段の自分とはちょっと変えてみたり。あと、衣装と髪型にもすごくこだわりました。
例えば、どんなこだわりが?
衣装さんと監督と一緒に話し合ったときに、ヤンキーに見えすぎないように、でも、ちょっとしたチャラさもほしいよねってなったんです。なので、制服をほどよく着崩して。あとは髪にメッシュを入れたり、アクセサリーをつけたりしました。
メインキャストのなかでは年上組というフレッシュな顔ぶれですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
いや~、ホントにキラキラしていましたね。学園モノで、みんな制服を着ていて、エキストラの方とかもいっぱいいて~という現場に、25歳の自分がいていいのかなって思っちゃう瞬間も正直あったんですが(笑)、みなさんの若い力を吸収しながらがんばりました……けど!“俺、まだ制服いけんだな”とも思いました(笑)。
空き時間などは、どのように過ごしていましたか?
原(菜乃華)さんや白宮(みずほ)さんとしゃべっていることが多かったかな。ほかのキャストにくらべて僕は撮影日数が少なかったんですが、その短い時間のなかでしっかりと関係値を作りたいなと思って。僕は人見知りで、自分から話しかけるのが苦手なんですけど、「何て(名前を)呼べばいいですか?」とか「一緒に写真撮りませんか?」とか、がんばって自分から話しかけるようにしていました。
ちなみに、綱さんはほかのキャストの方から何と呼ばれていたのでしょうか。
えっとぉ……綱さん(笑)。
あっ、そのまま名字呼びで。
でも、「“綱さん”はちょっと距離が遠くない?」ということになって。僕は下の名前で呼ばれるのが好きだから、「啓永くん」でいいよっていう話をしたんです。その日は1、2回呼んでくれたんですけど、僕が次に現場に入るのが1、2週間後だから……。
リセットされてしまった?
そう。リセットされて「綱さん」に戻っちゃいました(笑)。
お話を伺っていると、お互いにちょっと硬さをとりきれなかったのかなと……。
ウソをつく必要もないので正直に言いますけど、ずっと硬かったです(笑)。あっ、でも、マカロニえんぴつさんの話をしたな。この作品の撮影期間に、僕のバースデーイベントがあったんですよ。イベントではマカロニえんぴつさんの『ブルーベリー・ナイツ』を歌うことになっていたので、現場でもよく口ずさんでいたんです。それが白宮さんに聞こえたみたいで、「マカえんですか?」と話しかけられて。僕も「好きなの?」と聞いたりしていたんです。そしたら、ちょっと離れたところにいた原さんが「マカえんですか!?」ってスゴい勢いで走ってきて。原さんもマカえんさんが好きだったみたいで、一緒にしゃべって……というエピソードはありました(笑)。
©2024「恋わずらいのエリー」製作委員会©藤もも/講談社
共演者の方とは、お芝居の話もされましたか?
白宮さんとは一緒のシーンが多くて、アドリブが必要な場面もあったので、「ここで俺がこう言うから、ちょっと冷たくいなしてくれる?」みたいな話はしましたね。
アドリブもけっこうあるのでしょうか。
そうですね。みんなはどうかわからないですけど、僕は意外にアドリブが多いです。例えば、礼雄が紗羅ちゃんに自分の想いを伝えるシーンで。監督から「セリフを言い終わったら礼雄がグイグイいって、それを紗羅がいなして」と言われていたんです。そこの二人のやり取りは、しゃべっていることも含めて台本にはないアドリブですね。
三木監督の演出を受けてみて、いかがでしたか?
とにかく『お芝居』を大事にされている印象ですね。一つひとつの細かいリアクションとか表情とかに対して「もうちょっと、こう」とか、すごく細かく指示をくれるのでやりやすかったです。
現場では監督とお話しすることも多かった?
いや、意外にそんなこともなくて。基本的には、段取りで僕たちが持ってきたお芝居をやってみせて、「じゃあ、本番いこう」という感じなんですね。“ん?これでいいの?”“大丈夫なのかな”って不安になるくらいどんどん進んでいくんです。でもそれは、監督が役者の気持ちを大事にして、寄り添ってくれているからなんですよね。やさしい方だなと思いました。
綱さんの持っていった演技プランに対して、監督からアドバイスをもらって進化したと感じたことはありますか?
文化祭のシーンで、礼雄が紗羅ちゃんの代わりに生徒たちに怒るところがあるんですね。最初は僕、紗羅ちゃんのセリフを食うように机をバン!と叩いてセリフを言っていたんですが、監督が「紗羅がセリフを言い切ってからドン!とやったほうがいい」とおっしゃって。その通りにやってみたら、すごくよくなったんですよ。ほんのちょっとタイミングがズレただけで、全然違ったものになるんだということを学びました。
宮世琉弥さんとは、2022年放送のドラマ『君の花になる』以来の共演ですよね。
そうです。あの作品で、琉弥とはトータルで1年ぐらいずっと一緒にやっていたので、家族といるような安心感があって。今回の現場でも、琉弥がいる日はずーっとしゃべっていました。
本作の公式サイトで、宮世さんに対して「ものすごく大人になった。いろんな場数を踏んで、中から溢れ出るものを感じた」とコメントされていますが、どんなときにそう感じたのですか?
僕は、座長の空気感でその(作品の)チームの色が変わると思っているんですね。今回、三木監督がこの作品に合わせた演出のしかたをしてくださって。琉弥はそれをしっかり理解したうえでみんなをまとめていたし、現場で疲れた顔を見せることもなかった。ホントに大人になったなと思いました。撮影に入るとき、琉弥に「俺が支えられることがあったら支えるよ」と言ったけど、その必要もなかったですね。
完成した作品をご覧になっての感想を教えてください。
めっちゃキュンキュンしました!同時に、それをしっかり成立させている琉弥と原さんはスゴいなと思いました。ラブストーリーの王道的なセリフを言うのって、ちょっと照れくさいと思うんです。でも二人ともすごく自然だから、見ている側も恥ずかしさを感じないんですよね。学生時代の燃えるような気持ちを思い出して、なつかしくもなりました。
本作の公開を楽しみにしている方へメッセージをお願いします!
少女マンガ原作ということで、キュンキュンがたくさん詰まっています。でも、キュンというよりギュンとなる攻めたシチュエーションもいっぱいあって。それは、この映画ならではの魅力だと思います。物語はオミくんとエリーの恋愛が軸になっていますが、礼雄の紗羅ちゃんに対するまっすぐなアツさは、見ていて何か感じてもらえると思うので。僕の役にも注目しつつ、オミくんとエリーの恋愛を見届けていただけるとうれしいです。あと……個人的には、そろそろ制服を着る役も少なくなってくると思うので、ぜひ貴重な僕の制服姿を目に焼きつけてください(笑)。
綱啓永
つな けいと
1998年12月24日生まれ。
元気に明るく「お願いします!」と入ってこられた、綱さん。インタビューでは、映画の撮影での様子や共演者さんたちとのエピソードをたくさん話してくださいました。ご自身についてでは、家族思いな部分や友人思いな一面を聞くことができ新たな熱い一面を見ることができたような時間でした。また、たまに発するユーモアのある発言は自然と周りを和ませる力があり、綱さんの一言で現場が明るくなる瞬間がたくさんありました。爽やかさと常にポジティブで明るい印象を多く持たれている綱さんは本当にその通りのお人柄でした。
最近の出演作に、テレビドラマでは、TBS『恋愛のすゝめ』(’23-24)、フジテレビ『ぼさにまる』(‘23)、フジテレビ『ばらかもん』(‘23)、舞台では、『う蝕』(‘24)、映画では、3月15日より公開『恋わずらいのエリー』(‘24)、などがある。
©2024「恋わずらいのエリー」製作委員会©藤もも/講談社
【恋わずらいのエリー】
2024年3⽉15⽇(⾦) 全国公開
原作:藤もも『恋わずらいのエリー』(講談社「デザートKC」刊)
出演:宮世琉弥 原 菜乃華(W主演)
西村拓哉 白宮みずほ 藤本洸大 ・ 綱 啓永
⼩関裕太
監督:三⽊康⼀郎
脚本:おかざきさとこ
音 楽:林イグネル小百合
主題歌:NiziU「SWEET NONFICTION」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給:松⽵株式会社
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:牧野裕大(vierge)
スタイリスト:三宅剛
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿