阿佐辰美
映画『うるわしの宵の月』
撮影が始まると、10代のときの気持ちが少しずつ戻ってきた
映画『うるわしの宵の月』で主人公・市村琥珀と仲の良い同級生・桑畑春を演じる阿佐辰美さんにインタビュー。出演が決まったときの思いから、共演者との距離が縮まった撮影時のエピソード、神戸ロケの思い出、役に合わせた体づくりまでたっぷり伺いました。さらに、日常で「うるわしい」と感じた瞬間から、阿佐さんのピュアな素顔にも触れていきます!
©2026映画『うるわしの宵の月』製作委員会 ©やまもり三香/講談社
<あらすじ>
滝口宵(安斉星来)は、容姿端麗・スマートな「王子」と呼ばれる女子。でも内心では、その完璧な王子様像に複雑な思いを抱いていた。そんなとき突然出会ったのは、完璧なルックスを誇る高校一のイケメンで同じく「王子」と呼ばれる一つ上の先輩、市村琥珀(道枝駿佑)。
「あんた、めちゃくちゃ美しいな」
一見チャラそうに見える琥珀先輩だが、彼は宵の心に真っ直ぐな言葉をぶつけてくる。琥珀の強引なアプローチで2人は付き合うことになるが……。
映画『うるわしの宵の月』への出演が決まったとき、どのように感じましたか?
お話をいただいてから初めて原作を読ませていただいたのですが、「王子」が2人というコンセプトがすごく新鮮でワクワクしました。
恋愛漫画原作の作品に参加させていただくのは初めてだったので、「キラキラできるかな」という不安はありましたが、撮影が始まると、10代のときの気持ちが少しずつ戻ってきた感じがしました。
少女漫画は、読まれますか?
少女漫画はあまり読む機会がなくて……。ただ、いざ読んでみるとすごくキュンキュンしましたし、おもしろいなと思いました。
脚本を読まれて、どのような感想を持ちましたか?
脚本をいただいて、2人の王子を道枝(駿佑)さんと安斉(星来)さんが演じるというのを聞いて、すぐその姿が想像できました。早く現場に行って2人の王子を見たいなというのが率直な感想でした。
原作のある作品、原作が今も続いている作品は、どこを切り取って映画の枠の中に収めるかというのも大事だと思っていて、僕自身映画を観るときにそれを楽しみにしているんです。今回のストーリーは、そこがすごく綺麗にまとまっていると感じました。
阿佐さんが演じる桑畑春というキャラクターを、どのような人物として捉えましたか?
春は友人である琥珀に対して、本質的な恋愛のアドバイスをしていて。客観的に聞いても、結構、芯を食ったことを言っているなと思いました。まだまだ経験は浅いですが、アドバイスをするときに、客観的に見ることができて、本質的なことを言うところなど、大人な一面を感じるなと思います。
ただ、「あれ、でも春自身に向かう矢印とかは、全然感じられていないよな。」とも思って。原作と脚本を読んだうえで、大人な部分と、ピュアな部分、少年な部分もあるなと感じました。
琥珀と茜仙太郎と春は仲の良い同級生ですが、琥珀を演じる道枝駿佑さんと、仙太郎を演じる大倉空人さんとは、
3人の関係性をどのように作っていきましたか?
撮影が進むなかで、空き時間に3人で話したりしていました。図書室のシーンで男子組と女子組に分かれていたときに、3人で編み出したゲームをして、一気に距離が縮まりまりました。
どんなゲームなんですか?
「今、なんて言ってるでしょう?」と、ジェスチャーと口パクだけでちゃんと伝えられるか、というゲームです。3人で順番にやっていました。
それが多分、撮影の3日目か4日目ぐらいで。一気にぎゅっと距離が縮まった気がします。
劇中からも仲の良さが伝わってきました。特に神戸旅行のシーンが楽しそうでしたが、
撮影で思い出に残っていることはありますか?
神戸旅行は本当に楽しかったです。学生のときに、仲のいい友達と少し遠出するみたいな感覚がありました。
花火が上がって、それをみんなで見るシーンもあるのですが、実際に花火が上がるのを待って、そこを狙って撮影したんです。少しゲリラ的というか。それを逃してしまうと、もう撮れない、みたいな。緊張したというよりは、すごく生な感じがして、楽しかったです。
実際の花火大会だったんですか?
その日に神戸で花火が上がるというのが、撮影のスケジュールに入っていて、そこを狙って、という感じでした。
花火はきれいでしたか?
すごくきれいでした。でも、見惚れている感じではなくて、高校生が久しぶりに花火を見た感じを表現するために、みんなでテンションを上げて、楽しみました。
春の筋肉も見どころだと思いますが、撮影に向けて体づくりはされましたか?
何もしていないと、もともと線が細いので、衣装合わせから撮影が終わるまでは、筋トレをしていました。特にタンクトップを着るシーンでは、撮影の直前まで、仙太郎役の大倉さんに手伝ってもらいながらトレーニングをしていました。
具体的には、どんなトレーニングを?
普段は自重トレーニングをやっているのですが、腕をちょっと大きくするために、ダンベルを使っていました。基本的には家で、毎日筋トレをしていました。
本作では、自分の気持ちを相手に伝えることの大切さや難しさも描かれていると感じました。
阿佐さんは、自分の思いを言葉で伝えますか? それとも、行動で示しますか?
時と場合によるのですが、言った方がいいときと、言わない方がいいときを結構考えています。臆病になって言えないときも多いですが、何かのためになるならば、そこは思い切って言った方がよかったりするのかなと、最近は思っています。
例えば作品づくりのときも、臆病になって監督に相談できなかったこともありましたが、自分がこういうふうにしたいからというよりは、「作品のために何かできることはないか」と思うと、「じゃあ、きちんと言わないと逆に失礼なのではないかな」と。
行動に移せるように、少しずつ変わってきたかなと思います。
作品のタイトルにちなんで、最近「うるわしい」と感じたものや瞬間を教えてください。
駅から家まで帰るときに、駅を出た瞬間、土砂降りになってしまって。でも、傘がなかったんです。
歩いてそんなに時間がかからないので、そのために傘を買うのもなと結構悩んでいたのですが、「もう濡れちゃえ!」と思って濡れてみたら、意外と気持ちよくて。
びっちょびちょなのに、気持ちが晴れやかになったというか。「あれはうるわしかったな」と思いました。
ずぶ濡れになることって、めったにないですよね。
なかなかないですよね。
毎日お風呂に入るじゃないですか。それとはまた違って、服を着たまま、ずぶ濡れで歩くというのが気持ちよくて。普段より、少しゆっくり歩いていたような気がします。
2022年の俳優デビュー以降、映画やドラマなどさまざまな作品に出演されています。
これまでの経験を通じて、俳優としての変化や手応えを、どのように感じていますか?
現場に入るごとに、お芝居の考え方も変わっていっています。
「こういう考え方がいいのかな」と思って次の現場に行くと、また「あれ、全然違った」というようなことの繰り返しです。
なので、全ての現場でいろいろ学ばせていただいているという感覚です。
今作は同世代のキャストも多いですが、皆さんから受ける刺激はありましたか?
もちろんありました。今作でいうと、現場を盛り上げてくれていたのが大倉さんだったんです。僕よりも年齢は2つ下なのですが、場を回す明るさを持っていて、それがすごくかっこいいなと思いました。
道枝さんは、主演としてどしっと構えてくださっていて。道枝さんと大倉さんは同い年で、リスペクトするところがたくさんあって。純粋に人としていいなと思う刺激を、たくさんいただきました。
ご自身が映画『BONJI INFINITY』で主演を経験されたときは、どっしり構えられていましたか?
多分どしっとしてないです(笑)。結構ふらふらっとしていたと思います。
でも、そのときは、主演だからといって特に何か感覚が違うというふうには思っていなかったです。
今後、挑戦してみたい役や作品はありますか?
悪役です。
ただ、ただの悪じゃなくて。例えば主人公がヒーローだとしたら、そちら側から見れば確かに悪かもしれないけれど、ヒールな部分の中にもちゃんと大義があって、しっかり正義を持っているというような。その方が魅力的ですし、作品のパワーも強くなると思っているんです。
そういう、ちゃんとした人間で、悪役として描かれている役をやってみたいなと思います。
最後に、作品を楽しみにしている読者の皆さんにメッセージをお願いします。
原作の『うるわしの宵の月』のファンの皆さん、アニメファンの皆さん、実写化で初めてこの作品を知って、見てくださる皆さんにも楽しんでいただける作品になっていると思います。
本当に、2人の王子がとにかくキラキラしていて。原作の良さは、しっかりとこの作品に紡がれていると思うので、ぜひ皆さんにも大きなスクリーンで、うるわしの世界に浸っていただきたいなと思います。
阿佐辰美
あさ たつみ
2000年8月27日生まれ。
2022年に俳優デビューを果たし、SPドラマ「君と世界が終わる日に」(2023年)などの出演を皮切りに俳優として活躍中。主な出演作にドラマ「宙わたる教室」(2024年)、映画『ブルーピリオド』(2024年)、大河ドラマ「光る君へ」(2024年)、映画『遺書、公開。』(2025年)、映画『ブラック・ショーマン』(2025年)、映画『BONJI INFINITY 』(2026年)、ドラマ「100日後に別れる僕と彼」(2026年)、ドラマ「ムショラン三ツ星」(2026年)、映画『 黒牢城 』(2026年)などがある。
「作品のために何ができるかな」と考えることで、少しずつ思いを伝えられるようになってきたという阿佐さん。原作を読み込み、ファンとしての目線も大切にする阿佐さんの言葉から、作品への真摯な向き合い方が伝わってきました。
撮影準備では、土足禁止のスタジオで靴に養生テープを貼る作業を率先して手伝ってくださる一面も。気遣いに溢れ、少年のような人懐っこい笑顔が印象的な阿佐さんでしたが、撮影に入ると一転して、大人っぽいミステリアスな眼差しに。阿佐さんが語った春への印象にも近いそのギャップに、スタッフからは「イケてる!」「かっこいい!」の声が続出。和気藹々とした撮影現場になりました。
映画『うるわしの宵の月』では、春の大人な一面と少年らしさにも、ぜひ注目してみてください。これからの阿佐さんのご活躍も応援しております。ご登場ありがとうございました!
©2026映画『うるわしの宵の月』製作委員会 ©やまもり三香/講談社
映画『うるわしの宵の月』
全国東宝系にて公開中
原作: やまもり三香『うるわしの宵の月』(講談社「デザート」所載)
出演: 道枝駿佑 安斉星来 水沢林太郎 星乃夢奈 鈴川紗由 大倉空人 阿佐辰美 与田祐希 藤木直人
監督: 竹村謙太郎
脚本: 徳永友一
配給: 東宝
※Team Credit
カメラマン:髙橋耀太
インタビュー・記事:小谷康貴