稲葉友
少年野球時代の経験は
人格形成に深く影響している気がします
芝居では役柄を分析しながら作品に向き合い、ラジオではリスナーの生活にそっと寄り添う。どんな時も深く思考することで、他にはない感性が身についたのだろうか? そんな抜き出た雰囲気をまとう稲葉友さんは、2023年6月16日公開の映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』に出演。作品の内容に絡め、稲葉さんのパーソナリティについて3つの質問にお答えいただきました。
<あらすじ>
30歳のちばしんは、ニートで引きこもっている。ある日、彼のもとに小学生の同級生で親友だったながちんが、借りていたゲームソフトを返すため、20年ぶりに現れる。幽霊を自称するながちんは、ちばしんに「自分の死体を見つけてほしい」という相談を持ちかけ……?
映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』は
小学生からの親友との青春ロードムービー。
稲葉さんが小学生の頃の思い出を
ひとつ教えてください。
少年野球の思い出が一番あります。いまだに思い出すエピソードは、ピッチャーとしての挫折(笑)。僕は身体が小さい時から始めたから、成長に合わせて外野、内野、ピッチャー、キャッチャー…って全ポジションを経験してきたんですよ。一時期はピッチャーとして投げ込み練習をしっかりやってみようと決意して、けっこう練習していました。そして練習試合で9回裏まで投げさせてもらった時に、ピッチャーは性分に合わなさすぎることに気づいてしまって。試合結果がどうこうではなく、自分をきっかけに試合がスタートするのはなんか違うかも…みたいな。ピッチャーはできるやつにしかできないんだと、小学5年生にして痛感しました。もちろん能力とか、向き不向きもありますけど、ピッチャーって性格も大切な要素だと思うんですよね。
僕はいまだに人間的にそんな節があるというか、自分はピッチャーじゃないっていう感覚があるので、少年野球時代の経験は人格形成に深く影響している気がします(笑)。ただ、ピッチャーのような花形のポジションは自分にはあまり刺さらないけど、必ずしも花形が物語における主役ではないと思っていて。だからこそ、作品で主演をやらせていただくことに対しては楽しむことが出来ているんだと思います。
親友だった小学生時代を超えて、
30歳の大人になって親友の前に現れたながちん。
稲葉さんは芸能生活を始めて14年経ちますが、
自分なりに大きく成長したと思う部分は
ありますか?
うーん、何か胸を張って成長しましたって言えることはないです。楽器が弾けるようになったり、アクションができるようになったり、最近は食事内容を意識するようになったり、いろいろと変化はあります。でも、人間的な根本は変わっていないように思います。
これについては去年、久しぶりに地元の古い友達たちに会った時にしみじみ実感しました。みんなそれぞれ結婚して奥さんや子供がいたり、社会的立場が大きく変わったりしているにも関わらず、喋っているときの雰囲気や感覚は昔のままで。根本にあるものから派生して今に至ってるから、変化というのもなんか違うよなぁと思っていました。それを成長と捉えても良さそうですが、あくまで人生の延長線上にあるような気がするから、成長したなって言い切るのは自分には難しいかもしれない(笑)。
作品内でながちんが生前の後悔を
口にするシーンが印象的でした。
稲葉さんが死ぬまでにやりたいことを
3つお願いします!
作中ではながちんは食い逃げをしてみたくてやっていたけど、現実ではやりたいと思わないから(笑)、なんだろうなぁ…。「人生で一度はやってみたい」って意味で考えると、まずは海外に長期間行きたい。1ヶ月くらいで良いのでじっくり滞在したいですね。2つ目は、自分の畑を持ってみたい。実家の近くで家族が畑を持っていて、たまに自分も訪ねているんです。そこを引き継ぐ形でも構わないんですが、いずれ自分で何かを作るような空間を持てるようになりたいな。
3つ目は飛躍した発想になっちゃいますが、孫の顔が見たいですね。自分の子供にももちろん会いたいけど、死ぬまでに孫の代まで見届けたい(笑)。自分の両親が孫の顔を見ている表情が、なんか良いなと思ったんですよね。親になった兄の姿を見てもグッとくるけど、両親が孫と接してるときの顔を見て、「こんな表情するんだ」みたいな気持ちになりました。今後の人生、どのくらいの時間がかかるかはわかりませんが、いずれその段階までたどり着きたいなと思いました。
稲葉友
いなば ゆう
野球少年時代の話をしている最中、自分がピッチャーに向いてないと痛感したことを話しながら、両膝を抱えてどんどん縮こまってしまった稲葉さん。可愛らしい仕草をしたかと思いきや、余生に想いを馳せる表情は驚くほど達観していて、短い間にさまざまなギャップを見せてくださいました。いろんな意味で目が離せない稲葉さんに今後も注目!
1993年1月12日生まれ。
最近の出演作に、映画『恋い焦れ歌え』(22)、ドラマ『みなと商事コインランドリー』(22)、『つまらない住宅地のすべての家』(22)、『大病院占拠』(23)などがある。また、現在放送中のドラマ『明日、私は誰かのカノジョ Season2』(23)に出演中の他、7月25日22:00~放送スタートのNHKドラマ10『しずかちゃんとパパ』に出演。
©「よっす、おまたせ、じゃあまたね。」製作委員会
映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』
6月16日(金)より
東京・シネクイントで1週間限定レイトショー
6月23日(金)より
アップリンク吉祥寺、kino cinema立川高島屋S.C館ほか全国で順次公開
[出演]
橋本淳 稲葉友
安倍⼄ 森⾼愛 マメ⼭⽥ ⼊江雅⼈ 千葉雅⼦
中村まこと 市川しんぺー 他
[監督・脚本]猪股和磨
[⾳楽]KiQ
[エグゼクティブ・プロデューサー]⽵内崇剛
[プロデューサー・編集]篠⽥知典
[撮影]平井諒
[照明]富⾕颯輝
[録⾳]⼩濱匠
[⾐装]庄司洋介
[ヘアメイク]⼭⽥亜美
[部屋装飾]藤本楓
[助監督]志筑司
[制作担当]井⼝慶
[宣伝美術]橋本興平
[製作]「よっす、おまたせ、じゃあまたね。」製作委員会
[配給・宣伝]SPOTTED PRODUCTIONS
※Item Credit
ジャケット¥63800/スティーフ(スティーフショールームTEL:03-6721-0549)
シャツ¥13200/ヌワールファブリック(ジーンズ ファクトリー 卸団地本店 TEL:088-861-5100)
パンツ¥35200/ハビィー(ハビィー TEL:03-6555-5451)
シューズ¥16500/ヴァリジスタ グローバル スタジオ(アースマーケティング TEL:03-5638-9771)
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:永瀬多壱
スタイリスト:添田和宏
ディレクション:半澤暁
インタビュー・記事:井上ハナエ