阪本奨悟
演劇調異譚「xxxHOLiC」
CLAMPの大ヒット作品をオールメイルで舞台化
四月一日君尋を演じる阪本奨悟が読み解く
『xxxHOLiC』の不思議な魅力
クリエイター集団CLAMPの大ヒット作品『xxxHOLiC』が、演者全てが男性のみで構成されたオールメイルで舞台化される。同作品の独特な世界観とオールメイルの融合は、一体どれほどまでに耽美な化学反応を生み出すのだろうか。主要人物の一人であり作中唯一のツッコミ役でもある「四月一日君尋」を演じる阪本さんは、この摩訶不思議な作品の斬新なスタイルをどのように受け止めているのか。インタビューpart.1ではまず阪本さんが読み解いた『xxxHOLiC』の魅力をお届けしていきます。
演劇調異譚「xxxHOLiC」
<あらすじ>
アナタの願い、叶えましょうーー
“アヤカシ”を視たり、引き寄せたりする体質に悩む高校生・四月一日君尋。“ミセ”と呼ばれる屋敷で来客者の願いを叶え続ける女主人・壱原侑子。侑子は“アヤカシ”が視える体質をどうにかしたいと悩む四月一日の願いを見抜く。しかし、その願いを叶えるためにはそれに見合った「対価」が必要だという。「対価」を生むために半ば強引に“ミセ”でのアルバイト生活が始まるーーこの世に偶然なんてない、あるのは……必然だけ。
原作漫画は読まれましたか?
全て読みました! 率直な感想としては、本当に世界観が独特だなと。普通の視点から物事を描いていないんですよね。例えば、なんてことない日常生活のストーリーでも、その視点からなんだ、というような斜め上のポイントから物語が始まったりして。読んでいて新鮮でしたね。読み進めていく中でどんどん病みつきになる感覚があり、まさにタイトル通り中毒性がある作品だと思います。
どういったポイントに病みつきになったんですか?
読んでいると色々と考えさせられるところ、ですかね。序盤の物語で、日常的に嘘をついてしまう女性が出てくるんですけど、その嘘が原因で不幸になってしまって。その因果関係の描き方がシンプルなんですけど奥深くて。やっぱり視点が面白いですよね。僕も日常生活で何の気なしにやっていることが未来に大きな影響を与えているんじゃないか、とか考えたりしてました(笑)。
『xxxHOLiC』の深いところを探っていく
読み方をされたんですね。
そうですね。この作品の雰囲気を作り上げている“らしさ”って何だろう、というのを知りたくて。そこは演じる上でも大切になってくると思ってました。
特に物語の中で印象に残っているシーンはありますか?
印象的なシーンばかりなんですけど、登場するキャタクターたちの掛け合いが特に面白かったんですよね。本当にどのキャラクターも癖が強くて(笑)。例えば座敷童は四月一日に対しての想いの伝え方がちょっとヤバめで。バレンタインデーに百目鬼の体から魂ごとチョコを取り出して四月一日に渡すんですよ。彼女なりの恋心を伝えるピュアな行動だとは思うんですけど、ヤバいですよね(笑)。ただ、侑子さんも作中で言っている通り、僕らの常識って人間が勝手に作ったもので、それはアヤカシには関係なくて。確かに、座敷童は座敷童のルールで動いているだけで、おかしいと思う僕が歪んでるのか? とか思ったり。それくらいキャタクターが立っていて言葉にも不思議な説得力があるんですよね。
今回演じられる四月一日の印象は?
最初は真っ直ぐな男の子、というイメージを持っていました。でも作中で侑子さんや周りの人たち、アヤカシと関わっていく内にガラリと性格が変わっていって。その変わっていく様も丁寧に描かれていて僕はそれを「青春だな」と感じましたね。四月一日の年齢の時って、何かと多感じゃないですか。色々なことに影響を受けたし、色々なものに今以上に敏感に反応したり。周りに翻弄される四月一日を通して、なんだか自分の青春を思い出しました。
四月一日と共通している部分もあったりしたんですか?
四月一日ってひまわりちゃんが大好きじゃないですか。ひまわりちゃんに対してどういう風にアプローチしようか、と悩んでいるところとかは、めちゃめちゃ共感できましたね。ひまわりちゃんが百目鬼のことを気にしているところを見て落ち込んだりして。僕の中学生時代を思い出しました(笑)。
作中で多くの人たちが対価を払って
何かを叶えようとしています。
阪本さんは対価を払ってでも
手に入れたいものはありますか?
パッと思い浮かんだのはギターですね(笑)。やっぱりいいギターほど音が明らかに変わるので。音の説得力が違うと言いますか。なので、どんな高い対価を支払ってでも手に入れたいですね。めちゃめちゃ現実的ですみません(笑)。
阪本奨悟
さかもと しょうご
1993年6月13日生まれ。
彼が紡ぐ言葉の柔らかさと力強さが、混在する世界で人々を魅了する28歳
演劇調異譚「xxxHOLiC」
天王洲 銀河劇場(東京):2021年9月17日(金)~9月26日(日)
京都劇場(京都):2021年10月1日(金)~10月3日(日)
企画:大川七瀬/松田誠
原作:CLAMP『xxxHOLiC』(講談社)
演出:松崎史也
脚本:畑雅文
出演:太田基裕/阪本奨悟/「松島勇之介/赤澤遼太郎
末次寿樹 西山蓮都(Wキャスト)/前田武蔵 升谷天(Wキャスト)
櫻井圭登/梅澤裕介(梅棒) 遠藤誠(梅棒) 五十嵐結也
大平峻也/三上俊 ほか
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:金田紗世子
スタイリスト:カワセ136
インタビュー記事:山根将悟