本田響矢
BS-TBS 木曜ドラマ23「すぱいす。」
祐樹自身や3人の関係性がどう変わっていくのか、注目して観てほしい
放送中のドラマ『すぱいす。』で、初単独主演を務める本田響矢さん。毎回、各地の名産を使った様々なスパイスカレーが登場し、ドラマを観た後に真似して作りたくなる“調理ハウツードラマ”としても評判の本作について、役作りの方法や、作品の内容にちなんだお話などをお聞きしました。

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<あらすじ>
計画性がなく無気力で、人生いつも人まかせな北野祐樹(本田)。No.1キャバクラ嬢でありながら、その座を捨てて町を飛び出そうとする、勝気な性格の杉本奈月(吉田凜音)。ひょんなことから2人と出会う、料理の腕前はピカイチだが、内気な性格で実力を発揮しきれない森田 晃(奥野 壮)。夢もない、金もない、コネもない3人が、互いに足りない部分を補い合いながら、知名度ゼロのキッチンカーを繁盛させようと奔走する。同じ体験や苦労を重ねるうちに、互いになくてはならない存在となり、刺激のある人生を見出していく……。

『すぱいす。』の撮影中は、お芝居や演出について、監督とたくさんお話しされたそうですね。
祐樹はものすごく楽観的で、自分で物事を決めて生きてこなかった……流されてきた人生なんです。でも、年齢的には28歳なので、あまり幼稚に見えすぎないようにしたいですね、という話をしました。“(奈月と晃と)3人で、これからもがむしゃらにやっていこうぜ、イェーイ!”みたいなノリではなく、ある程度年齢も重ねているので、感覚としてあまり若すぎないようにしたいと。
幼くなりすぎないように。
はい。あとは、最終話に向けて祐樹の心情にも変化が表れてくるなかで、台本のト書きに書かれているとおりにセリフを言ってしまうと、祐樹の心情に少しハマらないんじゃないかなと思うシーンがあって。監督に、「ここを、こういうふうに言うのはどう思いますか?」と相談したことがあるんです。そうしたら、「僕もそう思っていたから、現場で相談しながらやりましょう」と仰ってくださったこともありました。
祐樹の心情にハマらないというのは?
ト書きには「やりきった笑顔でいる」と書かれていたのですが、祐樹のこれまでの思いを踏まえると、笑顔でいられるのかなって。あまり笑顔になれないかもしれないと思ったんです。最終的に、笑顔ではない表情での芝居になりました。

第4話に、「別にいいじゃん、流されても。大事なのは、流された場所でがむしゃらに生きているかどうかじゃないの」という奈月のセリフがありました。今、「最終話に向けて心情が変化していく」というお話がありましたが、このセリフも、祐樹に変化を与えるきっかけになったのではないかと思ったのですが。
キャンプファイヤーをしながら、奈月とお酒を飲んでいるシーンですよね?そのシーンは、いろいろと感じるところがありました。祐樹のなかには、流されながら生きていることが、自分の嫌いな部分としてずっとあったんです。それを、奈月と晃に出会ったことで、より強く感じてしまった。二人は、自分にはないものを持っていて、やりたいこともちゃんとあるのに、自分にはないということを改めて思い知らされたというか。
そんな祐樹が、奈月に救われたと同時に鼓舞された言葉でもあるのかなと。
そうですね。第4話には、直也さんというお肉屋さんの2代目店主が出てくるのですが、家庭もありながら仕事もせず、パチンコに行ってしまうような人なんです。祐樹はそんな姿を見てイライラするのですが、それは、まるで自分を見ているように感じたからなんですよね。
そうですね。
たぶんそれまでは、祐樹も自分ではわかっていないところもあったと思うんです。それが、自分を具現化されたような直也さんが現れたことで、見たくない自分の部分と向き合わざるを得なくなった。それは、すごく悔しかったと思うんです。だからこそ、変わらなきゃいけないと思いましたし、奈月からも自分を肯定してもらえたことで、少し成長できた回になったと思います。

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第5話では、晃がかつての師匠からの言葉を胸にカレー道を進み、師匠に認められるところまでが描かれました。ご自身が、これまでに先輩やスタッフさんからかけてもらった言葉で、胸に留めているものはありますか?
いくつかあるのですが……『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』というドラマに出演したときに、山口 紗弥加さんが「もっと気楽にやっていいよ」と、おっしゃってくださったことがあって。それは、“どういう意味なんだろう”と、今までの役者人生で、すごく考えた言葉でした。
すごく考えた結果、どうとらえたのですか?
結局、当時はわからなかったんです。でも今になって、やっと読み解けた気がしています。当時の自分は、相手役が山口さんということもあって、いろんなことに緊張していました。僕の演じていた役がそんな硬い役ではないのに、僕の芝居が硬かったんだと思います。「もっと力を抜いて、普段話す感覚で話せばいいよ」っていう。正解はわからないですが、僕はそうだったのかなと思っています。
では、晃のように自分の成長を見せたい方はいますか?
高校の剣道部の顧問ですね。僕は小学3年生から剣道をやっていて、小中学校でも剣道の礼儀作法を教わりました。特に高校の顧問の先生には、いろんなことを教えていただきましたし、僕がこの世界に入ることを応援してくださって。

というと?
僕は、剣道のスポーツ推薦でその高校に入ったんです。でも、途中で“芸能界の仕事もやりたい”となったので、最初に先生に相談するとき、ホントに怖かったんです。「ダメだ」と言われるんじゃないか、「浮ついてないで、もっと剣道に集中しろ」と言われるかな、と。とてもドキドキしながら話したら、「おまえがやりたいことなら、俺は全力で応援する。がんばってこいよ」と仰ってくださって!そのときに、改めて気合が入りました。あのとき、先生が背中を押してくださったからこそ今があるので。成長したところを見せたいなと思う方の一人です。
連絡は今もとられていますか?
はい、(連絡を)とっています。つい最近、「『すぱいす。』観たよ」と連絡がきて、「ありがとうございます!これから放送する作品もあるのでぜひ観てください」とお伝えしました。
しっかりと成長を見せられていますね!
そうですね……はい(照)。

改めて、最終話に向けての見どころを教えてください。
このドラマは、祐樹と奈月と晃の3人旅が唐突に始まります。どこへ向かうかもわからず、ノリと勢いだけでいってしまうところが、祐樹の流されやすい性格に通ずる気がするんです。“自分のやりたいことをやろうよ!”から始まって、キッチンカーが自分のやりたいことかといわれたら、そういうわけではなく、ただ楽しいからやっているだけで。ほかの二人にはやりたいことや目標があるけれど、自分にはなくて。そんな祐樹自身や3人の関係性が、どう変わっていくのか。ぜひ、注目して観ていただけたらと思います。それと!なにより、“今度はこうきたか!”と新鮮に感じられる、いろんなパターンのカレーが毎話出てくるので、ホントに楽しみにしていてください!

本田響矢
ほんだ きょうや
1999年6月20日生まれ。
始まる前から丁寧に挨拶をしてくださっていた本田さん。誰よりも相手をまっすぐ見るクリッと大きな瞳にすごく魅力を感じました。インタビューではご自身の軸が固まっていて、スッとお答えいただいた内容も、時折真剣な眼差しで考え込みながら答えられたことなどたくさんお話いただきました。中でも自分のことを話す少し照れている本田さんはすごく可愛らしい仕草や表情が溢れていました。後編では性格なども伺っております!お楽しみに!
最近の出演作に、テレビドラマでは、テレビ東京『風のふく島』(‘25)、フジテレビ『私は整形美人』(‘25)、Netflix『恋愛バトルロワイヤル』(‘24)、などがあり、4月期のドラマでは『すぱいす。』だけでなく、フジテレビ『波うららかに、めおと日和』(‘25)がある。また今年4月よりTBS『王様のブランチ』のレギュラーにも抜擢。
『すぱいす。』はTVer無料見逃し配信中。

©BS-TBS
BS-TBS 木曜ドラマ23「すぱいす。」
毎週木曜日よる11:00~11:30
※BS-TBS・BS-TBS 4Kで同時放送
※「TVer」「TBS FREE」など配信中
出 演 :本田 響矢 奥野 壮 吉田 凜音 ほか
脚 本 :たかせ しゅうほう 田口 佳宏 和田 清人 茄子 純平
監 督 :瀬野尾 一 佐々木 豪 中山 大暉
企画・プロデュース :吉見 健士(共同テレビジョン)
プロデューサー :有我 健(BS-TBS) 佃 敏史(共同テレビジョン)
製 作 :BS-TBS 共同テレビジョン
※Item Credit
オールインワン¥79,200
シャツ¥37,400(
その他/スタイリスト私物
◉問い合わせリスト
◯パーキング
Tel:03-6412-8217
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:吉村健
スタイリスト:masaaki ida/井田正明
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿