古川雄輝
『劇場版 ねこ物件』
一人の猫好きとしてこの作品に
関われたのは幸せ
「猫に気に入られること」という一風変わった入居条件のシェアハウスでの、ほのぼのとした物語を描いたドラマ「ねこ物件」。同作の劇場版が8月5日に公開される。主人公を演じる古川さんはプライベートでも二匹の猫を飼う筋金入りの愛猫家であり、その溢れる思いは今作でもしっかりと披露されていました。猫の魅力、そして作品の魅力を熱く語っていただきました!
今回、大好きな猫と関わる作品で、ドラマ版に引き続き劇場版を迎え、どんなお気持ちですか?
一人の猫好きとしてずっと猫に関する作品に出たいと思っていたので、こういった作品に関わることができて本当に嬉しいですね。猫関係の作品が決まったら実は猫を飼ってました、と言おうと思っていたんですけど、意外と決まらなくて結構時間が経っちゃいました(笑)。
今回の役作りで
気をつけられたことはありますか?
猫の扱いや猫が好きな気持ちに関しては大丈夫だったのですが、自分の演じた二星優斗がかなりの世間知らずで、一風変わった人物という設定で、たとえばボクシングを知らない、そういうレベルの変人で。だからと言ってあまりにもコミカルにやってしまうと現実離れしてしまうので、どのぐらいまでやるかというのは、綾部監督としっかり話し合いました。最終的に、少しほんわかとした雰囲気を出すキャラクターで演じましたね。でも実際、極度に猫が好きな人って、少しだけ変わってるんですよね。自分の知り合いでそういう人がいるので、その辺りの不思議な魅力を出せればと思っていました。
実際に猫を飼われている古川さんですが、
惚気エピソードはありますか?
ルークとステラという二匹の猫を飼っているのですが、まずはステラから。ステラは元々野良猫で、自宅の裏手で猫の鳴き声が聞こえて、見に行った時に膝に乗ってきたのをきっかけに飼い始めました。ペットショップでブリーダーの元、しっかりと育てられたのでは? というぐらい美人なんですよ。雄なんですけどね、足も長くてイケメンで。ただ物凄くやんちゃで。逆にルークは足も短くて顔ものぺってしていて。君、本当にブランド猫? って聞きたくなるような見た目で(笑)。鳴き声も「にゃー」じゃなくて「ぷす」なので(笑)。高いところからの着地も下手で、なんだかタヌキみたいなんですよね。でも、そこが本当に可愛くて。しかも普段はおっとりしているのに、他の猫とステラが喧嘩したら、素早く止めに入るんですよ。正義感が強いんです。そこも素敵で。
そんな中で今作では
三匹の猫と共演されましたが、いかがでしたか?
もちろんウチの子たちが一番カワイイという大前提ではありますが、三匹の中だと一番チャーが可愛いですね。自分がポスターで抱っこしている子で。人に慣れていて、寄ってきてくれたり、抱っこもさせてくれて。クロは結構恥ずかしがり屋ですぐソファーの奥に潜っちゃうんですよ(笑)。シシマルはまだまだ子供で、ねこじゃらしが大好きです(笑)。
ドラマ版は一旦終了しましたが、
反響はありましたか?
別の撮影の時、エキストラさんに「『ねこ物件』見てます!」と言われました。猫好きな人、癒し系好きな人と、見る人のジャンルが決まった作品なので、意見をいただいた時、この人は猫好きなのかな? それとも癒し系好きかな? とか、そういうことを考えていました。
劇場版はどういったストーリーに
なるのでしょうか?
ドラマ版は起承転結がそんなにないんですよ。ファン君のお父さんが来る以外、特に事件がなくて。ほのぼのとした生活を描いていて、それがすごく癒しで良くて。でもその中に結構伏線が散りばめられていて、それを全部回収するのが劇場版って感じですね。
ドラマ版と劇場版での変化などはありますか?
変化でいうと、優斗自身がドラマ版での物語を経て成長して、その延長が劇場版なので、人としてしっかりした、というのが大きいですね。
撮影の現場はどんな雰囲気でしたか?
猫の撮影はすごく大変でしたね。でも撮影現場となった古民家が時期的に凄く寒かったんですけど、そんな中で猫がいると癒されましたね。スタッフさんも休みになったら猫を触ったりしていて。撮影当初は猫が得意ではなかった人も触りに行ってたりとかしていて。それに綾部監督がすごい空気作りが上手というか、誰よりも楽しんで撮っていらっしゃって。監督がそれだけ楽しんでるのを見ると、やっぱり役者も乗りますね。カット尻が長くてセリフが終わった後も、なかなかカットがかからないので、必然とみんなアドリブ大会みたいになって。そういうところも作品の良さにつながっていきました。
猫もそうですが、
作中では食事のシーンも印象的でした。
先程もお話した通り、現場が凄く寒かったんですけど、その中で本当にグルメドラマぐらいグルメな料理が、しかも温かい状態で出てきて。その時ばかりは、もしかしたら猫以上にみんな癒されてたかもしれないですね(笑)。本当に美味しいんです。あと優斗が料理上手な設定だったので、所作とかはフードコーディネーターさんに教わりながら気をつけました。
今作で好きなシーンはありますか?
自分が好きなのはおかえりとただいまのシーンです。あんなにもしっかり、おかえり・ただいまのシーンを描く作品はないと思います。優斗が成長するにつれて、入居者とおかえり・ただいまを言う関係性ができていって。最後の方になると、みんなで靴紐を結んでいるシーンが出てきたりとか、意図的に玄関でのシーンを監督が撮られていて、それがすごく個人的に好きですね。
共演者の皆さんとのエピソードをお願いします!
長井さんは芝居の天才だと思いますね。「うわぁ!」と驚くだけのシーンにも、たくさんのテクニックが凝縮されていて。一目で「この人は絶対に芝居が上手い」と確信しました。台詞の捉え方とか言い回しが人と違っていて、全部、変化球なんですよ。でも天才っていうと本人は怒るんですよね(笑)。細田くんは撮影当時19歳でしたけど、現場で誰よりも大人でしたね。撮影中にちょうど細田くんが20歳になって、プレゼントをあげてお酒の話をしたんですよ。その中で自分の好きなお酒の話を色々と話して。その2週間後に自分が34歳の誕生日を迎えた時、話していたお酒をプレゼントしてくれて。こんなことできる20歳いる!? と驚きましたね。
最後に作品のみどころをお願いします!
タイトルに猫とついているので、どうしても猫メインの映画と見られてしまうんですよね。でも先程お話した通り、猫はもちろん主役でありつつ、美味しそうなグルメであったり、ほのぼのとした物語であったりと、とにかく癒し系な作品です。そして何よりも、主人公の成長物語でもあるので。猫の可愛さ・癒しに注目してもらいつつ、そこ以外の魅力も見ていただけたら嬉しいなと思います。
古川雄輝
ふるかわ ゆうき
スラリとした長身が特徴的で、撮影もインタビューも終始、落ち着いて対応して下さった古川さん。でもインタビュー中、猫の話題になると熱量がグッと上がり、さまざまな猫トークを披露してくれました! 一緒に撮影した猫ちゃんとの接し方も実に慣れたもので、まさに生粋の猫好きさんでした!
『劇場版 ねこ物件』
8月5日(金)より新宿ピカデリー他全国公開
出演:古川雄輝、細田佳央太、上村海成、本田剛文、松大航也、金子隼也、山谷花純、長井短、竜雷太
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ディレクション:半澤暁
インタビュー・記事:山根将悟