八村倫太郎×増子敦貴
×駒木根葵汰
映画『ホーム スイート ホーム』
大切な教えがいっぱい詰まった作品
脚本家・演出家の金沢知樹さんが2006年に発表した舞台『HOME SWEET HOME』が、20年の時を超えて映画化された『ホーム スイート ホーム』。本作で主人公・植木一郎を演じる八村倫太郎さん、一郎の息子・英郎役の増子敦貴さん、一郎の孫であり英郎の息子・史郎役の駒木根葵汰さんに、撮影時の思い出や見どころなどを伺いました。
©2026映画『ホーム スイート ホーム』製作委員会
<あらすじ>
2026年の冬。祖父の代から続く煎餅屋を継いだものの、無気力に過ごしている植木一郎(八村倫太郎)。ある日、押入れから突然現れたのは、28年後から来た息子・英郎(増子敦貴)と56年後から来た孫・史郎(駒木根葵汰)だった。ちょっとしたボタンのかけ違いから未来が変わり、生まれてこなくなってしまう英郎と史郎。未来を元の姿に戻すため、時空を行き来しながら歴史を修正していくうちに、3人は1999年の夏に到着。そこで出会ったのは、一郎が知る父親の姿とはまるで違う、若き日の父・耕太郎(前田公輝)だった。さらに、代々続く家と煎餅屋にも存続の危機が迫っていて――。
最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。
八村:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だ! と思いました(笑)。タイムマシンもの、たとえば過去に戻って問題を解決していくようなお話はあるけど、ワンシチュエーションという設定はこの作品ならではだなぁと。ワンシチュエーションがもたらす……“ここにあれがあったのに、なくなっている”とか、そういうおもしろさがあるなと感じました。
駒木根:はい。
八村:まぁでも、そういうことがあるから、きっと撮影は大変なんだろうなと、脚本を読みながら思いました。画のつながりがあるから、モノの位置を覚えておかなきゃいけないとか。“このとき俺、アイコス持ってった?持ってってない?どっち!?” みたいな。
増子:たしかに! 細かいところがね。
八村:あと、どっちの手で持っていたっけ!? とか。序盤は、過去と現在を行ったり来たりするような描写もあって。現在の僕たちが過去の自分を見ているところなどはつながりがホントにシビアだったので、そういうところのお芝居の一致感を大事にしました。
画のつながりという点で、気をつけていたことはありますか?
八村:自分の芝居をよく覚えておくということですね。自分だけど他者として認識しておかないと、そこに対してリアクションするという作業ができなくなっちゃうので、自分のした一つひとつの芝居に対する心の動きみたいなところは、覚えておくようにしていました。
台本に書き留めたりも?
八村:いや、スケジュールがけっこうタイトだったので、自分の頭のなかに……あっ、でも、書いていたかも!“これは絶対に忘れちゃいけない”ということは、台本に書いていました。
増子さんと駒木根さんは、脚本を読んだときはどのように感じましたか?
増子:SFというか、タイムトラベルものはやってみたかったので、出演が決まったときはホントにうれしかったです。今回はただのSFものではなく、ワンシチュエーションで1つの部屋のなかで成立させる難しさもあったのでなおさら。部屋のなかにはブラウン管のテレビなど、世代の人たちにはなつかしいと思えるものがあちこちにあったり、エモーショナルな瞬間も多い作品だったので、ホントに広い世代の方々に観ていただきたいなと思いました。
駒木根:台本を初めて読んだときは、今がどの世界なのかこんがらがるような印象があったのですが、読めば読むほど味が出てくるお話でした。もともと倫太郎とあっちゃん(増子)とは旧知の仲なので、自分が知っている2人で役を想像することができましたね。
増子:うんうん。
駒木根:今までは、はじめましての方とお芝居をする作品が多かったので、最初からそこまで色濃くイメージできることがあまりなかったんです。撮影中は、自分のイメージしたものを2人がぶち壊してくれて、それに対してさらに僕もぶち壊しにいく、みたいないい相乗効果が生まれていたと思います。
八村:そうだね。
駒木根:もちろんただ楽しいだけではなく、愛や人とのつながりといった大切なテーマが込められていて、メッセージ性がしっかりある点もすごく魅力的だと感じました。脚本を読んでいるときから、早く撮影したいなってずっとワクワクしていました。
それぞれの演じた役柄についてと、どのように役ヘアプローチしていったかを教えてください。
八村:僕の演じる植木一郎は、外見からもわかるとおり平々凡々なキャラクターです。愛に溢れた人なのですが、お父さんからの愛に対してコンプレックスがある。そこがこの作品のキーとなる部分であり、家族への愛につながってくると思ったので、寂しさを表現するところから始まりました。あとは、ほかのキャラクター……特に英郎と史郎のキャラがとても濃いので、それに負けない存在感はありながらも、しっかりとツッコミ役になる、観ている方と同じ立場でいることを大切にしました。きっと僕が作品全体のトーン感やテンション感において舵を切っている人間ではあるので、そこに気をつけながら取り組みました。
増子:僕の演じる英郎は、見た目もかわいらしく愛に溢れた、ひまわりのようなキャラクターです。一郎が父親にコンプレックスがあるというお話がありましたが、だからこそ一郎は、息子の英郎はそうならないように育ててくれたんだなと。愛情をつぎ込んでくれたからこそでき上がった人物なのかなと思います。最初に台本を読んだときは、オネエ口調ということもあり、どうやって演じるべきか散々悩みました。コミカルなところもたくさん担っていて、ワンシチュエーションの狭い部屋のなかで大暴れしているので、ぜひ英郎の一挙手一投足に注目してください!
増子さんは、「ウィンクをどっちの目でしているかなど、細かいところまで楽しんでいただきたい」とコメントされていましたね。
増子:僕の顔って、右から見ると可愛い系で、左から見ると男らしい系なんですよ。
八村:そういうふうに、よく言われるんですか? それとも自己分析ですか?
増子:自己分析です。だから、右からのアングルのときはちょっとかわいらしいウィンクで、左からのアングルのときは男の英郎のウィンクだと思っていただけると。
駒木根:そんなにいっぱいウィンクしてるの(笑)?
増子:正確にはわからないけど、カットされてなければ4、5回はしてると思う。
駒木根さん演じる史郎は、どのようなキャラクターですか?
駒木根:ホントに元気いっぱいで、観ているみんながハッピーになるような、そして時には「大丈夫かな?」って心配になってしまうような、まるで自分の子どもを見ているような感覚になるキャラクターです。史郎は、この3人のなかで一番年下なので、そこを意識しつつ、この映画を動かす存在として演じました。周囲で問題を起こしたり、いろんな場面で賑やかしたりする役どころなので、そういった面では自由にやらせていただきました。撮影中は常にアンテナを張りながら、現場で見て聞いて、感じとったものを素直にリアクションをするということを心がけました。
また今回は、いろんな家族の形についても考えさせられましたね。史郎と英郎の関係性を表現する場面が細かくいっぱいあったので、父親からどのような教育を受けてきたのかといった背景も、演技の端々に投影できていたらいいなと思いました。
八村さんは、座長としての居方というのは意識しましたか?
八村:僕の場合、意識しすぎるとそこにとらわれてしまったり、肩肘を張ってしまったりするんです。ただ、タイトなスケジュールのなかで撮影していかなきゃいけないとなると、スタッフのみなさんも含めて相当、疲弊してきますよね。そんなときに、一番中心にいてカメラに多く映るヤツのテンションが落ちていたら、よくないなと思うので、みんなが気持ちよく撮影するために自分ができることはなんだろう? というのはずっと考えていました。
駒木根さんは「撮影の合間に“次のシーン、こうしてみたいから手伝ってくれる?”などと相談しながら、3人で高め合っていくお芝居ができた」とコメントされていましたね。
駒木根:僕自身、とにかく体を動かしたくてしかたなかったのですが、だからといって画面から外れてはいけません。「少し動くよ」と、お互いに合図を送りながら演じていました。ただある意味では、倫太郎に対するサプライズプレゼントのような感覚でもありました。“俺はこう演じるけど、おまえはどう受ける?”みたいな、お互いの芝居を試す楽しさがありましたね。
八村:うん。
駒木根:そういう掛け合いもすごく楽しかったです。ただ、締めるべき真面目なシーンでは、しっかりと気持ちを切り替えました。たとえば作品の後半、一郎と耕太郎が親子として語り合う重要なシーンがあります。そこでは、英郎も史郎も子どもなりに、“今は大切な場面なんだ“ということを感じとって、一郎たちに背を向けてじっと座っているんです。そんな緊張感の中で、あっちゃんと目配せし合ったりする演技も印象に残っていますね。
増子:そうそう。
駒木根:そういうことは、話し合ったわけでもないのに、自然と空気感でできていた気がします。
本作の個人的な見どころを教えてください。
駒木根:個人的な見どころとしては、作品の内容やそれぞれのキャラクターはもちろんですが、プライベートでも仲のいい2人と同じ画に映っていることですね。とても感慨深かったです。すごく短い期間でしたが、いい熱量で走り抜くことができました。もともと3人はとても仲がいいですが、この撮影でより一層、仲が深まったんじゃないかなと感じています。
増子:ワンシチュエーションというあまり変化のない空間ですが、そのぶん、個性豊かなキャラクターたちが画替わりを担当していて。特にしーちゃん(史郎)や、ひーちゃん(英郎)は、物語に緩急をつける役割を担っています。テンポの遅い速いが感情と共に流れていくような、1つの壮大な曲を聴いているかのような映画になっていると思います。
八村:個人的には、母のお腹のなかにいる自分に話しかけるシーンがやっぱりいいなと思います。あと、今日の取材を通して、あらためてタイムスリップがもたらすおもしろさを実感しました。現実味のないストーリーではあるけど、大切な教えがいっぱい詰まったいい作品だなって。そこは、とても大きな見どころだと思います。
最後に、公開を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
駒木根:ただ楽しいだけではなく、家族の愛というメッセージ性も詰まった作品なので、難しく考えず観ていただくだけで僕たちの伝えたい想いが伝わると思います。個人的には、ここまではっちゃけた役を演じるのは久しぶりなので、ぜひ映画館の大きなスクリーンで観ていただけたらうれしいです。
増子:ラストはほんのり涙を誘うようなシーンになっているし、ハートや感動が飛び交う映画になっているので、ぜひキャストそれぞれの目線で何度でも楽しんでいただけたらと思います!
八村:映画って、観に行くまでちょっと腰が重くなる方もいらっしゃるかもしれませんが、この作品は本当に気軽に観ていただければと思っています。そうしたらどんどんのめり込んで、“結局、最後まで観ちゃった。めっちゃいい話だったじゃん!”ってなると思うんです。そういう作品を監督やキャストと目指していましたし、観てくださる方々が億劫にならずに、距離の近さを感じられる映画になるように、というところを大切にお芝居しました。絶対に後悔させないので、劇場に足を運んでいただけたらうれしいです。
八村倫太郎
はちむら りんたろう
1999年7月28日生まれ。ダンス&ボーカルグループ「WATWING」のメンバー。
最近の出演作に、テレビドラマでは、TBS系『GIFT』(‘26)、読売テレビ『FOGDOG』(‘25)、TBS系『御上先生』(‘25)、映画では、『他人は地獄だ』(‘24)などがある。TBS『王様のブランチ』にレギュラー出演中。
増子敦貴
ましこ あつき
2000年1月5日生まれ。ダンス&ボーカルグループ「GENIC」のメンバー。
最近の出演作に、テレビドラマでは、日本テレビ系『多すぎる恋と殺人』(‘26)、テレビ東京系『サレタ側の復讐〜同盟を結んだ妻たち〜』(‘26)、テレビ東京系『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』(‘26)、カンテレ・フジテレビ系『北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。』(‘25)、舞台では、『千と千尋の神隠し』(‘24~‘26)などがある。
駒木根葵汰
こまぎね きいた
2000年1月30日生まれ。
最近の出演作に、テレビドラマでは、NHK『替え玉ブラヴォー!』(‘26)、フジテレビ系『明日はもっと、いい日になる』(‘25)、テレビ朝日系『いつか、ヒーロー』(‘25)、『鬼平犯科帳 本所の銕/密告』(‘26)などがある。また、初舞台の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(‘26~)のヨーロッパ公演、10月1日からスタートするドラマ「天狗の台所Season3」への出演も控える。
長時間、何件もの取材対応をしてくださっているとは微塵も感じさせないほど、明るく笑顔あふれる現場に、スタッフ一同本当に元気をいただきました。ソロショット撮影中は、お互いのカットを見て合いの手をいれつつ、和気あいあいとした時間に。八村さんは、男らしいキメ顔、増子さんはニコニコの笑顔、駒木根さんはクールな上目遣い多めで……それぞれ違った魅力をお持ちの皆さんに、我々は「ファンの方が絶対に喜んでくださる!」と心の中でガッツポーズしてしまいました。仲の良さ全開のインタビューの続きは、後編の記事で。ぜひお楽しみに。
©2026映画『ホーム スイート ホーム』製作委員会
■作品名:『ホーム スイート ホーム』 9月4日(金)全国公開
■出演:
八村倫太郎(WATWING) 増子敦貴(GENIC) 大原優乃 山谷花純 樫尾篤紀 藤田ハル ドロンズ石本 / 駒木根葵汰 前田公輝
■監督:吉川鮎太
■原作:金沢知樹(舞台「HOME SWEET HOME」)
■脚本:萩森淳
■製作幹事:ホリプロ エイベックス・ピクチャーズ
■配給・宣伝: NAKACHIKA
※Item Credit
【八村】
シャツ¥47,300(ブレイン デッド)、パンツ¥46,200(エーエムダブルビー)、その他(スタイリスト私物)
【増子】
ジャケット¥88,000/パンツ¥58,300
以上2点ともに (CÈDRE)
バングル¥73,150/リング¥33,000
以上2点ともに (VIVIFY/株式会社フレアー)
リング(スカーフにつけた)¥44,000 (A Man)
【駒木根】
Full Look by L’ÉCHOPPE 青山店
※Team Credit
カメラマン:遥南碧
ヘアメイク:
【八村】楢林未奈子【増子】宮川 幸(P-cott)【駒木根】齋藤将志
スタイリスト:
【八村】Kaz Nagai【増子】MASAYA【駒木根】Yuki Yajima
インタビュー:林 桃
記事:林 桃/相澤花菜