板垣李光人
ドラマ『カラフラブル
~ジェンダーレス男子に愛されています。~』
ほっこりキュンキュンの中、
どこか響く“作品の余韻”を受け取って―
自分の考えや意見を持つ上でとても大切なこと。それは「過去の物語」に目を向けることだと思う。「何故、いま此処でこの考え方が存在しているのか?」その深層には必ず原因があり、歴史があるからだ。板垣さんの柔軟な考え方には常に「歴史を見つめる視点」が含まれている。だからこそトゲついた意見ではなく、多様性を認め、一人ひとりを重んじる考え方ができるのだと思った。指一本で言葉を発信できる時代だから、言葉に憑く棘を取り除くことなく突き刺してしまうこともある。そんな“現代”という荒野に、繊細に、しかし鋭いほどに美しく咲く板垣さんに聞いた『周くん』という青年の話。
ドラマ『カラフラブル
ジェンダーレス男子に愛されています。』
<あらすじ>
「きみといれば、世界はカラフル」
カワイく新しい、“眼福”カップルが爆誕!
主人公は、一生懸命働くあまり自分自身には手を抜きがちな新米漫画編集者「和子(和子)」。そんな彼女が出会うのは、メイクもファッションも完璧!な美しすぎる男「周(周)」。一緒に歩いていたら“姉妹”と間違われるようなカワイイふたりが距離を近づけていく。カップルとなってからのハッピーなやりとりや同棲エピソードに、“ほっこりキュンキュン”。さらに、天上天下唯我独尊なイケメンモデル「キラ」。心は揺らさない、常に笑顔なバリキャリ女性編集長「あさひ」など、個性豊かすぎるキャラクターたちが織り成す群像劇!
<相馬周(周)>
ファッションショップ店員。和子の高校時代の後輩。女性と見まがう美しい見た目の持ち主。自分でその見た目を気に入っており、「自分が好きな自分になるために」それを生かしたメイクとファッションを楽しむ。和子との出会いが大きな人生の転機となり、誰からも縛られず生きようと決意することになる。
相馬周 × 板垣李光人
僕がまず原作を読んで思ったのは、周は和子に対しても自分の好きなメイクやファッションに対してもすごく真っ直ぐなんだ、ということ。実はこの作品のお話を頂く前から「周くん役をやって欲しい」と言ってくださる方が多くて。今回、原作をしっかりと読ませていただいて、周の考え方や生き方にすごく共感しました。自分とシンクロする役を演じさせていただける、それが単純に嬉しかったですね。
きっとファンの皆さんも歓喜に沸いたと思います(笑)!
実際に反響はいかがでしたか?
そうですね。キャストが発表になって、ネットの反応を見てニヤニヤしていました(笑)。
「よっしゃ!」って感じですよね(笑)。
板垣さんご自身もメイクやファッションが
お好きだと思うのですが
好きになったキッカケは何だったんですか?
メイクを好きになったキッカケは数年前に出演した舞台です。歌舞伎の化粧などにも共通して言えるんですが、舞台のメイクには、顔に何かを施すことで演じる人物や性別まで変える力があるんですよ。個人的にそれがすごく面白くて、自分でもメイクをするようになりました。
今回の周のメイクにも、板垣さんのアイデアが…?
衣装合わせの時に、僕が思う一番ベーシックな周のメイクをして行きました。髪型も打ち合わせをして、自分の思っている周のイメージ像とすり合わせて決めていきましたね。ドラマの中での衣装とのバランスも考えつつ、原作者のためこう先生のイラストイメージも組み合わせて、僕なりの「周」を作れたんじゃないかと思います。メイクのポイントは、アイラインをしっかりとインラインまで引いて、透明感を出すためにまつげにもブラウン系のマスカラをつけて、リップも割とちゃんと塗っているところ。割と僕自身はアイラインは目尻だけに引くことが多いので、いつもと少し違うメイクが出来て楽しかったです。家でも「こんな感じかな?」と何度か研究しました。
板垣さんはカラーのアイライナーが
お好きなイメージがあるんですが
最近オススメのカラーはありますか?
グリーンですかね。グリーンって今までは割と使いにくそうなイメージがあったんですが、撮影でグリーンメイクをしていただいた時に「あれ、いいかも」と思ったんですよ。日本人の肌の色はイエローベースで、「青系のメイクをしてみたい」と思った時に、黄色と青の中間色ってグリーンになるじゃないですか。だからこそ「冒険もできるけど意外と浮かない色なんだな」と。カーキだったら、赤やピンクほど色の印象が強くなりすぎず馴染みながらも冒険できると思うのでオススメです。
メンズの美容が注目されている反面、
「勇気が出ない」というメンズの方も多いと思うんです。
そういった方にも届くメッセージが
この作品にはありますよね。
多分、男性がメイクなどを「やりたいな」って思った時に何が気になるかっていうと、一番は周りの目だと思うんです。例えば「ネイルをしてみたい」と思っても、「男性がネイルサロンに来たらネイリストの人にどう思われるだろう」とか「街を歩いていてネイルをしていたらどう思われるだろう」とか、そういったところはどうしても一つの壁になってくるだろうな、と。僕の場合は「この先一生関わらないかもしれないんだから、どう思われたっていい」と思って何でも出来ちゃうんですけど…。そこは人それぞれだと思いますし、無責任なことは言えないんですが、このドラマには、周が自由に生きる姿が描かれている一方で、それに対する難しさなどもしっかりと描かれているので、きっと共感していただける部分もあるんじゃないかな、と思います。
ドラマの企画書を拝見した時に
「この作品から勇気をもらえる人が
たくさんいそうだな」と思って。
板垣さんご自身が『カラフラブル』を通して
届けたいメッセージを教えてください。
周も僕もそうですけど、メイク・ファッションをレディース、メンズ関係なく楽しんでいるからこそ感じることもやっぱりすごくあって。「男と女という生き物が存在している」、それはもうずっと昔から生物学的に決められていることなので揺るがないものだと思います。でも、人間が文明を築いていく中で見つけた「社会的な性別」というのは、ある種勝手に決められたものだと思っていて。今、長い歴史の中で人間に根付いてきた「性別による役割」が少しずつ変わろうとしているのは良い動きだと思う反面、なかなか難しいことでもあるじゃないですか。今でも「女は男の3歩後ろを歩く」など、古くからある概念が残っているのも事実ですし。そういった考え方を個人の考えとして持つのは自由だと思うんですが、それを“強いる”ことは“悪”だと僕は思っているんです。周や僕自身が様々な表現を楽しんでいるからこそ、そういった部分を口にできる、それを問題提起できる、というのがこのドラマの大事なポイントだと思っています。
ドラマを観た方たちの
この作品に込められたメッセージを考える
キッカケになれたら嬉しいですね。
ジェンダーギャップを問題提起するのってすごく簡単なことじゃないですか。「何で空は青いの?」くらいのテンションで問いかけることもできる。でもその問いかけには、実際少しの難しさが伴うもの。それをサラッと出来るのが周なんですよね。このドラマを観て、今までそんなことを考えたことのなかった方たちが「確かに、そういえばジェンダーギャップって何なんだろう」と考えるキッカケになったり、「みんな自由でいいんだよな」と感じてもらえたり、日常生活の中でそういった場面に直面した時に、このドラマのことを思い出してくれたらいいな、と思います。
「ありのままの自分」や「自由」という
作品のキーワードと共に
「自信」ということも
作品に響いてくるのかな、と思うのですが
板垣さんは自信をなくされることはありますか?
あんまりないですね。そもそも「自信がある」みたいな概念がないのかも。こうやっていろいろな作品をやらせていただいていると、いろんな方が観てくださるじゃないですか。で、自分も観るわけで。その時に「良い」という評価を頂くから「良いんだな」と思うくらいなんです(笑)。絵やメイク、お芝居などの自分で作り上げたものに対して、基本的に僕自身が満足することはなくて。ただ、表現することが好きなだけ。なので「この作品には自信があるぞ」とは思ったことがないんですよね。
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ドラマ『カラフラブル
~ジェンダーレス男子に愛されています。~』
『ジェンダーレス男子に愛されています。』という原作をドラマ化して世に出す、というところでは、先ほども言った通り「ジェンダーギャップへの問題提起」などドラマにする意味がなくてはならないと思っているんですが、基本的には周と和子の空気感やキラキラとした尊い雰囲気を楽しんでいただきたいと思います。そのうえで要所要所に散りばめられた、人が生きていたらぶつかるであろう問題たちをほんの少し意識して観ていただけたら嬉しいです。世の中が抱える問題に対して自分の意見を考えるキッカケになれるような作品なので、観終わった後の癒しの中にドラマを通して感じた何かが残ってくれたら嬉しいと思います。
板垣李光人
いたがき りひと
2002年1月28日生まれ。
その背中に揺るぎない“真意”を刻み、暗闇に隠れる涙を閑かに懐抱する強く温かな19歳。
読売テレビ『カラフラブル
~ジェンダーレス男子に愛されています。~』
2021年4月1日(木)読売テレビ・日本テレビ系にて
よる11時59分スタート!
出演:吉川愛 板垣李光人 桐山漣 水野美紀
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク: KATO(TRON)
スタイリスト:Erika Abe
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:笹和紗