佐藤寛太
FOD『ヒミツのアイちゃん』
恋愛に棲む人間の不器用さを隠すことなく
リアルな“恋の温度”を感じられる作品に―
何十年も、何百年も、いや、もっとずっと前から私たちは「恋」を視覚化しようと努力してきた。自分の「恋」のカタチを心から取り出して「これが私の恋心です」と見せることができたのなら、相手の気持ちも自分の気持ちも明確に把握することができるのに…とすら思う。でもそんなことはできないから、相手の想いを予測し一喜一憂を繰り返す。見えないものに期待をしながら、不安になりながら、時に泣きそうなほど嬉しくなりながら「恋」から生まれる想いを混ぜてゆく。そうやってできた想いの色料は世界に二つとない。不安な気持ちも、劣等感も、自分で清算していく他ないのだ。そんな「恋」を頑張る人へ伝えたい『ヒミツのアイちゃん』。佐藤さんの言葉と共に、明日の「恋への活力」が貴方に届きますように。
FOD『ヒミツのアイちゃん』
<あらすじ>
3人の兄に囲まれて育った負けず嫌いで男勝りな女子高校生・香住愛子(平祐奈)は、ショートカットがよく似合うバスケットボール部のスター選手。日頃からライバル視している男子バスケ部のエースで超イケメンの天野玲欧に勝負を挑むも、負けてばかりで悔しい思いをしている。そんな愛子は、兄・律希が営むメイド喫茶で突然バイトをすることになり、ロングヘアのウィッグをつけて女の子らしいメイド姿に変身。すると玲欧が不意に客としてやってきて、動揺した愛子はとっさに自分のことを“舞”と名乗り接客すると、玲欧は“舞”に一目惚れしてしまい、告白。女に目覚めたアイちゃんが初めての恋を不器用にも精一杯頑張ろうとする。
<天野玲欧>
イケメンでバスケも天才的に上手い。愛子とは毎日のように何かにつけて勝負している男子バスケ部のエース。
天野玲欧 × 佐藤寛太
玲欧はかっこいい少女漫画の王子様です。目移りすることなくヒロインのことを一途に想い続けており、人としての芯もある。ただ、誰が見てもかっこいいのに何となく自分に引け目を感じている部分もある子なんです。どことなく「自信のなさ」が垣間見えるような。僕はこの作品の根底にあるテーマは「自分に対する自信のなさ」だと思っていて。設定だけ聞くと「変装してバレるかバレないか」といったコメディ色の強さを感じると思うんですけど、その根っこにあるのは「いつまでたっても自信を持てない自分自身」なんじゃないかな、と。自分が感じている「自信のなさ」を何かにぶつけてしまう人間の弱い部分がきちんと表現できれば、「この設定の面白さがちゃんと伝わるのかな」と思っていました。玲欧は愛子みたいに姿形が変わるわけではないので、一本気で進んでいく姿と「自分の心の弱さ」を見せる姿の演じ分けが簡単ではなかったんですが、玲欧のそういった「人間らしさ」を大事にしたいと思いながら演じました。
佐藤さんは少女漫画原作の作品を
多くやられていると思うのですが
今回はどういった作品に?
少女漫画原作の作品をする度に「少女漫画原作が多い今だからこそ、他と違う作品にしたい」という想いがあって。今回は24歳の自分だから分かる「恋」や「愛」を意識して演じるようにしていました。24歳の想いを注いだ“高校生・天野玲欧”は今の僕にしか表現できないじゃないですか。きっと25歳になったらまた違う考え方になっていると思いますし。そうやって演じた玲欧を祐奈ちゃんがしっかりと受け止めてくれたので、現場は本当に楽しかったです。祐奈ちゃんだけじゃなく、他の共演者のみんなも一緒にやっていて「あ、通じてないな」と思う瞬間が全くなかったんですよ。『HiGH & LOW』や『走れ!T校バスケット部』の時のように、みんなと仲良くなることができる現場に出会えて本当に良かったと思いますし、ありがたかったです。
台本に書かれているものだけでなく、
撮影現場での平さんとのセッションで
生まれたシーンも多いんですか?
そうですね。僕、普段であれば台本を一度読んだら割と覚えられる方なんですけど、『ヒミツのアイちゃん』は少女漫画特有の「かっこいいセリフ」が満載で覚えるのに苦戦して…(笑)。最終的には祐奈ちゃんの顔を見て覚えて、その場その場で動きを確認しながら撮影していました。例えば台本上では「手を繋ぐ、キスをする」と書かれていても、実際には「キスする前に手を繋ぐのか」や「キスをしながら手を繋ぐのか」など選択肢は無数にあるわけで。今回はそれを「頭で考えるのは違うよな」と特に思ったんです。「手を繋ぎたくなったら繋ぐ」といったように、セリフじゃない部分の動きは2人で打ち合わせをしながらやらせてもらいました。祐奈ちゃんが僕の思った芝居を頼もしく受け止めてくれる人だったので、こちらもすごく意見を言いやすくて。綺麗なだけじゃない「人を好きになった時の生の温度感や不器用さ」みたいなものを表現できればいいな、と意識していました。
ト書きとは違う部分が多いんですね!楽しみです。
その時々のリアルな気持ちで動いていましたね。例えばト書きでは「手を繋いで話し始める」だったのを「セリフを言っている間に手を繋ぐ」ようにしたり、ト書きにはないのにハグをしたり。そういったカップルならではの「心が通じる瞬間の高ぶり」を大切にしたかったんです。セリフに関しても「たとえ拙い言葉だとしても、相手に伝えなきゃ何も始まらないからとにかく伝える」といった恋愛におけるリアルな部分をすごく意識して、言葉の言い回しよりも「伝える」ということに重点を置いて演じていました。
平さん演じる愛子ちゃんですが、
なかなか現実世界にはいないような
男勝りな女の子ですよね。
佐藤さんは実際に愛子ちゃんのような
女の子はタイプですか?
んー、どうだろうな…(笑)。でも、学生時代に好きになった人は愛子みたいな女の子でしたね。男10人の中に1人でいるような子で。僕自身、「自分は自分です!」といった芯のある人が男女ともに好きなので、ジャンルやタイプを問わず自分を持っている人がタイプなんです。そう考えると愛子は「愛子」というキャラクターを確立しているじゃないですか。自分の好きなことを好きだと胸を張って言える人というか。彼女のそういった面は結構響きますね。
天才的なバスケの才能を持つ玲欧。
バスケは『走れ!T校バスケット部』以来ですよね。
いや~、かなり練習しました(笑)。朝、公園へ行ってずっと一人で練習していましたね。『走れ!T校バスケット部』以来、趣味程度にはしていたんですが、今回は前回の役とポジションが違ったので全く違うスポーツのようで…(笑)。吹き替えを一切使っていない僕のバスケシーンは見どころだと思います。
バスケの才能に加えて、モテモテの役柄ですが
撮影はいかがでしたか?
楽しかったです(笑)!玲欧のことを好きな女の子が3人揃うシーンがあるんですけど、それって現実にあったらとんでもない修羅場じゃないですか。「こんな瞬間、人生にまたとないんだろうな」と、すごくウキウキしていました(笑)。撮影中「幸せです。本当にこの仕事を受けて良かったです!」とずっと言っていましたもん(笑)。
とは言え、佐藤さんもかなりモテた学生時代だったのでは?
小学4年生くらいから「あれ、モテてるかも?」と思うようにはなったんですけど、常に僕よりモテてる人がいて(笑)。学生時代、すでにこの仕事を始めていたにも関わらず1位じゃなくてずっと2位だったんです…。1位の子は寡黙でクールで、しかも玲欧と同じバスケ部でした(笑)。今回、玲欧を演じる上でその子のことを思い出していましたね。普段から自分の役柄を周りにいる人で想像するんですが、今回は「あの子はこんな人だったな、クールでモテるのに一人の人を一途に好きでいるようなタイプだったな」と。
Highlight of 『ヒミツのアイちゃん』
作品の見どころは何といっても愛子です。現場でも感じていたんですが、この作品はいい意味で全てが祐奈ちゃん次第なんですよ。全シーンに彼女の真っすぐで綺麗な心が出ているんです。自分に自信を持って生きてきた愛子が、恋を知ることで経験したことのないような葛藤が生まれて、自分に対する「自信のなさ」や「人に対する引け目」を感じるようになる。そしてそんな自分をどんどんと克服していく。愛子の心変わりや変化の丁寧な描かれ方に注目していただきたいです。一話にワンシーンは観る方が分かりやすく「キュン」とできるようなシーンがあるので、各々の恋愛模様を30分という尺の中で思いっきり楽しんでいただけると思います。加えて、キャラが立ちまくっている騒がしい登場人物たちのそれぞれの生き方も見どころの一つ(笑)。全体を通してのラブシーンと、愛子がいろんな人に触れて変わっていく様子を観ていただきたいです。
Highlight of 天野玲欧
僕の見どころはですね…一話の冒頭で脱いでいるので、まずそこは見どころです(笑)。ただ、舞台をしている時期と被っていたので鍛える時間がなかったんですよ。個人の限界を感じましたね…と、そんな話は置いておいて(笑)。真面目なお話をすると、今回の作品はちゃんとお互いの恋心が繊細に描れているので、その「恋愛におけるリアルさ」が一番の見どころだと思っています。愛子と玲欧、2人のシーンが丁寧にしっとりと表現されていると思いますし、そこにこだわりを持ってどのシーンも撮影したので、是非、注目して観ていただきたいです。少女漫画と大人っぽさの掛け合いを楽しんでいただける作品ができたんじゃないかな、と思います。24歳の自分にこのお話を頂いたからには「24歳だからこそできる高校生をやります」と思って演じました。僕が今まで演じてきたラブシーンで培った全てが詰まっているので、参考にしてみてください(笑)。
佐藤寛太
さとう かんた
1996年6月16日生まれ。
概念に囚われない寛濶さで世界を見渡し、高鳴りで満ちた発見と天衣無縫に戯れる24歳。
FODドラマ『ヒミツのアイちゃん』
FODにて2021年2月20日(土)配信スタート!(以降、毎週土曜0時最新話配信)
FOD(https://fod.fujitv.co.jp/s/)
原作:花緒莉『ヒミツのアイちゃん』(小学館「Cheese!フラワーコミック」)
出演:平祐奈 佐藤寛太(劇団EXILE)
吉田志織 大和田南那 別府由来 水沢林太郎 MASATO(THE BEAT GARDEN)
※Team Credit
カメラマン:YURIE PEPE
ヘアメイク:SHUTARO(vitamins)
インタビュー・記事:満斗りょう