板垣瑞生
ドラマ『夢で見たあの子のために』
双子を演じ分ける“グルーブ感”や
現場の“ライブ感”がシーンに反映されていると思う
三部けい原作のクライムサスペンスコミック『夢で見たあの子のために』が、ドコモの映像配信サービスLeminoオリジナルドラマとして実写化。主演として双子の兄弟役で一人二役に初挑戦する板垣瑞生さんに、作品の見どころを迫りました。
<あらすじ>
幼い頃に家族を失った、中條千里。両親を惨殺し、双子の兄・一登を連れ去った犯人は、腕に火の傷がある、通称「火の男」。周囲が心配するほど、復讐のために命を削る千里は、ある日偶然、火の傷のある男を目撃する。火の男を追うにつれ、両親と兄の知らなかった真実が次々と明らかになっていく。さらに、行方不明だった一登の視界が、千里に飛び込んできて――。果たして、人生の全てを懸けた復讐劇の先にあるものは、千里に何をもたらすのか? 悲しみを背負った主人公の力強い生き様を描いていくクライムサスペンス。
原作を読んだ感想を教えてください。
三部けいさんの作品は『僕だけがいない街』も含めて拝読していたのですが、『夢で見たあの子のために』は今回がきっかけで初めて読ませていただきました。読み進めていくうちに、「なんで僕はこれを見逃していたんだろう」という気持ちになるほど面白かったです。とにかく世界観がすごいというか、ファンタジーな一面もあるんですけど、どちらかというとリアリティがベースにあって、そんな三部けいさんらしい世界を楽しむことができました。
双子の兄弟を一人二役で演じられた感想は
いかがでしょうか?
素直に良かったというか、一作品で二役を演じてみて自分のレパートリーが増えることも感じたので、良い経験になりました。こっちの役でこうしたからこっちの役ではこうしようというメリハリというか抑揚もつけやすかったですし、なおかつ現場に行ったら役が二つあるということが楽しくて、難しいとか大変ということはあまり感じませんでした。
どのように役を演じ分けたのでしょうか?
その役の髪型や衣装などを整えて現場に入るときにはもう自動的にスイッチが変わっているという感じでしたね。例えば一登の金髪姿で現場に行くときは、いつもよりはラフというか、なんだろう……現場の空気ごと軽くしていく感じで……。千里のときはもっと空気を重く……。それは暗いとか緊張感とかではなくて、現実でも“この人がいるとこういう空気になるよね”ってあるじゃないですか。そういう空気をまとっていく感じというか。
意図的に気持ちを切り替えるのではなく、
感覚的に空気を醸し出していく感じ?
そうですね。現場に一登が来ると緩むよね、千里が来ると締まるよね、っていう現場の空気にしていくというか。なぜそうしたかというと、千里は人と話すときに緊張感を与えることが多くて、一登は対照的にリラックスを与えることが多いんです。そんな二人の性格というかノリの違いみたいなもの表現するために、“グルーブ感”を大切にして現場に臨んでいった気がしますね。
現場の雰囲気はいかがでしたか?
ドラマからは想像できないかもしれないですが、とても明るい現場でした。桜井日奈子さんも野村周平さんも、ふざけるというか和気あいあいとしていました。緊張感のある作品のぶん、撮影以外のときはできるだけリラックスして楽しもうという意識があってアットホームな雰囲気でした。ラフというか、普段自分の家のソファーに座っているときのような感覚でしたね(笑)。
桜井日奈子さんの印象について教えてください。
初めはもっと真面目でクールな方なのかなと思っていたら、実際にお話ししてみると姉御肌じゃないですけど、お姉さんだったという印象です。撮影を開始するときに「やろうやろう!」って率先してみんなを引っ張ってくれたりとか、そういう意味ではお会いする前と後とで印象は変わりました。
これまでの撮影の中で、
ご自身が気に入っているシーンはありますか?
野村さんが演じる若園との取調室でのシーンです。ただ二人で話しているだけで座って前後するくらいしか動きがない場面なんですが、なんだろう……、ドラマらしい印象的なセリフがあるわけじゃないんですけど、役が生きているのを撮ってもらっている感じがすごくあって。もちろんそれはどのシーンでも当たり前にあることですが、その上で自分たちが今本当にただただ内情を説明している感じというか……。
ある種、会話劇のような?
そうですね、本当に会話だけで。取調室にいるんだけど、二人とも敵対しているわけじゃない。基本的な取り調べって警察側がマウントをとるじゃないですか。でもこのシーンはそういうわけじゃなくて、いわゆるお決まりの取調室の場面とはちょっと違う感じで、とてもやりがいがあったんですよね。この空間を演じきれた実感とか、板尾創路さんも声を荒げて芝居をくださったりして、そういうライブ感みたいなものが反映されたシーンになったと思います。
他の見どころも教えてください!
僕は一人二役を初めて挑戦させていただいたこともそうですし、他のキャストの皆様も本当に個性豊かなメンバーが揃っているだけでなく、他のドラマでは見せたことないような表情やイメージが見られるんじゃないかなと思います。それから今までいろんな作品に触れてきた方でも気づきにくいような細かなギミックだったり、ハラハラドキドキするような展開だったりがいくつも用意されているので、それも楽しんでいただければと思います。ストーリーとしてはクライムサスペンスがベースですが、その中でキャストが演じるキャラクターたちの躍動やちょっとした違和感、思わずツッコミをしたくなっちゃうようなことなどもあって、それも見どころのひとつだと思います。是非、ご視聴よろしくお願いします!
板垣瑞生
いたがき みずき
室内のみでの撮影予定からロケに変更になったことをお伝えすると、「ロケしたかったんです!」と嬉しそうににっこり。その無邪気な笑顔から一変、撮影が始まるとワイルドにキメてくださり、ジャケットを自ら脱いで自由に動き回っていた姿が印象的です。ちなみにインタビューでは「取調室」が思い出せず、「事情聴取室……?」とお話しされていた板垣さんでした。
2000年10月25日生まれ。
最近の出演作に、映画『交換ウソ日記』(‘23)、WOWOW『ドロップ』(‘23)、『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』(‘23)、映画『HiGH&LOW THE WORST X』(‘22)、NTV『ばかやろうのキス』(‘22)などがあり、2024年1月からはNHK『正直不動産SP』、『正直不動産2』に出演予定。
Leminoオリジナルドラマ
『夢で見たあの子のために』
毎週火曜日正午配信(最新話は配信開始から1週間無料公開)
1,2話は常時無料配信中
※Item Credit
アウトジャケット¥150,700、インナージャケット¥167,200、Tシャツ¥19,800、パンツ¥74,800、シューズ¥283,800(以上全てYohji Yamamoto) 二連リング¥27,500、リング¥26,400(
(お問い合わせ先) Yohji Yamamoto Press room 03-5463-1500
PLUIE tokyo 03-6450-5777
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:奥山信次(b.sun)
スタイリスト:石橋修一
インタビュー:小枝指優樹
記事:小枝指優樹/緒方百恵