水沢林太郎
ドラマ『ビリオン×スクール』
あまり作り込まず、その場で感じたものを出している
現在放送中のドラマ『ビリオン×スクール』で、学費が払えずに0組に転落してきた生徒・西谷 翔を演じている水沢林太郎さん。複雑な役どころだが、どのように役ヘアプローチしていったのか。また、撮影現場で心がけていることや、主演の山田涼介さんとのエピソードなど、熱量高く語ってくれました。
<あらすじ>
私立絵都学園で、「やる気ゼロ、才能ゼロ、将来性ゼロ」の生徒が集められた3年0組。通常“ゼロ組”と呼ばれ、バカにされている底辺クラスに新しく担任としてやってきたのは、容姿端麗だが、どこかクセのある加賀美 零(山田涼介)。実は日本一の財閥系企業のトップであり、“億万長者=ビリオネア”の加賀美が、身分を隠して教師となり、様々な問題に直面しながら生徒とともに成長していく姿を描いた、オリジナル学園コメディー。
撮影現場の雰囲気はいかがですか?
現場では勉強になる部分がいっぱいあるので、自分がうつらないカットも常にモニター前で、監督とお話ししながら見させていただいています。コメディー要素が強くて、見ているだけでおもしろいですし、何回か同じシーンの撮影が続いても、その都度笑えるんですよ。
勉強になるのは、どういう部分ですか?
コメディーって、難しいじゃないですか。お芝居の塩梅によっては、見ている人が冷めてしまうこともあるし。間のとり方にしろセリフの言い方にしろ、振り切ることが大切だと思うんですが、山田さんも木南(晴夏)さんもそこをパコーンといく方なので。スゴいなーって、すごく刺激を受けます。
山田さんが、番組の公式ページで「生徒役のみなさんに、役者の先輩としても教えてあげられることがあれば頼ってもらいたい」とコメントされていました。
あっ、そうなんですね!山田さんは、ホントに気さくな方で。まだお芝居のお話はそんなにできていませんが、他愛もないことはいっぱいお話しさせて頂いています。
例えば?
山田さんは、ゲームをすごくやっているじゃないですか。僕もゲームが好きなので、今、ゲーミングモニターの話をずっと聞いています。「このくらいの予算で考えているんですけど」と言ったら、いろいろと教えてくださって。自分でもリサーチはしているんですが、やっぱり山田さんに教わったものにしようと決めたので、買ったらご報告しにいかないと!
撮影には、自分なりのプランを持って臨んでいるのですか?
西谷に関しては、今まで演じてきた役のなかでも、自分の感覚と似ている部分が多い気がするんです。なので、あまり作り込まずに自分の素でいって、その場で感じたものを出していったほうが西谷のよさが出るのかな、という話を監督としています。
どういう部分がご自身と似ていると感じますか?
西谷って、もともとは静かな子じゃないんですよね。親やお金の問題がきっかけで0組になってしまったけど、根底には自分がいる環境をよくしたい、楽しくしたいという思いがあるんです。それは、水沢林太郎としてもすごくよくわかるし。監督とも、「クラスメイトの仲のよさは、作品に出るよね」という話をしていて、クランクイン前のワークショップにも参加できてよかったです。教室でのシーンはまだ撮影していないのですが(取材は6月上旬)、キャスト一人ひとりの魅力を知っていきながら、学級委員長という西谷の立場を利用して、僕自身もクラスメイト(役のキャスト)を少しでも引っ張っていけるようになりたいというのが、3カ月間での目標でもあります。
すでに、そこまでの境地に達しているのがスゴいですね。
全然そんなことないですが、これまでいろんな役をいろんな方法で試してやらせていただいた経験が少しは役に立つといいなと思っています。でも、何より、瑠東(東一郎)監督とはドラマ『スタンドUPスタート』でもご一緒して、そのときもいっぱいお話をしたので、すごく安心感があるんです。「今そう思ったなら、そっちでもいいよ」と僕の意見を尊重してくれたり、「こう思っているんだけど、どう?」と提案してくれたり。「難しかったらテイクを重ねても大丈夫だよ」「おまえはできる!」と常に言ってくれるから、自信につながるし。監督のおかげで西谷翔をここまで作れているので、監督のスゴさを改めて感じています……って、ぜひ書いてください!監督も読んでくれるかもしれないから(笑)。
わかりました(笑)。監督からアドバイスをいただいたことで、さらによくなったシーンがあれば教えてください。
第1話の、西谷が学校の窓ガラスをバットで割った後ですね。加賀美先生と芹沢先生に初めて西谷が感情を吐露する場面があって。どうしてもそういうシーンって、言葉が強くなってしまうけど、逆に弱さを見せることで、西谷の魅力を表現できるかもしれないと思ったんです。そうしたら、監督から「ここは西谷の柔らかさを出したい」と言われて。芹沢先生の「本当に(退学してしまっていいんですか)?」というセリフをしっかり受けて、目を使って芝居をしなさいと。そうしたら、自然に感情は高ぶるからと言われたんです。
とても具体的に指示をくださるのですね。
その後、本番を撮ったときに、号泣まではいかなかったけど、自分の苦しさや言いたくなかった部分を、“この人(芹沢)には言ってもいいかな……でも、やっぱり頼れない”という揺れ動く気持ちを、いい塩梅で表現できたんじゃないかなという気がしています。それに、監督がカットをかける前から、山田さんや木南さんが「はい、カットカット!いいシーンになったから、もういいよ」と言ってくださっているのが聞こえてきて。さらに、監督もプロデューサーもすぐに飛んできてくれて、「ホントによかったですよ」と言ってくれたのが、すごくうれしかったです。
褒められて伸びるタイプ?
そうなんですよ。ただ、僕はすぐに調子に乗っちゃうので、褒められても「俺、調子に乗っちゃうのでホントにやめてください!」と言って自分で抑えているので、天狗にはならないと思うんですけど(笑)。とはいえ、ちょっといい気分になっているぐらいのほうが、心も体もラクに芝居ができるようになるから、ちょっとは褒めてほしいな~って(笑)。
学園モノならではの雰囲気というのはありますか?
やっぱり学園モノって、キャスト同士の仲のよさがよくも悪くも出てしまうんですよね。僕もデビュー当時、それで現場に迷惑をかけてしまうこともあったし。でも今は、節度をもって楽しく撮影できる現場がベストだと思うようになりました。それは、以前、学園ドラマで細田佳央太と共演したことが大きく影響していますね。彼自身がそういう考えを持っている人なので、撮影中、たくさん話をするなかで、自然と勉強させてもらっていた気がします。
細田さんにいい影響を受けたのですね。
彼とはいろんな話をできる……同じく仲のいい道枝駿佑とはまた違う友達で。僕、誰に何と言われようと、俳優のなかで一番尊敬しているのが細田佳央太なんです。実は、この作品に入る前に、たまたま「メンズノンノ」の撮影で佳央太に会えたんですよ。そこで、この作品の相談とか、いろんな話ができてモチベーションも上がりました。
細田さんと道枝さんとは、それぞれどういう関係性なのですか?
道枝駿佑は、世間と同じく僕のなかでもスーパーアイドルなんです。俳優としての悩みを話すのは、考えが近い細田佳央太が多いかな。どちらも大切な友達なんですけどね。まぁ、どちらも不思議な人というのは共通していますけど(笑)。
現場では、積極的にみなさんとコミュニケーションをとるタイプですか?
僕はコミュニケーションをとるのがあまり得意ではなくて、以前は人に話しかけるのが少し怖かったんです。特に俳優という仕事を始めてからは、言葉の重みがすごくわかるようになって。“これぐらい大丈夫だろう”と思う言葉が、人によっては傷ついてしまうこともあるじゃないですか。でも、そんなことばかり考えて話しかけずに後悔するぐらいだったら、話しかけちゃえ!と思って。去年ぐらいから、がんばって話しかけるようにしています。今回も、以前、佳央太に教わったことを活かして。ヘンに気負いすぎず、自分なりのやり方で生徒のみんなをまとめたり、導いたりできたらいいなって。
城島 佑役の奥野 壮さんとは、共演経験があって仲がいいそうですね。
そうです!撮影前に、壮から「よろしくー!」って連絡がきました。彼とは対立関係にある役どころですが、(劇中で)本気で殴られてもいいと思えるくらい、安心してやりあえる役者だし、ワークショップで会ったときに、「お互いに、ウソ偽りのない芝居をしようね」という話もしたんです。まぁ、ほんの少しの照れ臭さもありますけど、壮がいてくれるのはすごく心強いです。
今後、撮影で楽しみにしていることは?
まだ最終回までの台本を読んでいるわけではないので、この先の展開もわからないし、クラスメイトのみんなが最後どうなるのかも気になります。もちろん、仲よくハッピーエンドで終われたらいいなと思っているんですけど……。あとは、AIを使ったりとか、いろんな手法を使って撮影をしていて、コメディー要素もさらに強くなってくると思うし。加賀美先生と芹沢先生の間に西谷がどう絡んでいくのかというのも、すごく楽しみです。
本作を楽しみにご覧になっている方へ、メッセージをお願いします!
僕、プロデューサーさんのおっしゃっていた言葉がとても好きなんです。それは、「『ビリオン×スクール』を観たから一週間がんばれる。『ビリオン×スクール』を観るために一週間がんばれたという作品にしたい」というものなんですけど。それを聞いてすごくジーンとしましたし、実際にそういう作品になる予感がしているので。いっぱい笑って、いっぱい楽しんでいただきながら、ぜひ最終話まで見逃さないでほしいです。
水沢林太郎
みずさわ りんたろう
2003年2月5日生まれ。メンズノンノ専属モデル。
インタビューでは、ドラマの撮影や役作りに向けて取り組まれたことなどをお話をお伺いしましたが、常にすごく真剣なトーンでたくさんお話をしてくださいました。雑誌などで拝見するミステリアスな雰囲気とクールな印象を持たれることが多い水沢さんですが、仕事や心の中にはとても熱いものを持たれていて、現場でのドラマを作るスタッフさん方と常に密にお話をされ向き合っているお姿がたくさん伝わりました。また、昔と今ですごく考え方も嗜好も変わられていましたが、ただ自分自身がハマっていること・ものを濁さずに好きとストレートに伝えてくださる言葉の力強さはとても素敵だなと感じたスタッフでした。後編では、水沢さんの過去のインタビューから今後の目標などをお聞きしております!お楽しみに!
2017年俳優デビュー。主な出演作に、ドラマ「俺の話は長い」「17.3 about a sex」「マイ・セカンド・アオハル」など。2025年放送の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に出演予定。
【作品情報】
山田涼介さん「10」年ぶり学園ドラマで初の教師役!
学園ドラマ出演「10」作目にして資産も行動力も“ケタ外れ”な教師に!
表の顔は高校教師、裏の顔はスーパーCEO!?
“金9”初主演!現代の常識をぶち壊す痛快・学園エンターテインメント誕生!
ビリオン×スクール
毎週金曜よる9時~9時58分
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿