永田崇人
30歳になり、
自分を認めるための一歩を踏み出せた気がします
2023年は、『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』など話題作への出演で注目を集めた永田崇人さん。念願の“ケラ作品”への出演も叶うなど、役者として着実に進化を遂げている印象の彼に、現在の心境を伺いました。「FAST」初登場時からお聞きし続けている質問への回答も要チェックです。
2023年も舞台を中心に
様々な作品に出演されましたが、
どんな一年でしたか?
なかなか苦しい一年でした。今年はミュージカル『バンズ・ヴィジット~』から始まり、3本の舞台に出演させていただきましたが、自分の実力不足に悩んだり、自信を喪失しかけたり、今までの人生で一番もがいた年かもしれません。
そこから、どのように
自信を取り戻していったのでしょうか。
うーん、今も100%復活したわけではないんです。まぁでも、お芝居をすることが好きなんでね。その気持ちが支えでした。
そんな苦しい状況のなかで、
ご自身が進化したと感じる部分もありますか?
自分との向き合い方は、年々うまくなっているなと思います。今年で30歳になったんですけど、役者の先輩とか、同業じゃない年上の人にも、「30歳ってどうですか」って聞くと「生きやすくなる」ってみんな言うんですよ。それはきっと、30歳というのが自分を認めてあげられるようになるタイミングなんだろうなって。そういう意味では、自分を認めるための一歩を踏み出せた気がします。今年苦しかったぶん、次は楽しいことがあるんじゃないかなって思うところもありますし。
今年関わりのあった方からの言葉で、
心に留めているものがあれば教えてください。
言葉ではないですが、ケムリ研究室no.3『眠くなっちゃった』でご一緒したケラさん(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)のストイックさを見て、プロとしてのあり方を学びました。僕はずっとケラさんを天才だと思っていて、ケラ作品にあこがれていたんです。でも、すごく努力家でもあることを知って。そうじゃないと、あれだけすごい作品を生み出せないんだなっていうのはすごく勉強になりました。あと、この作品で共演した北村有起哉さんに「しんどかっただろう」という言葉をかけていただいたのも心に残っています。
同じ役者の方からの言葉は沁みそうですね。
「俺もそういう時期があったよ」って。「でも、たくさん言われたほうが得なんだよ。言われなくなったら終わりだから」「俺は今でも遠慮なく言ってほしいから、なるべく壁を作らない人間でいたいと思って生きてる」と言ってくださって。たしかにそうだなと思ったんです。とはいえ、言われているときはどうしてもキツいんですけどね。でも、それを楽しんで……という言い方はちょっと違うかもしれないけど、ちゃんと受けとめられる自分になりたいなって。今はまだキツいほうが強いですが、有起哉さんぐらいのメンタリティーになれたら、芝居をするのがもっと楽しくなるだろうなと思います。
事務所の後輩も増えてきたと思いますが、
永田さんにとってどんな存在ですか?
事務所の後輩くんたちに対しては、「崇人さん、崇人さん」と慕ってくれるぶん、僕も何かしてあげないとって思います。してあげられることなんてないかもしれないけど、後輩はやっぱりかわいいですから。愛情が湧きますよね。
お芝居のアドバイスを求められたりもしますか?
お芝居のアドバイスというよりは、彼らのよさが輝くのはどういうところだろうっていうのを一緒に考えたりするのが好きで。客観的な視点から「こういうことをやってみるのはどう?」「こういうのもおもしろいかもね」みたいなことを、仲のいい後輩たちとはときどき話したりします。
いい先輩ですね。
いやいや! 全然いい先輩ではないです。僕はワガママだし、すごく面倒臭いと思いますよ(笑)。とにかく、みんなかわいいんです。
最近ハマっていることはありますか?
最近、日記をつけ始めました。といっても、ケータイにピーって書いているだけで、最初の頃は毎日書いていましたけど、今は毎日ではないし。ただ、そうすると自分の気持ちが整うんですよね。
それは日々の出来事だけでなく、
ご自身の胸の内を記したりも?
そうですね。自分に寄り添ってあげるような、やさしい言葉を書いたり。かと思えば、詩みたいなものを書いてみたり。“あっ、これ曲になるかも”と思った言葉をメモすることもあるし。でも、わりと自分の感情を書くことが多いかな。
文字にすると、
気持ちを整理できるっていいますよね。
そう! そうなんですよ。前に書いたものを見返すとおもしろいですよ。二度と見たくないくらいひどいことを書いていたりもするし(苦笑)。でも、それがそのときの本当の気持ちだから、そこにはウソをつかずに書こうと思って。
2024年、チャレンジしたいことはありますか?
僕はずっと、芝居をするときは“何かしなきゃ”という心持ちでいたんです。でも今年、“普通のことをちゃんと普通にできる”ことの大切さを学びました。それって、意外に難しいことなので。来年はもうちょっとチャレンジする機会があってもいいかなと思います。いろんな現場で揉まれて、たくましくなりたいです。
プライベートでは?
隙あらば、海外に行きたいですけどね。今年もちょっと行きましたけど、やっぱりいろんなものを見て、いろんなものを知るって大事だなって思うので。
ここからは、以前「FAST」に
ご登場いただいた際にお聞きした質問に
再度お答えいただきたいと思います。
2021年は、「欠かせないもの」として
プロ野球とサウナを挙げていました。
そこはあんまり変わってないかな。ただ、サウナは当時ほど行ってなくて、週に1回ぐらいですね。トレーニングも週一ぐらいでやっています。今の僕に欠かせないものは、友達ですね。高校時代の同級生とよく一緒にいるんですが、自分にとってすごく大事な時間です。
「永田崇人の軸」には、
「未来の自分のためにチャレンジしていきたい」
と回答していました。
あっ、それは変わらないです。僕、「急がば回れ」でいいと思っていて。飛躍するのはなかなか難しいけど、着実に準備することはできるから。僕はお芝居が好きで、常にお芝居のことばっかり考えているんです。自分のなかでは努力じゃないんだけど、芝居のために準備したことが結果的にいろんなことに結びついたらいいなと思います。たとえダメだったとしても、いろんな経験はムダにはならないから。
そして、「座右の銘」は
「毎日楽しく生きる」でした。
いや、もうホントにその通りですよね。でも、人生苦しいこともいっぱいありますから。今は何だろうな……僕、座右の銘とかあんまりなくて。
最初にご登場いただいた2020年3月のときは
「ない」でした。
そうですよね(笑)。まぁでも、やっぱり毎日楽しく生きるのは大事ですから。今回は「毎日楽しく生きたい」にします。
永田崇人
ながた たかと
C.I.A.の活動を振り返り「楽しかった」と話す声が、明るくも寂しそうだったのが印象的だった永田さん。インタビュアーと言葉が被ってしまった時には、優しい声で続きを促してくださいました。一方撮影では、かっこいいの合間にかわいいポーズや表情を挟むお茶目な姿も。スタッフもいつも楽しませていただいています!
1993年8月27日生まれ。
最近の出演作に、舞台『眠くなっちゃった』(‘23)、ドラマ『私と夫と夫の彼氏』(‘23)、『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』(‘23)、ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』(‘23)、などがある。2024年1月クール『推しを召し上がれ!』(テレビ東京)の放送も控えている。
C.I.A. presents「SUPER LIVE FINAL」
■公演日程
2023年12月28日(木)17:30会場/18:30開演
2023年12月29日(金)12:00開場/13:00開演
2023年12月29日(金)16:30開場/17:30開演
■会場
豊洲PIT
■出演者
阿久津仁愛、井阪郁巳、市川理矩、加藤諒、川原一馬、神田聖司、菊池銀河、木戸邑弥、木村風太、坂上翔麻、坂口涼太郎、永田崇人、中谷優心、林勇輝、星豪毅、宮田龍樹、村上貴亮、安田啓人
※出演者は変更になる可能性がございます。予めご了承ください。
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:茂手山貴子
スタイリスト:東正晃
インタビュー:林桃
記事:林桃/緒方百恵