上田竜也
舞台『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』
観にきてくれる方々に何かを持って帰っていただきたい
舞台『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』では、佐々木蔵之介さん演じる主人公・フェデリコの息子・ハインリヒを演じる上田さんに、本作への意気込みのほか、今感じている舞台の魅力も伺いました。隅から隅まで、本音しかないインタビューです。
<あらすじ>
13世紀、中世ヨーロッパ。神聖ローマ帝国皇帝となったフェデリコ2世(佐々木蔵之介)は、100年以上やっても決着しない戦争の無駄に気づき、十字軍を停戦して奇跡の平和を築く。だが、神の意に沿わぬ和平は教皇の怒りを生み、中世最大の罰である「破門」を受けることに。フェデリコにとって唯一思い通りに動かない息子のハインリヒ(上田竜也)は、父に反旗を翻し、皇帝の座を奪い取ろうとする。この父子の対決と確執はどこへ向かい、世界に何をもたらすのか……。
上田さん演じるハインリヒは、どんなキャラクターですか?
最初に企画書を読んだときは、すごくマジメというか、優等生のようなイメージを持ちました。そんな彼が、破天荒な父親と対立する……どちらかというと俺自身は破天荒側なので(笑)、逆の役を演じるのはちょっとおもしろいなと思いました。
劇中でハインリヒは父親と対立する役どころですが、上田さん自身の反抗期はありましたか?
ありました。でもある日、俺が腕相撲で父に勝った瞬間にすべてが変わったんです。
腕相撲!?
俺が小学生の頃は、ずっと父に負けていたんです。でもあるとき、俺が圧勝できるようになって。そこから、父の態度がガラっと変わった気がします。
最近は舞台での主演作が続いていたので、そうではない立場での出演はひさしぶりですよね。
みんなを引っ張っていく立場ではないので、ある意味、好き勝手できるなって(笑)。やっぱり、主演によって現場の空気感って大きく変わると思うんですよ。だから自分が主演のときは、みんなのモチベーションを上げるというか、チームとしての士気を高めることを意識してやっています。
これまで舞台作品に多数出演されていますが、初めて舞台に立ったときから魅力を感じていたのでしょうか。
そうですね。もちろん緊張もありましたけど、それよりも、“やり遂げた!”という達成感のほうが強かったです。初日なんかは特に。作品がちょっと泣けるお話で、シーンとなった瞬間に客席からすすり泣きが聞こえたんです。そのときに、“ちゃんとしたものを見せることができたんだな”と思いました。
定期的に舞台作品に出演されているのは、そういった舞台ならではのライブ感や刺激を感じたいから?
自分への刺激もそうですけど、観にきてくれる方々にも何か持って帰っていただきたいなって、毎回、舞台をやるたびに思います。それが何なのかはわからないんですけど……。「すごく重いものが心に残った」とか、「楽しかった」とかいろんな感想があると思うけど、極力、その人に刺激を与えるものであってほしいなと思ってやり続けていますね。
観劇された方の心に何かが残ったらいいなと。
「なんか、よくわかんなかったね」じゃなくて、「よくわかんないけど、スゴかったね」と言われるように。それって、何かスゴいものを受けとってもらえたってことじゃないですか。せっかくお金を払って来てくださっているのに、つまらなかったと思わせてしまうのはすごく申し訳ないので。常にそれを考えながら、舞台をやるようにしています。
今感じている舞台の魅力とは?
やっぱり、毎回同じものはできないところですね。絶対に何かしらのアクシデントがある。セリフの言い方も毎回、後になって色々思うし、毎公演ダメ出しもされるし。そうやってよりよいものにしていくところが、舞台ならではの魅力で。本番の幕が開いてからもどんどんクオリティが上がっていくのが、すごくいいところだなと思います。もちろん、本番までに100%の完成度にするんですよ。でも、千秋楽を迎える頃にはそれが150%、200%にもなれるというのは舞台ならではですし、 “誰かがセリフを忘れたら、どうフォローし合う?”みたいなライブ感も舞台の醍醐味だと感じます。お客さんも、初日と千秋楽の両方を観て、“あっ、こういうふうに変わっていったんだ”と感じられる楽しみがありますよね。
お芝居への向き合い方は、昔とくらべて変わってきましたか?
作品ごとに、演出家のみなさんがそれぞれの角度からの見方をされるので、それに触れることで、台本の読み込み方も変わるし。自分が演じる役のバックボーンを、どんどん突き詰めていくようにはなっていますね。
稽古には、しっかり準備して臨むのですか?
一応、準備していったこともあるんですけど。自分なりに作り込んで、こういう解釈でいこうと思って本読みでやってみたら、全然違ったとなるパターンもあるから。前回の舞台はそうだったかな。それはそれで、修正していく作業もおもしろかったりするので難しいんですけど……最近はフラットな状態で臨んで、いろんな意見を聞いてなるほどねって納得しながら、いろんなパターンを試してみるのもいいのかなと思っています。
稽古場では、積極的に先輩方にお話を聞くほうですか?
今回は、ちょっと悩んでいるんです。普段はけっこう相談する方で、大御所の方に教えていただくタイプなんですけど、今回は親子が対立するストーリーなので、蔵之介さんには相談しないほうがいいものができるのかな、とか。逆に、六角精児さん演じるグレゴリウスは、ハインリヒと結託する役どころなので、六角さんに相談したほうがいいのかな、とか。まぁでも結局、蔵之介さんにも甘えさせていただいて、聞いちゃう気がします(笑)。
稽古場での関係性が、役柄の距離感に影響を及ぼすことも?
それはあるかもしれないですね。やっぱり稽古中に生まれた信頼感が、ステージ上でも絶対に出てくるので。もちろん全員と仲よくしますけど、より親密な役を演じる人たちはちょっと特別というか……「とりあえず一回、メシにいこうか」みたいなことはしますね。
先輩には、どんなことを相談するのですか?
気持ちの面かなぁ。例えば、“演出家にこう言われました。でも、俺は納得できません”という場合、お互いのエゴのぶつかり合いになるじゃないですか。それを解消するためには、第三者に聞くのが一番フラットだと思うので。その方に、「いや、これは演出家の言うことが合っているんじゃないの」と言われたら素直に聞くし。そういうディベート?というか、話し合いをしながら構築していくことを大事にしています。
キチンと納得がいくまで話し合いたいと。
そうですね。納得しないままやるのは、ちょっと気持ち悪いんですよ。ちゃんとこれが正解だと思ってやりたいから。その正解に到達するまでに周りの意見を聞いて、モヤモヤした気持ちを解消するというのが毎回、稽古場での“あるある”です。
本作の公式ホームページで「また新しい世界へファンの方を連れていけると思う」とコメントされていましたが、今回、どんな新しい世界が見られそうですか?
中世の世界観を描いた作品は久しぶりなので、衣裳とかも含めて、まだみんなが見たことのない姿を見せられるんじゃないですかね。
今の発言も含めて、上田さんはとてもファン思いのイメージがありますが、ご自身にとってファンとはどんな存在なのでしょうか。
第一優先で考えないといけない存在ですね。自分が仕事をしていくうえで、どうしたらファンの子たちがワクワクしながら応援できるのか。どうせなら、楽しく応援していただきたいじゃないですか。“今度、こういうことをやります”と発表したときに、うれしい悲鳴があがる、みたいな。何と言ったらいいのかなぁ……俺が何かをすることによって、ファンの方々が生きるための充実感を得るって言うのかな。そうなってくれるのが、俺は一番いいと思っているから。
上田竜也
うえだ たつや
1983年10月4日生まれ。KAT-TUN
キリッと力強い目元がとても男らしくてかっこいい上田さん。普段黒をよく着られている印象ですが、白の上着もとても似合っていて、サラッと着こなされているお姿はとても素敵でした。またインタビューや撮影でも終始とてもクールで仕事のスイッチが入っている上田さんはとても頼もしいオーラがありました。取材のお時間でも常に集中力を切らすことなくかっこよくいてくださり、やはり、これまでたくさんのステージ・舞台などを経験してこられているのでお仕事に対する姿勢に圧倒されるスタッフでした。
これからもファンを第一に考えられている上田さんのご活躍を応援しております。
ご出演ありがとうございました。
最近の出演作に、テレビドラマでは、日本テレビ『ネメシス』(‘21)、映画では、『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』(‘23)、『Endless SHOCK』(‘21)などがある。
公演名 PARCO PRODUCE 2024 『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』
作 阿部修英
演出 東憲司
出演 佐々木蔵之介 上田竜也 那須凜 栗原英雄 田中穂先 石原由宇 六角精児 ほか
公式サイト https://stage.parco.jp/program/federico
ハッシュタグ #破門フェデリコ
【東京公演】
公演日程 2024年8月6日(火)〜9月1日(日)
会場 PARCO劇場
公演に関するお問合せ パルコステージ 03-3477-5858
【愛知公演】
公演日程 2024年9月7日(土)・8日(日)
会場 Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
お問合せ メ~テレ事業 052-331-9966(平日10:00~18:00)
【大阪公演】
公演日程 2024年9月11日(水)〜16日(月祝)
会場 森ノ宮ピロティホール
お問合せ キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~18:00 日祝除く)
【福岡公演】
公演日程 2024年9月21日(土)・22日(日)
会場 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
お問合せ ピクニック チケットセンター 050-3539-8330(平日12:00~15:00)
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:豊福浩一(Good)
スタイリスト:野友健二(UM)
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿