杉野遥亮
映画『やがて海へと届く』
忘れていた
当たり前に気づかせてくれる作品
突如消息を立った親友の死を受け止められない主人公が、深い悲しみを抱えながらも前に進んでいく姿を描いた映画『やがて海へと届く』。今作にて消息を絶った親友・すみれの彼氏を演じた杉野さん。過密スケジュールや難しい役柄といったさまざまな逆境を力に変え、非常にデリケートな演技を披露してくれた杉野さん。彼はどのようにしてこの大役と向き合い、演じ切ったのか。抽象と具体が入り混じった杉野さんらしい言葉で語っていただきました。
あらすじ
親友がいなくなって5年。忘れたくない思い出と、知らなかった親友の秘密― 私は、本当の彼女を探す旅に出る。
引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈は、自由奔放でミステリアスなすみれと出会い親友になる。しかし、すみれは一人旅に出たまま突然いなくなってしまう。あれから5年―真奈はすみれの不在をいまだ受け入れられず、彼女を亡き者として扱う周囲に反発を感じていた。ある日、真奈はすみれのかつての恋人・遠野から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。そこには、真奈とすみれが過ごした時間と、知らなかった彼女の秘密が残されていた。真奈はもう一度すみれと向き合うために、彼女が最後に旅した地へと向かう。
初めて台本を読んだ時、
作品に対してどのような
イメージを持ちましたか?
爽やかな印象を持ちました。切なさもありながら、透き通っているようなイメージが浮かびました。“早くこの作品の世界に入ってみたい”そう感じました。
爽やかというイメージの連想には、
「海」という言葉
も関係しているのでしょうか?
それもあると思います。主人公の真奈とすみれの関係性、そこに透き通る海のイメージが重なって、作品全体の雰囲気を作っているという感じです。二人の関係性は台本を読んだ時から好きでした。
中川監督とは撮影に入るに際して、
どのようなやり取りをされましたか?
今回、かなり短い期間での参加でした。中川監督とは役作りで話すというより、僕はこういう人間でこんな風に作品のことを考えているという、僕を知ってもらうためのお話をさせていただきました。その中で中川監督に対しては、凄く哲学的な考えを持っていて、人の本質を見据えながら生きている方だなと感じました。お話をさせていただき、一緒に作品を作っていくのが楽しみになりました。僕がこんな風に言うのは偉そうに聞こえるかもしれませんが、凄く素直な方なんです。すぐに信頼できました。
中川監督は現場でどんなことを
大事にされていましたか?
人の心をちゃんと捉えるということを意識されていたと思います。かなり抽象的な話になりますが、僕たち俳優は人の心を扱う、人の心を表現する仕事だと思っています。そういった気持ちをちゃんと汲み取ってくれるんです。あとは演じる時、枠に自分をはめていくパターンと、自分の心を解放するパターンがあるのですが、僕は今、後者の方が良いなと思っていて。監督も同じ意見だったので、嬉しかったです。
中川監督の演出で
印象に残っている場面はありますか?
僕の演じた遠野とすみれが学校で会話しているシーンです。真奈とすみれの関係性を踏まえた上で、遠野はどこまで言葉にするのか、その言葉のニュアンスはどうするのかなど、二人の感情について細かく話し合いをさせていただきました。最終的に少し台本と違う内容になりました。
遠野は、どういった点に気をつけて
演じましたか?
最初、遠野は少しミステリアスな部分がある男だと思っていました。
恋人を失って、それでも現状を俯瞰して色んなことを見つつも、前に進もうとしている、そういう不思議なパワーがある人だと思っていたんです。でも演じていく中で、実際は遠野も状況は頭では分かっているけれど、まだ心が追いついていないだけじゃないのかと思うようになってきて。そう考えると、その時の自分と状況が似ていて、面白いなと思いました。
遠野のどういった点が
杉野さんと似ていたんですか?
切羽詰まっている感じです。今回の撮影はかなり過密スケジュールで、僕自身も初めてのスケジュール感で動いていました。そういう余裕のない感じが、遠野というキャラクターとうまくシンクロしました。もし仮に僕の気持ちがスッキリした状態だったら、遠野を演じられていなかったかもしれません。その時の僕の状態だったからこそ出来たんだなと、仕上がりをみて思いました。
確かに色々と何かが
整理されていない感じが
伝わってきました。
演じている時に「あっちかな?こっちかな?」という混乱もありました。それが良い形で出ていたのだと思います。
杉野さんの考える今作の見どころはどこでしょうか?
大袈裟かもしれないですけれど、真奈とすみれ、二人の関係を通して、今周りにいてくれる人や家族は改めて大切な存在なんだなと感じま
杉野遥亮
すぎの ようすけ
身長が高く、スタイル抜群な杉野さん。気さくでフランク、無邪気な笑顔が魅力的でした!撮影の合間に青い服を着るとテンションが上がると仰っており、今回の青い衣装もとてもお似合いでした!
映画『やがて海へと届く』
2022年 4月1日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
原作:綾瀬まる『やがて海へと届く』
出演:岸井ゆきの 浜辺美波 杉野遥亮 中崎敏 鶴田真由 中嶋朋子 新谷ゆづみ 光石研
※Item credit
トップス:UJOH / ウジョー/39,600-
パンツ:UJOH / ウジョー/47,300-
シューズ:GMT/参考商品
[UJOH問い合わせ先]
M / エム
150-0001
渋谷区神宮前3-18-25
03-6721-0406
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:後藤泰(OLTA)
スタイリスト:Lean Lee Lim
ディレクション:半澤暁
インタビュー:山根将悟
記事:山根将悟/近谷奈生