町田啓太
映画
『きみの瞳が問いかけている』
「ボス」と呼ばれる冷酷な笑みに隠されたのは
切なすぎる儚い想い―
映画
『きみの瞳が問いかけている』
<あらすじ>
目は不自由だが明るく愛くるしい明香里(吉高由里子)と、罪を犯しキックボクサーとしての未来を絶たれた塁(横浜流星)。小さな勘違いから出会った2人は惹かれあい、ささやかながらも掛け替えのない幸せを手にした──かに見えた。ある日、明香里は、誰にも言わずにいた秘密を塁に明かす。彼女は自らが運転していた車の事故で両親を亡くし、自身も視力を失っていたのだ。以来、ずっと自分を責めてきたという明香里。だが、彼女の告白を聞いた塁は、彼だけが知るあまりに残酷な運命の因果に気付いてしまっていた──。
佐久間恭介 × 町田啓太
恭介について思ったのは「悲しい人」だということ。塁(横浜流星)と同じ環境・境遇で育ち、その環境を理由にして人の道から外れたことを2人でやっていたはずなのに、片方は自分の道をちゃんと見つけて人としてきちんと歩いて行こうとする…。「本当は自分もそうしたいんだけど、今更やめることはできない」。そういった弱さのある人だと思いました。だからこそ人の道をちゃんと歩もうとしている人を自分のいる道に引きずり込もうとするんじゃないかな。彼の人間味を考えた時に見えてきた、恭介の弱さが故の行動がすごく悲しく思えました。
一緒に育ってきた恭介と塁。
恭介にとって塁はどんな存在なんですかね?
自分を投影している存在だと思います。類友じゃないですけど、なんとなく自分に弱い部分がある時って同じ境遇の人同士でまとまっていたら強くなった気がするじゃないですか。それはそこが自分を肯定する仲間がいて自分を肯定できる場所だから。恭介から見ると塁は「大切な存在」というよりは、自分と掛け合わせることができる「もう一人の自分」だったんですよね。それがいつの間にか、本来、恭介がなりたかったような生き方を見つけていて、自分と対極の存在になってしまった…だからこそ塁に腹が立つし羨ましいんだと思います。「同じ境遇なのにお前はそうできて、俺はできないんだ!」という…。子供か!って話なんですけど(笑)。
そこは確かに人間味がありますね。
恭介の静かな怖さに鳥肌が立ちました。
演じる上でどんなボスであることを
意識されていましたか?
「闇に堕ちたボス」という存在を意識するよりも、「恭介だからこうなった」という彼の生い立ちを心に留めながら役作りをしました。「怖い人物だぞ」という見せ方よりは、やっていることはよくないけれどそれを肯定させようとしている部分を見せていく方がいいのかな、と思って。作中には恭介に関する説明があまりないんですよ。だからこそ僕なりの役の膨らませ方を監督と相談させていただきながら演じていましたね。普段、好青年や安全な人の役が多い僕だからこその「ボス」を作り出せればいいな、と。
髪型にも町田さんの意見が反映されているとか?
実は最初は金髪になる予定だったんですよ。今回の映画の衣装合わせの時に、ちょうど別の作品の撮影をしていて金髪のまま衣装合わせに行ったんです。それを見た三木監督(三木孝浩)が金髪をすごく気に入ってくださって。でも話していくうちに、半グレ集団の人ってアウトロー感のない普通っぽいお洒落な人が多いイメージがあったので、あえてそっちに振った方が怖さや異質感が出るんじゃないかと思ったんですよ。で、監督に「黒髪はどうですか?」と聞いて、黒スプレーをしたヘアを見てもらったんです。「こっちもありだね」と言いつつも、監督的にはやっぱり金髪を気に入ってくださっていたみたいで(笑)。そこで、僕と黒髪に賛同してくださったスタッフさんで「黒髪良いと思います!」とアタックして、黒髪の恭介が出来上がりました。結構、僕、ゴリ押しした気がします…(笑)。
Highlight of
『きみの瞳が問いかけている』
本当に真っすぐなラブストーリーで「大切な人のために何ができるのか」を考えつつ、自分の過ちとも向き合っていく…そんな胸を締め付けられる展開がたくさんある作品です。そんな環境だからこそ、心が通じ合った時に覚える感動の大きさが作品の見どころだと思います。個人的には恭介の「可哀想だな」と思われるような生き方しかできない、そんな行動しかとれない人物像を見ていただいて塁と対比してほしいかな。塁と恭平を見て「自分で良い方向に進もう」と思っていただきたいですし、恭介のような生き方ではなく、塁のように人の道を素直に歩くほうがいいんだと感じていただければ、役として本望です。
町田啓太
まちだ けいた
1990年7月4日生まれ。
柔らかな繭のように繊細に紡がれる言葉たち、思わず目をつむってしまうほどの眩しいジェントル性が爽やかに光る30歳。
映画『きみの瞳が問いかけている』
2020年10月23日(金)全国ロードショー!
監督:三木孝浩
出演:吉高由里子 横浜流星 やべきょうすけ 田山涼成 野間口徹 岡田義徳 奥野瑛太 般若 坂之上茜
森矢カンナ(友情出演) / 町田啓太 / 風吹ジュン
チームクレジット
カメラマン:YURIE PEPE
ディレクション:町山博彦
インタビュー・記事:満斗りょう