鈴木 仁
映画『かくかくしかじか』
原作ファンの方にも納得してもらえる“今ちゃん”にしたかった
漫画家・東村アキコさんが泣きながら描いたという自伝エッセイ漫画『かくかくしかじか』が、ついに映画化!宮崎、石川、東京と3つの街を舞台に描かれる本作で、主人公・明子に美術の才能を見出されたヤンキー・今ちゃんを演じる鈴木 仁さんに、撮影の思い出などを伺いました。作品にちなんだ質問では、最新のプライベート事情も明らかに!

©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
<あらすじ>
漫画家になるという夢を持つ、ぐうたら高校生・明子(永野芽郁)。人気漫画家を目指す彼女には、スパルタ絵画教師・日高先生(大泉 洋)との戦いと青春の記録があった。先生が望んだ二人の未来、明子がついた許されない嘘。ずっと描くことができなかった9年間の日々が明かされる── 。

本作への出演が決まった際の気持ちを教えてください。
もともと、原作が大好きで。僕が漫画好きだという話をしたときに、メンズノンノの誰かにおすすめされて読んだのですが、僕のなかで伝説的な作品になっているので。この映画への出演が決まったときは、“えっ、どの役?自分に合う役なんてあったかな!?”と思いました。そうしたら、なんと今ちゃんという誰にでも愛されるキャラクターで!ワクワクしたのと同時に、自分も好きだからこそ、原作のファンの方にも納得してもらえる今ちゃんにしたいと思い、緊張感を持って作品に挑みました。
原作を読んだときは、どんな感想を持ちましたか?
絵のかわいらしさとストーリーのコミカルな部分があるのと同時に、ちゃんと読者に訴えかけるような人生模様が描かれていて、そのバランスが絶妙だなと思いました。
読みながら涙したりも?
いやぁ、もう、グッとくるものがありましたね。一人で読んでいても、思わず「おー!」とか「そうなるよねー」とか、声に出てしまいました(笑)。
学生時代の自分に重ね合わせる部分もありましたか?
学生時代の僕は、めちゃくちゃビビリだったり、緊張しいだったりする部分があったんです。でも、中学生のときにサッカーのクラブチームに入って。そのときの監督には、メンタルも鍛えてもらいました。おかげで……まぁ、今もまだまだ強くはないけど、耐え抜く力とかはだいぶ成長できたと思います。今でも、監督からたまに連絡がくるんです。

そうなのですね!
今年のお正月も、2日だったかな?3年ぶりくらいに電話がきて、「ウチのサッカースクールに、おまえのことを応援している子がいるんだよ。今、代わるから」って(笑)。当時はうるさいことを言う先生だなと思っていましたが、今となっては感謝しているので。そういうところは、明子と日高先生の関係性に重なりますね。
鈴木さん演じる“今ちゃん”は、どういうキャラクターですか?
もう見た目からヤンキー色が強いですが、絵に出会うことでガラッと変わり、人としての成長がわかりやすい役どころだと思います。
衣装合わせで初めて今ちゃんに扮したときは、いかがでしたか?
フツーに楽しんじゃいました。髪型も、どうやってリーゼントを作るのか想像もつかなかったけど、ヘアメイクさんがセットしてくれるのを見ながら、“こうやって前髪を立ち上げるんだ!?おもしろ!”と思ったり(笑)。と同時に、ちゃんと今ちゃんになれているのかな?という不安もあったんです。でも、衣装を着た僕を見て、(原作者の東村)アキコ先生が「うわっ、今ちゃんだ!」と言ってくれて!その言葉を聞いて、“よかったー!ちゃんと今ちゃんになれているんだ”とホッとしましたし、撮影がすごく楽しみになりました。
永野芽郁さんや見上 愛さんとのシーンが多かったと思いますが、ご一緒しての感想は?
永野さんとは、去年公開の映画『からかい上手の高木さん』でもご一緒して。公開される頃には『かくかくしかじか』が決まっていたから、「また一緒だね」という話をしていたんです。だから、安心感はありましたし、永野さんなら明子を楽しくコミカルに、表情豊かにやってくれるだろうなと思いました。見上は以前からの知り合いなので、役者として共演するのが不思議な感じでした。しかも、実年齢では僕のほうが年上なのに、“自分が後輩役!?”みたいな(笑)。はじめましてではなかったので、とてもやりやすかったです。
現場はどんな雰囲気だったのでしょうか。
みんな、そこまで絵が得意ではないので、各々、自分が絵を描くシーンをどうしようか迷っていたと思います(笑)。あと、セリフが宮崎弁だったのですが、それが難しくて。方言指導の先生に正しい発音を録音してもらって、ずーっと聞いていました。

©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
大泉 洋さんと揉み合うシーンも印象的でした。
大泉さんとは、初日からゼロ距離でにらみ合うシーンを撮りました(笑)。「よろしくお願いします!」と言った直後にメンチ切ってる、みたいな感じだったので(笑)、一気に緊張が解けて。この勢いのまま、今ちゃんを楽しむしかない!と思いました。
そのシーンの撮影前に、大泉さんと打ち合わせをしたのですか?
特に動きを決めたりすることはなく、つかみ合う場面で「俺、ここをつかむね」ぐらいでした。ただ、カメラ位置によっては、腕などで顔が隠れてしまうので、そこは二人で息を合わせて。大泉さんは、「疲れるー!」と言いながらやっていました(笑)。まぁ、大泉さんより若い僕も疲れるくらいハードな撮影だったので。二人で汗をかきながらがんばりました。
大泉さんの迫力に圧倒されませんでしたか?
このシーンは躊躇したらダメだと思って、今ちゃんとして楽しんでいました。僕は背が高いので、大泉さんを上からぐわっとにらむことができて、これは得だなと(笑)。ヤンキーっぽく下から覗き込んでもいいかなと思ったのですが、最終的には上から強い感じでいきました。あのシーンは、つかみ合う二人を間で見ている永野さんの表情が、すごくおもしろくてかわいらしくて。撮り終わった後、みんなで笑いながら映像チェックをしたのを覚えています。

大泉さんとご一緒してみて、役者としての印象は?
最後のシーンを撮っているとき、本物の今ちゃんに、プロデューサーの方が電話をかけてくれて。大泉さんが、「実際の日高先生は、どんな感じだったんですかね」と聞いたりしていたんです。そうしたら、僕にもオンラインでつないでくれて。今ちゃんの格好をした僕と、本物の今ちゃんが対面できたんです!それは、すごく印象的な出来事でした。大泉さんは、そのときに聞いたことをすぐにお芝居に反映させていたので、さすがだなと思いました。
撮影は宮崎で行われたそうですが、ご当地グルメなども堪能したのでしょうか。
2時間ぐらいかけて、大泉さんの車でごはんに連れていってもらったんですけど……着いたのは鹿児島でした(笑)。
(笑)。ちなみに、何を召し上がったのですか?
すき焼き?いや、違うか……鍋とか、いろいろなものをいただきました。めっちゃ食べたー!と思ったら、永野さんも同じくらい食べていたのでビックリしました(笑)。

©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
今ちゃんは、明子に美術の才能を見出されたことで、絵に興味をもつようになります。鈴木さん自身にも、ある日突然、興味を持つようになったものがあれば教えてください。
ずっと続けているのは、キックボクシングなんですけど。ものすごく直近の話をすると、ボルダリングに目覚めました。5、6年前にボルダリングのクライマー役をやったことがあって。そのときの先生とひさしぶりに連絡をとってボルダリングをしたら、またハマってしまい、週一ペースで登っています。今、次々と難しい課題に挑んでいる最中で、実はあさっても登りにいく予定です。
プライベートはアウトドア派?
めちゃくちゃアウトドアです。5分でも暇な時間があったら、絶対に外に出ます。
キックボクシングを始めたのは、何かきっかけがあって?
もともと格闘技を観るのが好きで、二十歳ぐらいからUFCの試合はほぼ毎週観ています。RIZINやK-1もたまに観るし、ONEも日本大会があるときは観たりとか。学生時代はサッカーをやっていたんですけど、チームスポーツだから人数が集まらないとできないじゃないですか。それに、この仕事をやっていくなかで、日常的にカラダを絞りたいという気持ちもあったんです。じゃあ、何をしよう?となったときに、キックボクシングをやってみるかと思って始めたら、ハマっちゃって。たまに殴り合っています(笑)。
実際に当てるのですか?
マススパーリングぐらいまでですけどね。知り合いに格闘技のアマチュア選手がいるので、一緒に楽しんでいます。

お仕事的に、ちょっと心配になりますが……。
あははは!以前マネージャーさんにも、やめてほしいと笑顔で言われました(笑)。でも、キックボクシングをやっているおかげで、お芝居でとっさに動くときとか、無理なく動けたりするんです。
では、アクションもやってみたい?
やってみたいです。殺陣の経験はありますが、ケンカで殴り合ったこととかはないので。あっ、また壁を登る役もいいな(笑)。
明子は、本当は漫画家を目指していることを日高先生に隠していました。鈴木さんにも、長い間言えなかった秘密はありますか?
秘密……うーん、ほとんどないです。しゃべることが好きなので、家族や友達には包み隠さず、全部自分のことを話すし。隠しているのが面倒くさくなっちゃうんです。
本作の見どころや、今ちゃん的注目ポイントを教えてください。
作品の見どころは、明子と日高先生の人生模様というか。アキコ先生と、その人生に大きな影響を与えた日高先生の、二人の物語ですね。そして、そこに関わってくるキャラクターたちのことも楽しんでもらえたら。あとは、ちょっと口うるさい先生や先輩がいるかもしれないけど、そこに愛はあるんだよ、ということを感じてほしいです。今ちゃんとしての注目ポイントは、ヤンキーの部分と、絵に打ち込んでいるときの2面性ですね。僕が原作を読んで感じた今ちゃんの愛らしい部分を、ちゃんと表現できていたらいいなと思います。

鈴木仁
すずき じん
1999年7月22日生まれ。メンズノンノ専属モデル。
イベント前のタイミングで取材のお時間をいただきましたが、コンパクトな部屋の中にたくさんいるメディア陣に驚かれながらも冷静さを忘れずクールな表情で登場された鈴木さん。インタビューでは、声色は変わらないながらも表情はとても豊かに、和気藹々と楽しそうにお話しをしてくださり、作品についても大先輩である、大泉さんとの共演エピソードなど余すことなくお話しいただきました。後編では過去の登場のインタビューも交えたお話を伺っております。お楽しみに。
最近の出演作に、テレビドラマでは、MBS『復讐カレシ~溺愛社長の顔にはウラがある~』(‘25)、朝日放送テレビ・テレビ朝日『素晴らしき哉、先生!』(‘24)、映画では、『八犬伝』(‘24)、『からかい上手の高木さん』(‘24)などがある。

©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
タイトル:『かくかくしかじか』
公開日:2025年5月16日(金)公開
出演:永野芽郁、大泉洋、見上愛、畑芽育、鈴木仁、神尾楓珠、津田健次郎、有田哲平、MEGUMI、大森南朋
原作:東村アキコ
監督:関和亮
脚本:東村アキコ 伊達さん
主題歌:MISAMO「Message」(ワーナーミュージック・ジャパン)
音楽:宗形勇輝
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:kakushika-movie.jp
公式X:@kakushika_movie #映画かくしか
原作クレジット:「かくかくしかじか」東村アキコ(集英社刊)
©表記:©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
※Item Credit
ジャケット¥489,500
シャツ参考商品
パンツ¥190,300
ネクタイ参考商品
ブレスレット¥326,700
シューズ¥209,000
ブランド名:ボッテガ・ヴェネタ
お問合せ先:ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
お問合せ先番号:0120-60-1966
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿