濱正悟
ドラマ『何曜日に生まれたの』
言葉にできない劣等感の部分を表現するのは
演じ甲斐があります
2018年放送のスーパー戦隊シリーズ、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(テレビ朝日)でルパンブルー/宵町透真役を好演し、その後も数々のテレビドラマや映画でキャリアを築いてきた俳優・濱正悟さんがFASTに初登場! 2023年7月期ドラマでは、脚本家・野島伸司によるオリジナル作品『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ・テレビ朝日系)にレギュラー出演を果たし、物語の鍵を握る人物のひとりである城崎健人役を演じています。過去と現在が交差して展開されるストーリーに挑むにあたって、濱さんの想いや意気込みをお聞きしました。
©ABCテレビ
<あらすじ>
主人公の黒目すい(飯豊まりえ)は、漫画家の父・丈治(陣内孝則)と二人で暮らす、10年間ほぼ引きこもりの家事手伝い。ある日、丈治に連載の打ち切りが告げられる。編集担当の来栖久美(シシド・カフカ)は丈治に、大ベストセラー作家の公文竜炎(溝端淳平)が原作を書き、丈治が作画を担当する、異色のコラボ作品を提案。公文からの条件はただひとつ、すいを主人公のモデルにすることだった。そんな時、すいの元に高校時代の同窓会の案内が届く。実は、引きこもりになった原因は高校時代に引き起こしたバイク事故にあったのだ。トラウマだらけの思い出に苦悩するすいに、公文は同窓会へ出席するよう説得。すいは同窓会の日を境に、高校時代のサッカー部のメンバーたちと次々再会を果たし、過去のわだかまりを少しずつ解消していくが……?
5年ぶりとなる
野島伸司さん脚本のオリジナル作品。
出演が決まったときの
率直な気持ちを教えてください。
野島さんはたくさんの大ヒットドラマを手がけていらっしゃって、俳優として一度は出演を意識する方。僕自身はこれまでのドラマ出演は単話ゲストという形が多かったのですが、2022年頃からレギュラー出演も増えてきたところなんです。そんなタイミングで野島さん脚本の作品のオーディションがあると聞いて、なにかしらの形でもいいから関わりたいと思いました。オーディションに通って出演が決まった時は本当にうれしかったです。
野島さんの脚本は読んでみていかがでしたか?
最終話の直前まで台本が完成しているのですが、「こうなるのかな?」という予想が毎話変わって面白かったです! 展開が読めない作品といった印象で、純粋に好きなストーリーです。登場人物それぞれに物語がきちんと存在して絶妙に絡んでいくし、言葉のチョイスが他に類を見ない感じがしてワクワクします。単なる遊びのセリフかと思いきや、その後の展開に繋がっていた……なんてことも。台本を読んでどう演じようか考えていても、読むたびに新しい発見があるんです。捉え方がその時々で変化するので、解読しながら読んでいるような感覚があります。
ご自身が演じる城崎健人はどんな人物ですか?
高校時代は補欠ながらサッカー部の元キャプテンで、いつも周りに人がいるような人。台本を読んでみて、僕が今まで演じてきた役の中で一番楽しく演じられそうだなと思いました。健人は物語の途中から主人公たち同級生と合流するような形になるため、どうやって演じていこうか考えが行ったり来たりしていました。とても演じ甲斐のある役柄です。
演じ甲斐がありそうというのは、
具体的にどのあたりで感じましたか?
サッカー部のキャプテンであるものの、部活の花形とも言えるエースや天才型ではなく、補欠部員。そのあたりに劣等感を抱いていて、“天才になれなかった大多数側”の人間かもしれないと感じました。エースはチームで一人だし、天才と呼ばれる人たちはごく一部じゃないですか。その領域にたどり着けなかった人間というのは、僕としては共感できる部分があります。健人は性格的には明るい面が多くを占めているけど、劣等感のように言葉にできない部分があるので、そこを演じられるのはやり甲斐があります。同級生たちにちょっといじられたり、愛されキャラな部分だったり、昔と変わらない懐かしいやり取りなんかを表現していけたらいいなと思っています。
健人を演じるうえで意識している点や、
高校時代と現代で演じ分けている点は
ありますか?
演じ分けはあまり意識せず、台本に書かれていることや監督の演出を受けて演じています。オーディションに始まりサッカー練習、本読み、衣装合わせなどで監督と会ってお話する機会が多かったんですよね。台本もクランクイン前から最終話直前まで完成していたし、必然的にこの作品と向き合っている時間が長く、密なものになっている感覚があります。
サッカー強豪校という設定がゆえに、
サッカー練習もおこなわれたんですね!
そうなんですよ。クランクイン前、週に1回の頻度で合計4回ほどサッカー練習がありました。練習することは想定していたけど、ここまで頻繁におこなうとは意外でした(笑)。たいていのドラマは時間が限られているものが多いので、練習にここまで時間をかけてもらえるのはすごくありがたいことだなと思いました。
同級生役のみなさんとも
クランクイン前から交流が?
悠馬役の井上祐貴くんと、純平役のYUくんは二人とも僕と同年代なこともあって、サッカー練習の早い段階から仲良くなりました。クランクイン前から何度か食事に行っていろんな話ができたし、一緒に撮影していてとても演じやすいです。悠馬は真っ直ぐで積極的、純平は天才肌でクールな印象があって、役に共通する一面が彼らにもあるように感じました。
これまで地毛の黒髪で出演してきた濱さん、
本作で初めて
ブリーチヘアに挑戦したそうですね。
ついに役で髪を染める時がきましたね。ブリーチを1回かけてオンカラーなしの抜きっぱなしヘア。色を持たせる必要がないからそのままサウナに入っちゃったりもしています。自分の髪とは思えないくらいパサパサになっているので、ブリーチのダメージってすごいんだなぁと痛感していて(笑)。一応、ヘアオイルでケアするようには心がけています。
ブリーチヘアにしてからの
周りの反応はいかがですか?
スタイリストさんやヘアメイクさんたちから好評でした! この髪色のまま役者をやっていったほうが売れるんじゃないか?と自分で思うくらい好評(笑)。あと、猛暑の時期に髪を短くできたのはタイミングとしてありがたかったです。毎日の撮影が本当に暑いので……。
高校時代の回想が随所に差し込まれる本作。
濱さんの高校時代について教えてください。
バスケットボールを小学6年生から続けていて高校でもバスケ部に入ったものの、1年生で辞めてしまって。その後、進路を決める3年生の時に、俳優という道と大学進学を同時に意識し始めました。子供の頃はテレビを観ながら家で一人で過ごすことが多かった影響で、漠然とテレビの中の世界に憧れを抱き続けていたんですよね。親にテレビに出るにはどうすればいいか相談した時に、オーディションというものがあるらしいと知って。それで事務所オーディションを受けてみたら落ちてしまい、俳優と同じくらい興味があった大学進学の道を選びました。
大学進学に興味があった理由は何かありますか?
じつは当時、自分の中でしっくりくる進路が見つからなかったのと、「俳優一本でやっていくんだ!」という勇気が湧かなかったんです。ただ、俳優って役を通していろんな人の人生や景色が見れる職業じゃないですか。今後の経験のためにも大学で多様な学部やサークルを見て、いろんな人と出会って自分の世界を広げたいと思ったのが理由です。
濱さんは1994年8月22日の月曜日生まれ。
月曜日に対するイメージキーワードを
お願いします。
カレンダー通りに仕事している人にとっては「憂鬱」かもしれませんが、僕は基本的に曜日感覚のない生活で……。僕はわりと月曜休みが多くて、外出すると人が少なくて快適なんですよ。趣味のサウナや温泉、山登りはもちろんのこと、ランチタイムでも早めに行けば並ぶことなくご飯が食べられる(笑)。なので、僕にとって月曜日のイメージは「わくわく」です。
濱正悟
はま しょうご
サッカー練習は野外でおこなわれたため、着ていたTシャツの半袖焼けをしてしまったのだそう。クランクイン前の日焼けで撮影に支障が出ないよう、他の部分も日焼けして肌の色を合わせたという、肉体ベースで役作りに挑んだ濱さん。暑さに弱くて日焼けすると赤くなりやすい体質のため、ちょっとだけ大変だったと照れくさそうにを教えてくださいました。
1994年8月22日生まれ。東京都出身。
スーパー戦隊シリーズ「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」出演後、ドラマ「恋せぬふたり」カズくん役や「何かおかしい」では民放連ドラ初主演を務め、昨年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」での平維盛役や連続テレビ小説「舞いあがれ!」では中澤真一役で出演し話題を呼んだ。現在放送中のドラマ「民宿のかくし味」(CBC・毎週木曜25:00~放送)にも主演・緑川春陽役で出演中。
©ABCテレビ
ドラマ『何曜日に生まれたの』
日曜 午後10:00〜10:54
第4話は9月3日放送予定
※放送終了後、TVer、ABEMAで最新話を見逃し配信
※TELASA、U-NEXTでは全話見逃し配信
配信限定スピンオフドラマ『10年前の放課後』
TVer、ABEMAで公開
「10年前の放課後~私のこと、どう思ってる?~」
公開中
「10年前の放課後~拳と拳の戦い~」
9月3日 午後10時54分〜
※Item Credit
ジャケット¥61,600、パンツ¥37,400/SOL(ジョワイユ)その他スタイリスト私物
ジョワイユ
107-0062
東京都港区南青山6-6-22 LUNA ROSSA南青山3F
03-4361-4464
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:佐々木麻里子
スタイリスト:徳永貴士(SOT)
インタビュー:井上ハナエ
記事:井上ハナエ/緒方百恵