一ノ瀬 颯
初挑戦となる舞台でさらなるレベルアップを
2019年に『騎士竜戦隊リュウソウジャー』で俳優デビュー後、『Believe―君にかける橋―』(テレビ朝日系)、『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(日本テレビ系)、映画『十一人の賊軍』といった話題作への出演のほか、「王様のブランチ」(TBS系)にレギュラー出演するなど、着実にステップアップしている一ノ瀬 颯さん。2024年を振り返りつつ、現時点で感じている手応えや今後の目標などを伺いました。
2024年は、ドラマや映画で間断なく一ノ瀬さんの姿を拝見していた印象があります。
映画『十一人の賊軍』やドラマ『ハスリンボーイ』は、撮影したのが1年半とか2年前だったりするのですが、それが去年、同時期に世に出たが故に、そういう印象があるかもしれないです。たぶん、何かしらの撮影時期がかぶっていたとは思うんですけど……『十一人の賊軍』と『ハスリンボーイ』みたいに完全に振りきっている役であれば、同時期の撮影でも大丈夫な気がしますが、微妙に近い役どころだと、違いを出して演じるのが難しいです。今後は、似ている役でも作品によって全然違って見えるような、そんなお芝居をできるようになりたいです。
2024年を振り返ると、どんな年でしたか?
撮影中から“これは絶対におもしろくなるな”と思える作品に多く出会えた年でした。『十一人の賊軍』は、東京国際映画祭のオープニング作品に選ばれて。まさかレッドカーペットを歩かせてもらえるなんて思ってもいなかったので、とてもうれしかったですし。ドラマ『Believe―君にかける橋―』は、あんなに豪華キャストの中で、自分にも焦点を当ててもらえる、とてもステキな役をいただいて。『ハスリンボーイ』も、ラスボスというような役で。ビジュアルも金髪にタトゥとネイルという、今までにないキャラクターをやらせてもらって。ホントに楽しい一年でした。
一ノ瀬さんのSNSに、「ドラマ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』では、律(一ノ瀬の役名)を通して様々なことを経験して、涼(堀田真由)に今までの価値観をぶっ壊された」とありましたが、どのへんがぶっ壊されたのでしょうか。
わかりやすいところでいうと、男女の友情が成立するしない問題について、すごく考えさせられました。僕は今まで“えっ、成立するでしょう”と当たり前に思っていたんです。実際に女友達もいるし。でも、このドラマに携わったことで、片方だけが好きで、それを隠しているパターンもあることがわかって。しかも律の場合は、その気持ちを20年も隠しているんです。そういう場合、好きな立場のほうがすごく苦しい思いをしているんじゃないかなって。安易に「(男女の友情が)成立する派です」と言うのをやめよう。もうちょい濁した表現にしようかなと思いました。世間でよく言われるように、これは永遠のテーマなのだと改めて実感しました。
2024年12月1日で研音に所属して丸6年。毎年、この日に必ずやることなどはありますか?
あっ、12月1日に?何かやったほうがいいのかな……(笑)!?でも、SNSに「所属して○年経ちました」という投稿はしています。そうすることで、いろんな人に感謝するという意味もあるし。僕の場合、投稿する前にマネージャーさんにチェックしてもらうんです。そのときに、マネージャーさんが「おめでとう」と言ってくれるので、そこで自然と感謝を伝えられてもいるのかなって。
きっと、マネージャーさんもうれしいでしょうね。
そう……ですかね。でも、もっともっと感謝していきたいなって思います。
改めて目標を立てたりする日でもありますか?
そうですね。それまでの一年を振り返ったり、次の一年はどうしよう?と考えたりはします。ただ、お仕事に関しては自分だけで決められないこともあるので、もうちょっと自分の内面的なことや、お芝居そのものに関して考えることが多いです。でも年末が近い時期なので、その年の振り返りとちょっとかぶっちゃうんですけど(笑)。
ちなみに、7年目の目標は立てましたか?
2025年は、初めて舞台をやらせていただくことになって。しかもご一緒するのが、長い間、舞台の第一線で活躍されてる方ばかりなんです。僕は今まで映像作品が中心だったこともあり、かなり刺激をいただけるんじゃないかなと思っています。そういう方たちと一緒にお芝居をすることで、得られるものもすごく多いと思うので。沢山のことを吸収して、普段から舞台を見慣れている人たちにも認めてもらえるようになりたい。舞台での経験を、十二分に自分に染み込ませて、映像でのお芝居も、もっともっといいものにしていきたいです。
相乗効果で。
そうですね。僕はこれまでバラエティーをやらせてもらうこともありましたけど、お芝居にすごく生かされるなと思ったんです。そういう相乗効果も感じたので、舞台というまたちょっと違う世界に触れて、もっともっと自分の幅を広げていきたいというか。もっともっとアンテナを張って、いろんなものを吸収して。いろんなところから取り入れたものを、最終的には自分のお芝居として出せるようになって、より多くの人にいいと思ってもらえるようになりたいです。
バラエティーとお芝居の相乗効果とは?
たとえば、お芝居の反射神経的なところとか。アドリブを含め、その場で反応してパッと出てきた感情を出す、ということです。台本に書いてあるプロットを、そのままなぞるように演じるだけなら、誰にでもできるので。その場で、相手のちょっとした表情や言葉の言い方をちゃんと受けて、“自分がそう言いたくなったから、このセリフを言っている”というお芝居をしたいんです。バラエティーでは、想像もしていなかったことを言われてパッと返さなければいけない場面も多いので、相手の言動によって自分の気持ちの吐き出し方を瞬時に変えるというのは、バラエティーのおかげでより身についたと思います。
なるほど。
『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』で、律が涼に告白するシーンがあったんですけど。台本を読んだ限りでは、涼がOKともNGともとれる感じで反応しているのかなと思ったんです。でも、実際に堀田さんとお芝居をしたら、わりと早い段階で、涼の表情から拒否反応を感じたんです(笑)。もうちょっと受け入れてくれると思っていたけど、“あれ?これ、ムリだ”って。でも、なんとかうまくいくようにしなければいけない。そこで集中力が増して、律から伝わる必死度が何段階か上がったような気がします。
そういった実体験がもとになっているのですね。
そのシーンが終わった後に、監督が「すごくよかった」と言ってくださって。一つ新しい感覚を得られたと思えたし、バラエティーで得た瞬発力が活かせたのかなとも感じました。僕はいろんなジャンルにどんどん触れたほうがいいんじゃないかなと思っているんです。2025年は、舞台という自分にとって新たな世界に触れる機会をいただけたので、そこでまたレベルアップしていきたいです。
一ノ瀬颯
いちのせ はやて
1997年4月8日生まれ。
撮影は外撮影と室内両方でしましたが、12月の下旬の寒い中でも、寒いなども全く言わずに撮影に挑んでくれた一ノ瀬さん。オレンジ色の暖かい夕日と優しく穏やかな一ノ瀬さんの雰囲気がとてもしっくりきていた外撮影でした。室内では柔らかい雰囲気からは一変してシックにカッコよく雰囲気の撮影をしました。スタッフとマネージャーさんで背景紙の汚れをとっていると何も言わずに手伝ってくださる一ノ瀬さん。おっしゃっていた通り、困っている人がいると率先して動く姿を撮影でも見せてくださいました。
これからも人柄あふれる優しさとお芝居に対する熱意でたくさんのご活躍を応援しております!
ご出演ありがとうございました!
最近の出演作に、テレビドラマでは、日本テレビ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(‘24)、テレビ朝日『Believe―君にかける橋―』(‘24)、フジテレビ『いちばんすきな花』(‘23)、テレビ東京『SHUT UP』(‘23)、映画では、『十一人の賊軍』(‘24)、アクターズ・ショート・フィルム『ハルモニア』(‘24)主演、『仕掛人・藤枝梅安 第二作』(‘23)、などがある。TBS「王様のブランチ」にレギュラー出演中。
©フジテレビ
タイトル:119エマージェンシーコール
放送日時:2025年1月13日スタート 毎週月曜よる9時
キャスト:主演 清野菜名
瀬戸康史 見上愛 一ノ瀬颯 前原滉 酒井大成 三浦獠太
蓮佛美沙子 堀内敬子 遠山俊也 中村ゆり 佐藤浩市 他
脚本:橋本夏 小柳啓伍
プロデュース:渡辺恒也
主題歌:羊文学『声』
制作協力:C.A.L
制作著作:フジテレビ
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿