金子大地
映画『猿楽町で会いましょう』
〈未完〉から描かれたのは
吐息を感じるリアルな恋愛物語
追いかけていた夢が終わろうと、愛していた人と別れようと、私たちの人生は〈未完〉を貫く。執着や後悔の余韻が響く現在(イマ)も、懐かしさやときめきを感じられる過去も、人生という長い川の中で一緒くたになるから愛おしい。身を切るような痛みだって〈完成〉に繋がる橋だと思いたい。だけどいつまでも〈未完〉でありたいとも思う。激流の水面下で静かに濁る2人のラブストーリーが、矛盾だらけの世界と自分の狭間にきっと流れ込んでくるはず――
映画『猿楽町で会いましょう』
<あらすじ>
国内外の映画祭で⾼評価続出の衝撃のラブストーリー
渋⾕・猿楽町を舞台に、嘘だらけのヒロインと、
さまざまな男⼥の夢と欲望が交錯する
次代を担うクリエイターの発掘・育成を⽬指して、まだこの世に存在しない映画の予告編を 制作し、グランプリには本編の制作費 3,000 万円を授与する、「未完成映画予告編⼤賞 MICAN」。応募のルールは「3 分以内の予告編映像」と、「作品の舞台となる地域名をタイトルに⼊れる」ことの 2 つ。堤幸彦、⼤根仁、平川雄⼀朗、岡⽥惠和、川村元気らトップ・クリエイターが審査員を務める中、205 編の応募作から満場⼀致で第 2 回グランプリを獲得した、児⼭隆監督の『猿楽町で会いましょう』。本編制作にあたっては、児⼭監督は予告編で描かれたディティールに捉われることなく、物語を再構築。当初はミステリアスな存在であったヒロインを、恋⼈となるカメラマンの⻘年の⽬を通して、より実在感のある⼥性として描く⼀⽅、⼆⼈を取り巻くさま ざまな男⼥の夢と欲望が交錯するドラマを重層的に紡いでみせる。本作は、第32回東京国際映画祭⽇本映画スプラッシュ部⾨に正式出品され、映画ファンからの⾼い評価を獲得。その後、ウディネファーイースト映画祭 2020 コンペティション部⾨ノミネート、台北ゴールデンホース映画祭(台北⾦⾺映画祭)に正式招待された。国内外の映画祭 で⾼評価が続出した衝撃のラブストーリーが、ついに劇場公開。
<小山田修司>
主人公。駆け出しのカメラマン。撮影で出会った読者モデルの田中ユカ(石川瑠華)に惹かれてゆく。
『猿楽町で会いましょう』× 金子大地
実は児山監督に面談していただいたのは2年半ほど前。最初、予告を観た時にグッと惹きこまれたのを覚えています。「この映画はどんな作品なんだろう?」と気になりましたし、石川瑠華さんがすごく魅力的だったので、本編制作のお話を聞いて「是非、参加したい」と思いました。
今回、「予告から映画を作る」という
ワクワクする試みでしたが
実際に本編の台本を読まれてみて、
どんな印象を受けられましたか?
結構、生々しく描かれていて「こういう人っているよな」と面白かったです。僕の演じた修司はすごく純粋で、とにかく未完成な青年。まだカメラマンとしても駆け出しですし、男としても未熟。ダサくて弱々しい印象を受けましたね。
修司と同じくらいユカも光っている作品でした。
金子さん自身が考える
〈ユカの魅力〉ってなんだと思いますか?
この映画を通して観ると、すごく弱くてふわふわしていて軸のない軽い女の子に見えると思うんですが、きっとユカと同じように東京で戦っている人たちがいると思うんです。そのリアルさにも惹かれましたし、何を考えているか全然分からないところもユカの魅力だと思いますね。
その〈戦い〉をふっと救ってくれる
作品のように感じました。
今回は石川さんが映画初出演ということで、
金子さんがリードされたんだとか?
石川さんは常にガムシャラでした。それがすごく素敵で。僕自身、今まで初出演の方と一緒にお芝居をする機会がなかったので、むしろ彼女から教わることが多くて芝居をしていて面白かったです。
修司が撮影したユカの写真、素晴らしかったです。
いつもは被写体の金子さんですが、
撮る側になってみていかがでしたか?
難しかったですね。クランクイン前に監督にカメラをお借りして、散歩しながらいろんな物を撮影してみたんですが全然理解しきれなかったです(笑)。
Message From 映画『猿楽町で会いましょう』
僕の見どころは「さらけ出しているかっこ悪いところ」ですね。もう、かっこ悪い部分を全てさらけ出しているので、是非注目していただきたいです(笑)。東京で頑張っている若者に限らず、自分の未完成さにぶち当たる瞬間って若者だったらきっと誰しもあると思うんです。そういった想いを抱えている人に観て欲しいと思いますし、恋愛が上手くいくことってなかなかないことだとも思うので、その辺も共感していただけるんじゃないかと思います。とにかく、僕と石川さんという「まだ何者でもない」役者たちが演じることで生まれる、みずみずしいラブストーリーがひとつ魅力になっていると思うので、たくさんの方に届いてくれたら嬉しいです。
金子大地
かねこ だいち
1996年9月26日生まれ。
“人間臭さ”が混在する大地を慕い、豊穣な芝居力で私たちを刺激する24歳。
映画『猿楽町で会いましょう』
2021年6月4日(金)渋谷ホワイトシネクイント、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
監督:児山隆 脚本:児山隆 渋谷悠
出演:金子大地 石川瑠華
栁俊太郎/小西桜子 長友郁真 大窪人衛 呉城久美 岩瀬亮/前野健太
※Item Credit
シャツ¥30,800 スニーカー¥28,600
(共にMyne CODEX/SOSU TEL 070-6660-0692)
パンツ¥26,400
(MAISON SPECIAL/MAISON SPECIAL AOYAMA TEL 03-6451-1660)
※Team Credit
カメラマン:YURIE PEPE
ヘアメイク:Taro Yoshida(W)
スタイリスト:千野潤也
インタビュー・記事:満斗りょう