西垣匠
映画「隣のステラ」
「お芝居に触れている人間だからこそ得られる経験や幸せもある」
隣同士の家に住む幼なじみの男女のもどかしい関係を描いた映画『隣のステラ』で、八木勇征さん演じる昴とドラマで共演する実力派若手俳優の新堂理生を演じた西垣匠さんに、演じた役のことや映画の見どころ、さらに共演した倉悠貴さんからのメッセージに対するお返事も伺いました。

©餡蜜/講談社 ©2025 映画「隣のステラ」製作委員会
<あらすじ>
高校生の天野千明(福本莉子)と柊木昴(八木勇征)は隣同士の家に住む幼なじみ。昴が芸能事務所にスカウトされ、モデルや俳優として人気者になっていき、そんな昴に千明は幼いころから思いを寄せていた。千明はついに昴に告白するが、昴から幼なじみとしてしか見ることができないと言われてしまう。

まずは今回の原作や、完成した作品をご覧になった感想を教えてください。
僕の妹が元々原作を好きだったみたいで、実家に住んでいた時に妹の持っていた漫画を借りて読んでいたんです。なので、今回の出演のお話を聞いた時は「なんか聞いたことがあるぞ」と思っていました。
実際に脚本を読み、出来上がった作品を見て、ただの胸キュン映画ではないなと思いました。原作の良さをちゃんと活かしながら、千明と昴2人の葛藤やメッセージ性みたいなものがすごく伝わる作品になっていると思いました。
西垣さんが演じる新堂理生は、八木さん演じる昴とドラマで共演する実力派若手俳優という役どころですが、理生をどのような人と捉えていて臨まれましたか?
天才子役上がりの俳優という設定で、一応、昴の先輩という立ち位置なんです。これは映画の予告にも使われているのですが、新堂の「他人を演じる役者だからこそ、自分の心を大事にしなきゃダメだよ」というセリフを読んだ時、きっと新堂は昴と同じような悩みを持ったことがあるんだろうなと思いました。自分も同じ経験をしたからこそ、先輩として、あの時の昴にかけてあげられる言葉がそれだったし、アドバイスというところも含めて、ずっとこの業界にいる人じゃなきゃ生まれてこない悩みもあったんだろうなと思ったんです。
新堂は一見飄々としているんですけど、「昴くん、何か悩んでいるでしょ?」と的を射た発言をするときもあるので、何も考えていなさそうで、実はちゃんと考えている。発言の端々から先輩としての背中の大きさや余裕みたいなものを感じたので、そういうものを表現できたらいいなと思い、演じていました。

公式サイトのコメントで「千明と、表舞台に立つ昴の両方で共感できる部分があります」と仰っていましたが、具体的にそれぞれのどんなところに共感されたのでしょうか。
僕は本当にどちらの立場も経験しているんです。というのも、僕がこのお仕事を始めたのが5年ほど前で、その時は20歳を過ぎていたんです。それまでは普通に生活していたから、確かに自分の好きな人が自分よりもかっこよかったり、かわいかったりする人と、仕事とはいえ距離が近かったり仲良くしたり、作品や役によってはキスシーンもあるので、「うわあ、嫌だな」みたいな気持ちになるのも分かるんです。
でも、いざ自分の立場が変わって、昴側を経験すると「いや、
妹さんの漫画を借りて読んでいた時は、まさか自分が何年後にこの立場か思っていなかったってことなかったですね。その頃の自分に、なんて言ってあげたいですか?
難しいですが「楽しいよ」と言ってあげられると思います。正直なところ、俳優をやるために、この職業ではない人たちの幸せというのは捨てなきゃいけないこともありますが、逆に言えば、「お芝居」というものに触れている人間だからこそ得られる経験や幸せもあるので、嫌なことばかりではなく、楽しいことで溢れているから「思い切って飛び込んでいっていいよ」と言えると思います。

先ほど、前回、映画「六人の嘘つきな大学生」で一緒に「FAST」にご登場いただいた倉悠貴さんに取材した際、西垣さんへのメッセージをお預りしたので、以下にお伝えしますね。
倉:「西垣くんが演じた新堂の『他人を演じる役者だからこそ自分の心を大事にしなきゃダメだよ』というセリフが、僕がこの映画で一番好きなセリフなんです。とてもいい言葉だし、まさに僕たちに言っているんじゃないかっていうくらい刺さった言葉なので、そのセリフがすごく好きだったということをお伝えしたいですね。
それと、新堂は芸能人の役なんだけど、ちゃんと「西垣匠」ではなく、ひとりの芸能人に見えたので、やっぱり素敵な俳優さんだなと思います。「六人の嘘つきな大学生」でもご一緒しましたが、またいつか共演できたらいいなと思っています」
とのことですが、これを受けていかがですか?
うわ~、嬉しいです!僕は倉くんが演じた高橋がとにかくカッコよかったなと思います。高橋だけ大学生なので、この中で唯一、ちょっと大人の男性という役どころなので、その余裕が出ていると思いました。ある意味、この作品のテイストとはちょっと違うところに高橋くんがいて、それがうまいこと効いていると思います。
高校生から見た大学生って、すごく大人なんですよね。実際にそちら側になってみたら大差ないのに、「年上の人」を大きく見せず、そこを完璧に表現していたので、すごいなと思います。今回は残念ながら共演シーンがなかったけど、僕もまたいつか共演できるように頑張らなきゃなと思っています。

西垣匠
にしがき しょう
1999年5月26日生まれ。
倉さんと同じイベント後にお時間をいただいた西垣さん、前の取材部屋から駆け足でFASTが準備するお部屋まで来てくださいました。入室されても前回と同じように一人一人にご挨拶される姿は紳士的で誠実さの一言でした。インタビューでは、倉さんからのメッセージをお伝えすると謙遜をされながらも、すごく照れた表情で嬉しそうにされていて、お二人の素敵な関係性が見える時間となりました。
後編では、西垣さんのおすすめの映画など色々お聞きしております。お楽しみに。
最近の出演作に、テレビドラマでは、フジテレビ『続・続・最後から二番目の恋』(‘25)、NHK Eテレ『世界は元素でできている』(‘25)、MBS・TBS『アポロの歌』(‘25)、テレビ東京『財閥復讐〜兄嫁になった元嫁へ〜』(‘25)、映画では、『六人の噓つきな大学生』(‘24)、『みーんな、宇宙人。』(‘24)、『映画 マイホームヒーロー』(‘24)などがあり、今後公開予定の『ソニックビート』も控えている。
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©餡蜜/講談社 ©2025 映画「隣のステラ」製作委員会
タイトル:『隣のステラ』
原作 :餡蜜『隣のステラ』(講談社「別冊フレンド」連載)
監督 :松本花奈
脚本 :川滿佐和子
出演 :福本莉子 八木勇征 倉悠貴 横田真悠 西垣匠 田鍋梨々花 / 清水美砂 宮崎吐夢 紺野まひる / 野波麻帆 浜野謙太
主題歌 :FANTASTICS「いつも隣で」(rhythm zone)
公開日 :2025年8月22日(金)
コピーライト:©餡蜜/講談社 ©2025 映画「隣のステラ」製作委員会
※Item Credit
《衣装クレジット》
ジャケット¥80,300、シャツ¥30,800、パンツ¥38,500(以上全てLAD MUSICIAN/LAD MUSICIAN HARAJUKU)
その他スタイリスト私物
(お問い合わせ先)
LAD MUSICIAN HARAJUKU 03-3470-6760
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:細野裕之(TENT management)
スタイリスト:石橋修一
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿