伊藤 健太郎
ドラマ『TYPEなに? 性格診断で人生決めちゃいます』
この作品が、自分のことを見つめ直すきっかけになってくれたらうれしい
“性格診断による就職活動”を、皮肉とユーモアたっぷりにワンシチュエーションで描いたスペシャルドラマ『TYPEなに? 性格診断で人生決めちゃいます』の放送が決定!本作で主演を務め、見事に5役を演じ分けている伊藤 健太郎さんに、「必死になりながらがんばった」という撮影の思い出のほか、性格タイプ診断に対する自身の考えなどをお聞きしました。
<あらすじ>
物語の舞台は、人間を36タイプに分類した“TYPE”が社会を支配する日本。大学4年生の結城 翔(伊藤)は、器用で周囲の空気を読むのが得意な“協調タイプ”。「このタイプでいれば、損はない」と、就活を続けてきた。だが、志望企業の「マルチメタ」の面接試験で眼の前に現れたのは、協調タイプだけでなく、研究タイプ、カリスマタイプ、堅実タイプとして歳を重ねた4タイプの自分だった……。

本作への出演が決まったときの気持ちを教えてください。
今回のお話をいただいたとき、1人で5人の役を演じることに対してとか、どう演じ分けようかなとか。あとは、このセリフ量をどう自分のなかに落とし込もうかなという部分が不安ではあったんですけど。今までに、こういう作品をやったことがなかったですし、そこに飛び込んでいく……初めてのものを経験するということがだんだんと少なくなっていくなかで、またチャレンジできるという喜びもあって。ワクワク半分、不安半分みたいな感覚でした。
今回、どくさいスイッチ企画さんが脚本を手掛けられています。
どくさいスイッチ企画さんは普段、お笑い芸人としても活躍されているということで、ネタも拝見したのですが、ホントに独特の雰囲気で。そのSFチックな部分やファンタジーな部分が、今回の脚本にも色濃く出ているんじゃないかなと思いました。今回、白ホリのスタジオでの撮影だったんですけど。自分のキャラクターが具現化されてそこにいるという設定で、現実から離れているようなお話だったので、たとえば、部屋にイスがあって、机があって~という空間で撮るより、ファンタジー感が増してよかったように感じます。
ちょっと不思議な雰囲気のお話ですが、こういったジャンルの作品はお好きですか?
好きです。SFチックなものやファンタジーな作品は、映画だったりドラマだったりとかで、よく観ます。今回、今まで自分が見てきた人や映画の中から、自分の頭のなかに残っているものを引き出しとしてそれを出しながら、それぞれのキャラクターに合う動きやしぐさを研究しました。

今回、同じ結城という人物ではあるけれど、性格の違う5人を演じ分けていますが、特に大変だったことは?
ベースとして結城 翔という人物がいて、そのほかに「協調」「カリスマ」「堅実」「研究」という4タイプの結城が出てくるんですけど。それぞれ、カリスマの部分が強いバージョンの人が「カリスマタイプの結城」、堅実の部分が強いバージョンの人が「堅実タイプの結城」というふうになっているんです。だから、ベースは4人とも一緒なんですけど、そのなかで五角形の1つの部分だけがビヨーンと伸びているという演じ方をしたかったんです。そういうふうに大きく特徴が飛び跳ねている部分があったので、演じ分けにすごく苦労しそうだなっと思っていたのですが、意外とそうでもなかったです。
それぞれのキャラクターが立っているから。
ただ、スケジュール的に、1日ですべてのキャラクター(が出てくるシーン)を撮影することもあったんです。特に、“研究”に関しては独特な雰囲気になるように演じたので。研究を演じた直後にほかのキャラクターを演じるときは、自分のなかから“研究”を抜かなければいけなくて、それがちょっと難しかったです。僕は普段、基本的に役を引きずることはないのですが、1つの現場で、短い時間のなかで、こっちのキャラクターを演じて、あっちのキャラクターを演じて~という経験があまりなかったので。最初は、そこの“なりきる”ということに対して、自分のなかでどうしたらいいんだろうと考える時間があったんです。そんなことは初めてで、とても新しい感覚だったので、すごく楽しかったです。
撮影の方法もちょっと特殊だったそうですね。
ベースとなる結城を演じていて、パッとライトがつくと、目の前に自分と同じ顔をした、それぞれのタイプの人間が4人立っていて、それに対してお芝居をするんです。完成した映像では、それぞれのキャラクター5人がいるように見えるのですが、実際の撮影では、自分1人で、なにもない壁に向かってしゃべっているんです。だから、目線をどこにやったらいいのかとか、そういう部分に一番苦労しました。

たしかに難しそうですね。
カメラマンさんや照明部の方たちと、どういうふうに撮ったら、CG処理をしたときに、そこに存在しているように見えるかというのを模索し、試行錯誤しながら進めていきました。あと、5人の役者さんが代役として現場にいてくださったので、その方々とテストまでは一緒にやって。「今、“カリスマ”はここにいましたよね」というふうに確認しながら撮っていったんです。そういう撮影スタイルは初めてだったので、すごく勉強になりましたし、刺激にもなりました。なので、がんばったというか……5つの役を1日にいったりきたりしながら撮影するというスタイルは新しくておもしろかったんですけど、非常にエネルギーを使いました。
本作のタイトルにちなんで……伊藤さんが、これまでの人生で決断をする際に基準としてきたことを「○○で人生決めちゃいます」で表していただけますか。
あー、なるほど。うーん、直感です。いっぱい考えたとしても、結局、最初に思ったことをやるだろうし。まぁ、それに気づくまでは、やっぱりいろいろと考えて、いろんな人に話を聞いてみたりとかもしましたけど。結局、ちょっと背中を押してほしかっただけとか。相手の意見を聞いても、やっぱり自分の考えでいこうという結論に達したりとか。もちろん話を聞いているときは、あー、なるほどってなりますけど、“でも、自分はこうだな”とあらためて思うことが多かったんです。なので、結局は直感が大事なんだろうなって。そうやって人に聞いたり、悩んだりしている時間も、大事だとは思うんですけどね。
そうやって下した判断は、今の自分を作るうえで、すべてよかったと?
いや、正しくないときもありますし、やっぱりこっちじゃないほうがよかったと思うこともあります。でもまぁ、それはそれだし。もう終わってしまったことというか、過ぎ去ったことだから。直感を信じて行動した自分のほうが好きかなっていう感じです。悩みすぎて、それに時間を割いている自分よりは、成功しようが失敗しようが、直感で決める自分でありたいなっていう……理想です。

潔いですね。
考えることが、あんまり好きじゃないんです。疲れちゃう(笑)。
人って、なにかのせいにしたくなるものかなと。だから、性格タイプ診断なども流行るのかなと思うのですが。
あー、それはあまりないかもしれないです。なにかのせいにしたところで、結局、やらなきゃいけないのは自分なので。
本作の伊藤さん的見どころを教えてください。
見どころですか?それはもう、僕が必死になりながらがんばったところ(笑)。今回はもう、胸を張って言います。がんばった!そんなのは当たり前のことなので、あえて言うべきではないとは思うんですけど、今回は言いたい!ホントに時間がなかったんです。1日で台本を覚えて、5日間で撮影をして。気分としては、5徹したぐらいの(笑)。もちろん、スタッフの皆さんや、代役として来てくださった方々に支えられてできた作品ですし、自分だけががんばったわけではないですけどね。

本当にお疲れさまでした!
それで、本当の見どころとしては(笑)……みなさんも、たぶん感じたことがあると思うんですけど、今って、どこへ行っても「性格診断のタイプ、なに?」みたいな話になりがちですよね。そういう世の中に対して、ちょっとした違和感を持っているところがあって。
というと?
こういう題材のドラマに出演していて、こんなことを言うのもどうかと思いますが、僕自身は、性格タイプ診断をしたことがなくて。というのも、“タイプを調べたところで、なにがわかるの?”と思っているところがあるんです。でも、“自分はこのタイプだから、こういうタイプの人と友達にならなきゃ、付き合わなきゃ”とか。“恋人が、自分と相性がよいとされるタイプじゃなかったら、この先も一緒にいられるか不安になる”みたいな話も、わりとよく聞くんです。
そうなのですね!?
もちろん、性格タイプ診断を全否定しているわけでもないですし、その診断をすることによって、自分にはこういうところがあるんだ、ということを知ることができる部分はあると思うんですけど。そればっかりだと、どうなんだろうなって。そこよりもっと、人間の根幹の部分、その人の存在を見るべきなんじゃないのかな、と思う部分もあったりするから。僕はやっぱり、データからでは測れない、人の感情だったりとか本質みたいな部分って、絶対にあると信じているんです。そういった部分にも少し目を向けたら、もうちょっとラフに人付き合いができるようになるんじゃないかな、とも思うし。

たしかに。
結城は、TYPE診断で人生のいろいろなことを決めてきた。そのなかで、実際にそれぞれのタイプに特化した自分と会って、いろんな会話をしてみて。最終的に、それを本人がどう感じて、どういうふうにその先の未来を歩んでいくんだろう?というのが、このドラマのテーマにもなっているんです。このドラマを観たみなさんが、結城に感情移入して……じゃあ、仮に自分のなかにあるタイプに特化した人たちが目の前に現れたとして。結城はこういう判断をしたけど、みんなはどういう判断をするんだろう、というのが気になるし。そういった観方をしてもらえると、ちょっと自分のことを見つめ直すというか、いろんなことに対する考え方が変わったり、人に対しての思いが変わったりするかもしれない。そこまで考えていただけたら、このドラマをやった意味があるんじゃないかなと思うので。もちろん、何も考えないでフラットに観るのもいいですが、そういった観方をしてもらえたら、演じた身としてはうれしいです。

伊藤健太郎
いとう けんたろう
1997年6月30日生まれ。
インタビューでは、陽気で明るく飾らない言葉でたくさんお話をしてくださった、伊藤さん。FASTのインタビューもそうでしたが、別の媒体でのインタビューでもお部屋の外にも笑い声が聞こえるぐらい楽しいお時間となりました。お話の中でも1人5役と考えられないぐらい大変だったことも、それすらも楽しそうに伝えてくださる姿に、役者としての強さと楽しさを最大限に言葉で表現してくださいました。後編では、さまざまな作品を通して変化した考え方や変わらない軸をお聞きしております。お楽しみに!
最近の出演作に、ドラマでは、WOWOW『水滸伝』(‘26)、テレビ東京『略奪奪婚』(‘26)、日本テレビ『彼女がそれも愛と呼ぶなら』(‘25)、『未恋〜かくれぼっちたち〜』(‘25)、映画では、『ストロベリームーン 余命半年の恋』(‘25)、『#真相をお話しします』(‘25)、『少年と犬』(‘25)、などがあり、今後ドラマは、フジテレビ『102回目のプロポーズ』が3月19日から配信予定、映画は『鬼の花嫁』が3月27日より公開が控えている。

©ABCTV
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:花村枝美(MARVEE)
スタイリスト:前田勇弥
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿
