倉悠貴
映画『OUT』
達也という人間を
しっかり描いた作品になっていると思う
累計発行部数650万部を突破するヤンキー漫画『OUT』が、映画『ドロップ』(‘09)で大ヒットを打ち出した品川ヒロシ監督・脚本で待望の実写映画化。主人公の“伝説の超不良”である井口達也を演じる倉悠貴さんへのインタビュー前編では、主役を演じた心境や、ハードながらも笑って泣ける青春活劇の見どころなどを伺いました。

Ⓒ2023『OUT』製作委員会
<あらすじ>
“狛江の狂犬”と恐れられた伝説の超不良・井口達也が、少年院から出所した。地元から遠く離れた叔父叔母の元、焼肉店・三塁で働きながらの生活を始めるが、保護観察中の達也は、次喧嘩をすれば一発アウトだ。そんな彼の前に現れたのは、暴走族「斬人」副総長の安倍 要。この出会いが達也の壮絶な更生生活の始まりだった。暴走族の抗争、新しい仲間・家族との出会い、守るべきものができた達也の進む道は── 。

出演が決まった時の感想を教えてください。
まさかこんな役が自分に来るとは思っていなかったので、初めは驚きの気持ちでした。不良とか喧嘩とか、いろんな作品で描かれているのを観るくらいでもちろん自分自身のこれまでの人生で全く縁がなく、そんな憧れるだけだった世界をお芝居で体験できる機会をいただけたことに感謝でいっぱいです。
不良役は初めてとのことですが、
演じるにあたり
どのような準備をされましたか?
クランクイン前から監督の品川さんとお話をさせていただいていて、毎日のように一緒にジムに通わせていただきました。撮影中も現場にダンベルやベンチプレスなどがあって、暇があれば鍛えるように言っていただいて、体作りに励みました。正直、時間がそこまであるわけではなかったので、できるだけ仕上げていった形ですね。品川さんに「筋肉は裏切らないから」って言われながら(笑)。

映画にも出演されている庄司さんではなく、
品川さんがそうおっしゃるんですね(笑)。
確かにイメージは逆かもしれないですね(笑)。庄司さんとは同じシーンの撮影もありましたが、そういえば特に筋肉の話はしなかったですね(笑)。ただ印象にはすごく残っていて。庄司さんの役は嫌なことを言ってくる人物なんですけど、すごくリアルな演技だったので現場で実際にめっちゃむかついていました(笑)。
役作りに関しては
どう行っていったのでしょうか?
もちろん大人気漫画の人気キャラクターなので、ファンの方を裏切らないようにという意識はありました。でも、映画だからこそ表現できる原作にはないような表情もきっとあるとも思い、めちゃくちゃ熱いキャラクターにするというよりは、ちゃんとその場を生きている人間を演じようと心がけました。今まで井口達也はいろんな作品で描かれていると思うのですが、今作はある意味成長物語というか、彼の人生にとっての転換点となる物語だと感じたので、達也の繊細な部分もしっかり表現しようと思いました。

井口達也とご自身とを比べて
共通点などはありますか?
家族や友人を大切にするという部分は似ているって……思ってもらいたいです(笑)。達也は不良ですけど優しくて、実は馬鹿なだけで義理堅くてまっすぐな性格で、本当に魅力的なキャラクターだと思います。似ている部分はあんまりないんじゃないかな(笑)。
実際に撮影に入ってみていかがでしたか?
本当に初めてのことがたくさんで、終始現場でも迷惑をかけたかもしれないですし、自分との戦いみたいなところもあったのですが、周りの方が本当に支えてくださって、できないながら精一杯やれたのかなと思います。でも実際に演じてみると楽しくて、「できない」って言いながら頭も体もいっぱいいっぱいだったのですが、それがむしろ達也っぽくなったのかなと今では思います。できないからこそやっぱり泥臭さが出るので、それが作品にも表れていたらいいなと思います。

普段の倉さんとは性格の異なる
キャラクターかと思いますが、
どうスイッチを切り替えていったのでしょうか?
ジャンプしたり、走ったり……、それから自分のことを叩いてみたりもしていました(笑)。痛がるシーンの本番前にずっと自分の腕を殴っていたキャストを見つけて、「それいいな」と思って真似したんです(笑)。それから気合を入れるシーンの前にコーヒーを飲むという人がいて、それは元々知っていたのですが、それも真似してみたり(笑)。確かに切り替えは大変だったかもしれないですけど、現場自体はもうそういう人たちばっかりというか、現場に入った瞬間キラキラしている人たちばっかりだったので、僕もそれに乗っかることで問題なくスイッチを入れられましたね。

倉さんが個人的に気に入っているシーンは
ありますか?
建物から出てきたあとに空をちょっと見上げるシーンが僕は結構好きです。撮影もクランクアップ間際で行ったシーンなのですが、撮影隊も僕らも、やり切ったという清々しい気持ちとともに、なんかいいな、この空気いいな、みたいな雰囲気がありました。達成感に包まれたというか。
見どころについてはいかがでしょうか?
もちろんアクションだったり、コメディシーンだったり見どころはたくさんあるのですが、達也という人間をしっかり描いた作品になっていると思うんです。だから個人的にはその人間ドラマだったり、アウトローな世界に達也が踏み込むのか、踏み込まないのかというラインだったり、そういうリアルな部分も繊細に描かれていると思います。

井口達也の成長物語でもあると
おっしゃっていましたね。
そうですね。不良という一見別世界のように見えるけど現実世界の僕らと共通していることもたくさんあって、そんな人間らしさみたいなものも観ていただきたいと思います。たくさん見どころはありますけど、ちょっと共感できたりとか、ちょっと熱くなれたりするような作品だと思うので、ぜひ劇場でご覧いただければ嬉しいです!

倉悠貴
くら ゆうき
お会いするまではどこかミステリアスな印象を抱いていたスタッフでしたが、実際にお会いしてみると、とてもよく笑う面白い方だった倉さん。インタビューでは身振り手振りを交え、当時の様子を再現しながらお話ししてくださいました。オチまで完璧で、終始取材陣の笑いを誘い楽しそうだった姿が印象的です。後編でも引き続き映画について深堀りしていきます!
1999年12月19日生まれ。
最近の出演作に、ドラマ『わたしの一番最悪なともだち』(‘23)、『犬と屑』(‘23)、『だが、情熱はある』(‘23)、『かしましめし』(‘23)、映画『禁じられた遊び』(‘23)、『こいびとのみつけかた』(‘23)、などがある。また、出演する映画『コーポ・ア・コーポ』(‘23)、『市子』(‘23)の公開を控えている。

Ⓒ2023『OUT』製作委員会
映画『OUT』
11月17日(金)全国劇場公開
出演:倉 悠貴 醍醐虎汰朗 与田祐希(乃木坂46) ⽔上恒司
與那城 奨(JO1) ⼤平祥⽣(JO1) ⾦城碧海(JO1)
小柳 心 久遠 親 山崎竜太郎 宮澤 佑 長田拓郎 仲野 温
じろう(シソンヌ) 大悟(千鳥) 庄司智春(品川庄司)/渡辺満里奈 杉本哲太
原作:井口達也/みずたまこと『OUT』(秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊)
監督・脚本:品川ヒロシ
制作:吉本興業 制作協力:ザフール 配給:KADOKAWA
Ⓒ2023『OUT』製作委員会
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:NOBUKIYO
スタイリスト:伊藤省吾(sitor)
インタビュー:小枝指優樹
記事:小枝指優樹/緒方百恵