塩野瑛久
舞台『里見八犬伝』
個性輝く八犬士役に身を投じる彼の見る先とは―
―犬坂毛野×塩野瑛久
毛野は慢心していて、高飛車な自信家。でも、それはただの慢心ではなく自身の生い立ちが関係していて…。彼の「世の中に自分を認めさせたい」という気持ちの表れでもあるんです。そういう意味では僕にも通じているものがありました。僕の場合は、周りの同級生が就職していくのを見ながら自分は自分の道を進まなきゃいけなかったので、「なめられたくない」という想いを強く抱いていましたね。
―毛野と通ずる部分も多かったんですね。
はい。
「なめられたくない」その一心によって、頭ですごく考える癖がついちゃいました(笑)。言葉にこだわりを持つのもその想いから派生したものなのかも。加えて毛野は女装をしている役。自分でいうのもなんですけど、今の僕にふさわしい役をいただけたなと思っています。実は以前は中性的な感じが好きではなかったんですが、お仕事でそういう役を演じる機会があって、そこからしっくりきたというか…。今はまだ“美”について研究中です。
―着物、しかも女装というイレギュラーな役回りですが、大変だったことはありますか?
足のさばき方とかがとにかく難しくて(笑)。けっこう苦労しましたね。現時点(撮影は6月下旬)では、女装姿での殺陣がないんですが、女装での殺陣もかっこよさそうですよね。8人も人数がいるなかで、毛野は見た目だけでもだいぶ色が濃い役。ただ濃いだけでは終わらせないように努めていきたいです。
―殺陣芝居に着物での立ち居振る舞い。見どころが盛りだくさんですね!殺陣の稽古はいかがですか?
佐野くん(佐野勇斗)と殺陣稽古をしたのですが、佐野くんは初の殺陣にも関わらず飲み込みが早くて。「負けてられない」と気合が入りましたね。僕自身、以前の殺陣芝居では6本の刀を使ったりと、特殊な殺陣をやっていたので今回は今までとは違う妖艶でなめらかな殺陣にしたいと思っています。
―では最後に、輝く八犬士を心待ちにしている皆さんにメッセージをお願いします!
舞台『里見八犬伝』は歴史のある作品。八犬士それぞれが“自分の想い”を抱いて各々の戦いをします。是非全てのキャラクターに注目して見ていただきたいです。他の方が今まで見せたことのないような毛野を必ずお届けするので、楽しみにしていてください!
塩野瑛久の軸
“ダサさを見せない”
「あの人ダサいな」と思われたくない。僕が極端にそういう線引きをしがちというのもあるんですけど、人が見ていて「気持ちのいい人」でありたいんです。それは結果的に自分ってものを確立することにも繋がると思っていて。自分のルールをしっかり持ってそれに従って生きていれば、人は自然と魅力的に見えてくるもの。僕が尊敬する方々を見ていてそれを確信するので、そういう風に生きるようにしています。自分を貫きつつ柔軟に、が僕の軸です。
心に響いた言葉
“長く続けるといいことがある”
これは木下ほうかさんの言葉です。「長く続けているとどんどんライバルが減っていって、いつの間にか唯一無二の存在になれる」といった意味の言葉。ほうかさんがおっしゃることだから信憑性があったんですよね。この仕事が本当に楽しくて好きなので、僕もずっと続けていきたいと思います。
塩野瑛久
しおの あきひさ
1995年1月3日生まれ。「男劇団 青山表参道X」のメンバー。言葉への深い愛と“静”の空気を帯びる反面、男気溢れる野心を抱く24歳。
舞台『里見八犬伝』 / 犬坂毛野役
脚本:鈴木哲也 演出:深作健太
出演:佐野勇斗・松田凌・岐州匠・神尾楓珠・塩野瑛久・上田堪大・結木滉星・財木琢磨ほか
詳細はHPにて!https://satomihakkenden.jp/
※衣装クレジット
Shirt:SISE BIG POCKET SHIRT BLK / VAL ¥33,000
VAL【03-6277-2147】
パンツはスタイリスト私物
※チームクレジット
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:金田紗世子(MAKE ON)
撮影ディレクション:町山博彦
インタビュー・編集:満斗りょう