窪塚愛流
『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』
「単純サバイバルだけじゃない!八百万の愛の物語」
1月26日から公開中の「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」に出演している俳優の窪塚愛流さん。「ゴーレムウィルス」という、嚙まれたら化け物になってしまう「謎の感染症」によって繰り広げられる過酷なサバイバルと濃厚な人間ドラマを描いた『君と世界が終わる日に』(日本テレビ系)を映画化した今作で窪塚さんが演じたのは、家族の分の食料を調達するべく、ワクチンを求める心優しい地下街の住人・藤丸礼司。初参加となる本作への思いや役作りについてなどをお聞きしました。
ⓒ2024「君と世界が終わる日に」製作委員会
〈あらすじ〉
一握りの限られた人のみが入ることを許される、人類最後の希望の都市といわれる「ユートピア」。そこにそびえ立つ研究タワーでは、ゴーレムウィルスに対するワクチン開発の研究が進められていた。そこでは、間宮響(竹内涼真)と小笠原来美(中条あやみ)との間に生まれ、ゴーレムウィルスの抗体を持った来美の血を引くミライが、抗体ワクチン用の研究材料として捕らえられていた。響はミライを救うため、5人の男たちとともに研究タワーを登ろうとするが、そこには想像を絶する数々の試練が待ち受けていた。
本作はドラマから続く人気作の最終章完結編となりますが、出演のお話を聞いた時の気持ちを教えてください。
高校2年生の時にドラマのSeason1をテレビで見ていたので、その作品に自分が携わらせていただくことを知った時は嬉しかったです。これほど大規模な作品に出演するのは今回が初めてだったので、自分にとっても役者としての新しいふり幅も見出せること、同世代やベテランの俳優さんたちと一緒にお芝居ができることには大興奮で、クランクインをとても楽しみにしていました。
元々人気がある作品の集大成完結版に新たなキャストとして新たに加わることは、プレッシャーもあったのでは?
「きみセカ」ファンの方々が主人公・間宮響の物語の完結となる劇場版に求めているものは絶対にあると思いますし、自分がそこに新メンバーとして出演させていただくことは大きなプレッシャーもありました。でも、そういうプレッシャーや不安などは一旦置いて、菅原(伸太郎)監督が思う「藤丸礼司」という役を精神的にも身体的にも自分の中に完璧に落とし込んで、すべてを発揮できるよう突き詰めて、胸を張って演じようと思っていました。
礼司は怖がりな一面もありつつ、心の優しい青年です。演じるにあたって、脚本からどんな人物と捉えて、どう演じようと思いましたか?
礼司は今回の登場人物の中で一番欲望に対して素直でまっすぐなんだなと思いました。僕自身はそこまで正直に欲を出す方ではなく、自分の中で隠し持っているところがあるのですが、台本を読んで「あ、似ているな」と思ったところもありました。
その共通点とは?
礼司は自ら戦いに行くのではなく、強い人の後ろに隠れているようなビビりなキャラクターですが、僕もお化け屋敷に行ったら、友達の後ろに隠れて、できるだけお化けを見ないで行くタイプなので、そこは似ていると思いました。臆病な人や怖がりな人ってリアクションが大きくなるじゃないですか。そういう小さいところから「藤丸礼司ってこういう人間なのかな」ということを考えました。そうやって考え、感じたことを台本の後ろにある白紙のページに書き込んで、それを菅原監督に提示して、また考え直して、ということを繰り返しながら役を構築させていきました。
ご自身との共通点を見つけたり、
そこで感じたことを監督に提示したりして
役を深堀していったのでしょうか。
そういうこともしましたが、何かを演じる時に自分自身を投影しすぎるのもダメだと思ったので、役と自分の共通点を見つけて自分らしく見せることよりも「藤丸礼司がこれまでどのように生きてきて、どんなものを食べたのか」というバックボーンのようなことを想像力を働かせながら頭の中で構築していきました。
それは誰かに言われてやったことではなく?
僕が勝手に思ってやってみたことです。礼司としての行動や考え方を中心にしたいと思ったので、例えば礼司が驚くシーンでは「自分だったらここはこうなるけど、礼司だったらこうするだろうな」といつもの自分とは違うやり方で演じてみたりしました。
本作はゾンビと戦いながらサバイバルを繰り広げるという邦画では珍しいストーリーですが、
窪塚さんが思う魅力とは?
先日の舞台挨拶で、竹内(涼真)さんや堀田(真由)さんも仰っていたのですが、ゾンビやサバイバルなど非現実的な部分が印象に残りやすいですし、そちらに目がいってしまいがちですが、この作品は壮絶な愛の物語なんです。僕は元々、血がドバーッと出たり、臓器が飛び出したりするようなグロテスクな作品が苦手なので、そんな僕がなぜ「きみセカ」を見ることができたのかというと、人間が本来持っている愛や絆、人間にとって切っても切り離せない感情の物語に惹かれたからなんです。
具体的に惹かれたところといいますと?
竹内さん演じる主人公の響は、シリーズ全般を通して「誰かのために」という想いや「愛」が前提にある人物で、今回の劇場版も自分を尊重する愛、家族を尊重する愛の物語だと思っています。そういう愛がたくさん詰まっている作品だからこそ多くの方の心に響いて、こうして劇場版にまでなる作品なんだなと思いました。
人の思いの強さや絆を大事に描いているからこそ、辛く厳しい状況が続く中でも、どこか
「希望」が持てる作品になったのでしょうね。
映画を見て終わりではなく、皆さんの中に自分なりの想いや考えが生まれて、それを他の人と共有していくことができたらいいなと思います。映画を見終わった帰り道での感想なども気になります。
では最後に、窪塚さんが本作の出演を通して感じたことを教えてください。
善人でも悪い人でも様々な「愛の形」があって、どれも色は違うけれど、愛に生きて、愛のために人間はここまで本気になれるんだなという素晴らしさを、僕がこの作品を通して一番感じたことです。
窪塚愛流
くぼづか あいる
2003年10月3日生まれ。
イベント撮影後に取材のお時間を頂きましたが、疲れた様子一切見せずかっこいい黒のセットアップに身を包んで現れた窪塚さん。撮影ではスラっと長い手足とシャープな小顔で抜群のスタイルを武器に映画をイメージした表情や凛々しい表情など終始とてもかっこよかったです!後編では窪塚さんの“これから”に迫ります!お楽しみに。
最近の出演作に、テレビドラマでは、NTV『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(‘23)、映画では『少女は卒業しない』(‘23)など。今後は映画『愛のゆくえ』(3/1公開)、初めて主演を務めた映画『ハピネス』(5/17公開)を控えている。
ⓒ2024「君と世界が終わる日に」製作委員会
タイトル:劇場版 君と世界が終わる日に FINAL
キャスト: 竹内涼真
高橋文哉 堀田真由 板垣李光人 窪塚愛流 橘優輝
吉柳咲良 / 須賀健太 味方良介 黒羽麻璃央 / 吉田鋼太郎
公開日:全国東宝系にて公開中
監督:菅原伸太郎
脚本:丑尾健太郎
配給:東宝
製作プロダクション:日テレ アックスオン
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:小嶋克佳
スタイリスト:上野健太郎
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿