高橋文哉
「壁の先を乗り越えた自分を想像する」
「FAST」に初登場していただいた時は、18歳だった高橋文哉さん。以来、出演作や活動の幅を広げ、俳優としても一人の男性としても成長をみせています。そんな高橋さんに、自身の壁の乗り越え方や誕生日への思い、さらには交友関係のある松下洸平さん、鈴木福さんとの誕生日プレゼントのエピソードや、今年挑戦してみたいことなど、たくさんお話していただきました!

©2025映画「少年と犬」製作委員会
主演映画「少年と犬」は、間違ったり、失敗したりしても「きっとやり直せる」という希望があった作品だなと感じましたが、高橋さんなりの「失敗からの立ち直り方」があればぜひ教えてください。
どんな失敗をしたかにもよります。例えば、「少年と犬」の中で和正がした失敗って、人生の中では大きな失敗になると思うのですが、ちょっとしたことでの失敗だったら、僕は基本的に寝て起きたら忘れています。
寝る直前までは「なんで失敗したんだろう」と考えて、夢の中まで引きずるのですが、朝起きたら昨日より気持ちが楽になっていることが多くて。それに、嫌なことを翌日に持ち越すのがあまり好きではないんです。
今、挫折や失敗をして落ち込んでいる人に、高橋さんから何かアドバイスできることはありますか?
「壁にぶち当たる」とか、挫折した時に「壁」という表現をよく使うと思うのですが、僕はその壁の向こう側に行く方法は、壊すでも避けるでも飛ぶでも、何でもいいと思っているんです。逆に、その先に行った時の自分を想像できるまでは、その壁を越えられてないと思っているので、「これを乗り越えた時にはこういう自分になっているだろうな」ということを自分で自覚した瞬間に、その壁はもう「壁」でなくなっているのだと思います。
自分ではあまり壁にぶち当たったなと思ったことはないのですが、「これがいわゆる、みんなの言う壁なんだな」と思った時は「この壁を乗り越えるためにはどうすればいいんだろう?」と考えるよりも、「この壁を乗り越えたら自分はどうなるんだろう」と考えますね。
例えば料理だったら「こういう料理が作れるようになるんじゃないか」とか何でもいいのですが、その先にあるいいことを想像すれば、壁が徐々に薄くなっていく気がしています。
未来の自分の可能性にかけているのですね。
そうですね。「こうなったらこの悩みはなくなるだろうな」と想像するところを目指す感じです。それに、僕は人に相談するのがあまり得意ではないんです。誰かに自分の悩みを吐き出すと楽になると言いますが、その感覚が分からないんです。相談する前に自分で解決しようとして失敗したこともありましたが、それでもやっぱり、自分で何とかしようと思います。

Instagramで「2025年は“挑戦”を掲げて色んな事に向き合って行きたい」と投稿されていましたが、これからやってみたい「挑戦」を教えてください。
「これ」というのはまだないのですが、ひとつあげるとしたら「飛ぶ」ですね。僕は高いところが大の苦手なのですが、最近はよくスカイダイビングの動画を見ていて、スカイダイビングができたら何か変わりそうだなという気がしているんです。
昨年、兄と遊園地の中にあるバンジージャンプに行って「今日は気合い入れてやろう」と思っていたのですが、僕だけあと一歩が踏み出せなくて、結局見ていただけだったのが情けなくて。バンジージャンプって、飛ぶのは一瞬じゃないですか。その一瞬のために「なんでこんなに何年も悩んでいるんだろう」と思いますし、「今なら飛べるな!」と思えてきました(笑)。
昨年でいうと、「ゴチになります!25」の新メンバーに加入されたことも新しい挑戦だったかと思いますが、ゴチメンバーになったことで得たものや変化を感じていますか。
やはりゴチの影響力はすごいなと思いました。いろいろな現場で「ゴチ見たよ」と声をかけていただきます。僕自身、作ることも食べることも好きなので、役者業だけでは見せることのできなかった自分の好きなことや、楽しいと思うところを出せていけるのはありがたいです。
高橋さんの饒舌な食リポも楽しみです。
「ゴチ」のメンバーになってから、プライベートで食事に行った時も自分なりに頭の中で勝手に食レポしているんです。それをテレビで話せているのも嬉しいですし、たくさんの方にそれを見ていただけているのはありがたいことだなと思っています。

さて、公開日の前週(3月12日)は高橋さんのお誕生日です。今までで一番印象的だった誕生日の思い出を教えてください。
今回の作品に因むことで言うと、僕が10歳になる誕生日の前日は東日本大震災があった日で、当時僕は埼玉にいました。東北に比べたら被害も少なかったけれど、スーパーなどからありとあらゆるものがなくなって、町が停電するような状況でした。地震という予期せぬ事態が起こって、それが大変なことだということも怖いものだということも何となく分かってはいましたが、よく理解できていないところもあったと思います。子供からすれば、やっぱり誕生日ってかけがえのない日で、バースデーケーキを食べたり、自分の好きなご飯を作ってもらえたりする、唯一自分が王様になれる日という感覚がありますよね。当時も、いつものように、前の週から「誕生日は何が食べたい?」という話をしていたけど、震災が起こって、わからないながらに「今は僕がケーキを食べている場合じゃない」といった感覚はありました。自分の身に何かあったわけではないけれど、「何かを犠牲にしなきゃ」と子供ながらに思いましたし、その時にしか生まれなかった感情や感覚は今でも忘れられないです。
誕生日といえば、ドラマ『最愛』で共演した松下洸平さんの誕生日プレゼントに「牛肉の食べ比べセット」を贈ったというエピソードが印象的です。
洸平さんの誕生日の方が前(3月6日)なので、僕が先にプレゼントを贈ったのですが、僕があげたものの値段を調べてくださって、それに2000円上乗せしたお肉の食べ比べセットを、僕のプレゼントに贈ってくれたということを、「ゴチ」で共演した時に初めて聞きました。前回は食べ物だったので、今度洸平さんに贈るときは、なにか残るものを贈りたいなと思います。
誕生日プレゼントが牛肉の食べ比べセットというチョイスも、高橋さんらしいですね。
鈴木福くんとも誕生日プレゼントを交換しています。僕が鮭好きなのを知っていたからだと思うのですが、初めて福くんからもらったのが5㎏の鮭だったんです。最初は「さすがに5㎏は食べきれないよ」と思っていたのですが、鮭は冷凍されて届いたので、あとは焼くだけみたいな感じで。味もすごく美味しくて、朝食に焼いて食べて、お昼にも食べて。しばらくの間は鮭生活の日々を送っていました(笑)。
プレゼント選びってセンスが問われますよね。贈る相手のことを考えて「どういうものだったら喜んでくれるかな?」と考えるのも楽しいし、自分のことをちゃんと考えて選んでくれたんだなと思うと嬉しいですね。

高橋文哉
たかはし ふみや
2001年3月12日生まれ。
撮影では、カッコ良くも爽やかな表情やぱっちりとした目元がとっても印象的だった高橋さん。インタビュー時は白のシャツでしたが、撮影時は青いシャツを身に纏い、たくさんの素敵な表情をこちらに向けてくれました。仕事のオンオフの切り替えはやはりさすがで、インタビューや撮影はピシッと熱く真面目に誠実な高橋さん。取材が終わるととてもフラットで柔らかく、可愛らしい言動の溢れる姿で。多くの俳優さんが憧れる、素敵だなというのが納得のお人柄と人間性の俳優さんでした。
これからも、多くの挑戦をしながらも真面目さと愛嬌のギャップでたくさんの方を魅了するご活躍を応援しております。
2年ぶりのご出演ありがとうございました。
最近の出演作に、テレビ朝日『伝説の頭 翔』(‘24)、TBS『フェルマーの料理』(‘23)、フジテレビ『女神の教室~リーガル青春白書~』(‘23)、TBS『君の花になる』(‘223)、映画では、『あの人が消えた』(‘24)、『ブルーピリオド』(‘24)、『からかい上手の高木さん』(‘24)、などがある。
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©2025映画「少年と犬」製作委員会
タイトル:映画『少年と犬』
原 作:馳星周「少年と犬」(文春文庫)
監 督:瀬々敬久
企画・プロデュース:平野隆
脚 本:林 民夫
出演:高橋文哉 西野七瀬
伊藤健太郎 伊原六花 嵐 莉菜 木村優来(子役)/
栁俊太郎 一ノ瀬ワタル 宮内ひとみ 江口のりこ
渋川清彦 美保 純 眞島秀和 手塚理美 益岡 徹
柄本 明 / 斎藤 工
主 題 歌:「琥珀」SEKAI NO OWARI(ユニバーサル ミュージック)
制作スケジュール : 2024年3月イン~5月アップ
配給:東宝
コピーライト:©2025映画「少年と犬」製作委員会
公開日:2025年3月20日(木・祝)
※Item Credit
シャツ \39,000 ロードスコフ(バウインク)
パンツ \56,100 インカミング(コンクリート)
その他 スタイリスト私物
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:大木利保(CONTINUE)
スタイリスト:Shinya Tokita
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿