杢代和人×小泉光咲×長野凌大
「ファンの皆さんに会いたいね。」インタビュー中に出たこの言葉に、胸が締め付けられる瞬間が何度もあった。ただ口にしているわけではなく彼らは本当に“祈って”いる。「答えは僕が見つける」でFASTに寄せられたファンの方々の「会いたい」と彼らの「会いたい」が、その空間で共鳴していた。「こんなの切ないラブストーリーじゃないか!早く結ばれてくれ!」とインタビューをしながらもどかしくなったのは言うまでもない。彼らが歩む芸能界という茨の道にはファンの方々の存在が必要不可欠なのだ。「大好き」と「大好き」が早く触れることの出来る日々が戻りますよう。祈りを込めながらお話をお伺いしました。
あけましておめでとうございます!
2021年はどんな一年にしたいですか?
長野凌大(以下、長野):今、ファンの方と会えない時だからこそパフォーマンス面をどんどん磨いて、次に皆さんにお会い出来る時にはビックリしていただけるようになっていたいですね。
小泉光咲(以下、小泉):自粛期間が続いて、今までライブが出来ていたことが当たり前ではなく特別な時間だったということを再認識しました。僕たちの活動は「お客さんがいないと成り立たない」と身に染みて感じた2020年でしたね。だからこそ2021年は、アルバムも出して再出発をしていきたいな、と。今まではファンの皆さんに助けられていましたが、今度は僕たちの音楽で皆さんを支えていきたいです。
FAST:やってみたいライブはありますか?
小泉:とにかくお客さんを入れてライブをしたいです。僕たち、しっかりとしたワンマンライブってやったことがないよね?
長野:そうだね。一回もやったことがないんです。
杢代和人(以下、杢代):デビューの記念ライブってワンマンライブが多いじゃないですか。でも僕たちは少し違って、デビューしてそのままリリイベをしてEBiDAN THE LIVEに出演して…といった流れだったので、しっかりとした自分たちだけのライブをしたことがないんです。普通、ワンマンライブって成長途中でやるイメージだと思うんですが、僕たちは一年間活動してきた状況で出来る。それって逆にすごくレアなんじゃないかと思っています。もし2021年に出来る機会があれば、いい意味で観てくれる人を裏切っていきたいですね。
1st Album『多世界解釈』の中の
それぞれの推し曲と推しコメントをお願いします。
♪ ネバーエンドロール
By 杢代和人
2004年5月20日生まれ。
杢代:今回のアルバムは全ての曲がシングルの表題になってもいいと思っているんですが、その中でも僕が一番気に入っているのは『ネバーエンドロール』です。ファーストアルバムの最後を締めくくるのにふさわしい曲だと思います。一年半のゲンジブをまとめたものが一曲目の『柘榴』だとしたら、『ネバーエンドロール』は「ファーストアルバムで一旦区切りをつけるけど、また次の世界を創っていくよ」という想いのこもった曲。エンディングなのに全然悲しくないんですよ。そういった意味ではこのアルバムのエンディング曲っぽいですよね。しっとりするわけではなく、自分たちらしさを残しつつ綺麗に終われるような。特に僕は落ちサビで要人と一緒に歌う部分がお気に入り。ゲンジブがお世話になっている100回嘔吐さんに締めくくりの曲を作っていただけたのもすごく嬉しいです。
FAST:一曲目の『柘榴』も100回嘔吐さんですもんね。
杢代:『柘榴』に関しては、100回嘔吐さんと久下さんの作曲で、もうゲンジブチームじゃないですか。久下さんが「ふり絞った曲だから大切にしてほしい」と仰ってくれていたので、僕らにとっても大事な一曲になりました。『柘榴』には曲の見せ場が多くあるんです。それも一人の見せ場ではなく、7人全員の見せ場。是非、曲と一緒に全体を観ていただければ『柘榴』の感じ方が変わるんじゃないかな、と思います。
小泉:あれ?今2曲言ったよね(笑)?
長野:言った。素直に(笑)。
杢代:いいの(笑)。3人なんだからたくさん言えるよ。
♪ 幽かな夜の夢
By 小泉光咲
2003年3月11日生まれ。
小泉:僕は『幽かな夜の夢』です。この曲はアップテンポな曲調なのに歌詞が切ない珍しい曲。ただ、切ない歌詞だからこそアップテンポの明るさが際立つ曲だとも思っていて。加えて、僕たちが年齢を重ねていくほどに、大人っぽさのある『幽かな夜の夢』にどんどん変化していける曲だとも思います。そう考えると、今の『幽かな夜の夢』は今の僕らにしか表現できないもの。是非たくさん聴いて欲しいですね。
杢代:最初デモテープでもらった時に「絶対、光咲の歌だ」と思ったもん(笑)。
小泉:最近、曲を聴くと「ここのパートは誰が歌うんだろうな」と分かるんですよ。仮歌を歌ってくださっている方が声質を合わせてくれているのか、毎回誰のパートなのかがすごく分かりやすくて。
杢代:あとは、だいたい場所で分かるよね。凌大だったら1メロだし、アップテンポな曲だったら「光咲から落ち着いた部分が始まって、最後クライマックスまでそのまま歌うんだろうな」とか。
FAST:その予測は当たっていることが多いんですか?
長野:当たるよね。楽屋で「今回、ここが誰じゃない?」って。
小泉:「絶対ここ光咲だよ」と言われて、違った時の虚しさ…(笑)。
杢代:「ここだ」と思って練習するんだよね(笑)。
小泉:重点的にそこだけやるんですけど「あ、そこじゃないんだ…」って(笑)。
♪ スノウダンス
By 長野凌大
2003年7月16日生まれ。
長野:僕は『スノウダンス』です。この曲は何と言っても、Ayaseさんに書いていただいた曲。Ayaseさんの曲とゲンジブの曲は毛色的にも似ている部分を感じていたので、「いつか書いていただけたらいいな」と思っていたんです。それがこんなタイムリーなタイミングで書いていただけると思っていなかったので本当に嬉しくて。今までのゲンジブの曲はストレートに歌詞を伝えたい『ラベンダー』のような曲でも音はアップテンポで、楽器の音もかなり入っているイメージだったと思うんですが、『スノウダンス』は一番音数も少なくてメンバーの声だけで勝負といった曲に仕上がっています。僕たちの歌の成長や、心に秘めている想いを表現する歌い方なども意識して聴いていただきたいですね。Ayaseさんならではの打ち込みっぽい音がありつつ、ゲンジブらしい形も残っている僕の推し曲です。
杢代:しかも、情景を想像しやすい曲だよね。
小泉:ゲンジブの曲って、何回も聴いて考察をしてもらうような曲が多いんですけど、『スノウダンス』は一度聴いただけで浮かんでくるよね。
杢代:ちなみにどんな情景だった?
小泉:雪!
杢代:聴いた瞬間「雪」しかなかったの?真っ白じゃん(笑)。
小泉:人によると思うけど、雪が降る街の中に灯りが点いていて…って感じかな。
杢代:俺は街灯。雪が降る中、それを照らしている一本の街灯が思い浮かんだかな。でも、一回聴いただけでそれを思い浮かべられるってすごいことだよね。『スノウダンス』は盛り上がる曲ではなく、「聴く」と「魅せる」曲だと思っているので、ゲンジブにとっては新しい挑戦だと思っています。
FAST:ダンスが難しいとお聞きしました。
小泉:そうなんですよ。何だっけ「感情の一直線」だっけ?いつもはダンスを踊る時に曲に合わせてカウントをしっかりとるんですが、『スノウダンス』のダンスは生活の仕草の延長線上…あ、仕草の延長線上だ(笑)。
長野:感情関係ないじゃん(笑)。
杢代:俺も思った。さっき「感情の一直線」って言った時「何の話?」って(笑)。
小泉:あはは(笑)。でも、振り付け師さんの言っていた「仕草の延長線上」の言葉の通りだなって。いい意味でメンバー全員がそれぞれの多解釈な世界観の中で踊っている曲なんです。ライブで踊るのが緊張しそうな曲だな、と…(笑)。
『原因は自分にある。』さんの曲って
新しい言葉との出会いが多いですよね。
小泉:僕らもそうです。
杢代:俺は『嗜好に関する世論調査』の中の「誰何」と書いて「スイカ」と読む言葉が衝撃でした。歌詞を見ている時は「ダレナニ」と読んでいたんです(笑)。で、いざ音源を聴いてみて「あ、スイカって果物じゃなくて“誰何”という意味を込めて歌うんだな~」と。
小泉:普通読めないですよね(笑)。学生にとっては勉強になる。
長野:頭が良くなりそうだよね。
小泉:僕、漢字が苦手なので『幽かな夜の夢』の「幽か」が難しかったです。あとは「邂逅」とかも難しいよね。
長野:僕は『幽かな夜の夢』の「徹頭徹尾 君だった」かな。「徹頭徹尾」って「最初から最後まで」という意味があるんです。それを知った時にすごいキュンとしちゃった(笑)。
杢代:光咲、知ってた(笑)?
小泉:知ってるに決まってるでしょ(笑)!
前回の出演から約半年ぶりのインタビューです。
実は今回は半年前の皆さんの
インタビューの答えをいくつか持ってきました。
変化を教えていただけますか?
杢代:じぇじぇじぇ!
小泉:久しぶりに使ったね。
杢代:「じぇじぇじぇ!」は、あんまり使わないんだよね。「じぇじぇ!」はよく使う。
長野:そのこだわりいる(笑)?
長野凌大のモチベーション
「悔しさを超えられたのは、
音楽が好きでライブが楽しかったから」
(2020年8月)
長野:今でも「悔しさ」は根底にあって、本当に音楽を観るのも聴くのも好きです。ただ、今はとにかくお客さんが恋しい。ステージに立ってみて分かったんですけど、客席って意外と後ろの方まで見えるんですよ。「この人を笑わせたい!」と思ってパフォーマンスをしていて、その人が笑ってくれた時の「あの笑顔をもう一度見たい」という想いで一年間スキルアップなどを頑張ってきました。そう考えると、今のモチベーションは「ライブをすること」ですかね。
FAST:やっぱり客席って私たちが思っている以上に見えるんですね。
長野:鮮明に見えます。
小泉:7席目くらいまでは表情まで見えるよね。
長野:照明によっては全然奥まで見えますし、MCの時なんかは全然後ろまで見えています。
杢代:それにも成長を感じますよね。以前は後ろの方までお客さんがいなかったので。今は優先エリアのその先にもお客さんが居てくれるので「あぁ、成長したな」と思えます。
小泉:それでも結構経っちゃったよね。一年くらい出来てないもんね。
杢代:俺、この間調べたの。去年の1月14日が最後のイベントだった。
長野:ライブせずに雑誌に載せていただいていると「自分、モデルなのかな?」と思いますもん(笑)。
小泉:早くライブやりたいね。僕も落ち込むことがあった時はライブがモチベーションになっていたんです。この期間でライブの存在の大きさに改めて気づかされました。
小泉光咲の今後の目標
「ゲンジブらしさを追求して、
見せ方をどんどん研究していきたい」
(2020年8月)
小泉:その目標は今も変わらないです。曲が良いからこそ自分たちの歌やダンスも成長させていく必要があると思いますし、もっと上を目指していけると思うので、とにかくパフォーマンス力を上げていきたい。曲だけでなくゲンジブとしての全体的な雰囲気も追及していきたいんです。そう思うと変わらないですね。
FAST:今回のアルバムで以前よりも曲のジャンルも増えましたもんね。
小泉:そうですね。曲によって雰囲気が全然違うからこそ、僕らの切り替えも大事になってくるじゃないですか。丁寧に表現を追求していきたいと思います。
杢代和人の強み
「キメ顔」
(2020年7月)
FAST:杢代さんの強みは4文字でした。
杢代:「イケメン」ですか?
FAST:「キメ顔」です。
長野・小泉:恥ずかしい~(笑)!
杢代:僕、そんなこと言ってました(笑)?じゃあ今の強みは変わってますね。
小泉:それを今聞いてるんです。
杢代:今の僕の強みはですね、「セルフプロデュースが出来るところ」ですね。もちろんグループ活動の時はゲンジブの色に合わせるんですが、それ以外の芸能活動では自分の色を出せるようになってきたかな、と。今、少しずつですけど僕が出来る特技を使っていろいろなことをやらせていただいていて。バラエティーなど、いろんな環境で「“杢代和人”を出していけるようになりたい」と思っているので、表現の幅、変化の幅が広がっていることが僕の強みだと思います。
FAST:前回のインタビューでも、ドッキリを仕掛けられたいと仰っていましたよね。
小泉:そんなこと言ってたの?
杢代:以前言ってました?そこは変わってないですね(笑)。
FAST:泥でも川でも、どこでも落としてくださいと…
小泉:FASTさんに何を言っているの(笑)。分かった。じゃあファーストワンマンライブで落とそうか。「盛り上がってるか~!」で落ちる(笑)。
長野:その後6人でやるから安心して(笑)。
杢代:いいよ、俺は泥だらけでやる(笑)。
最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
小泉:ファーストアルバム『多世界解釈』はどの曲も別々の曲調なので、絶対に好きになっていただける曲があると思います。とにかくたくさん聴いていただきたいです。
杢代:今の僕たちが出せる最高なものを詰め込んだアルバムになりました。僕たちを応援してくださるのはもちろん嬉しいんですが、加えて曲も好きになっていただきたいと思っていて。今回はジャンルは違うものの、どの曲にもゲンジブらしさが残っているので、好きな曲を見つけていただきたいですね。実はタイトルの『多世界解釈』にはそういった意味も込められているんです。いろんな人の価値観や世界観を想像して何度も繰り返し聴いていただいても楽しめるんじゃないかな、と。そして、いつも通りの日常に戻った時にまた笑って会えるのを僕たちは楽しみに待っています。是非、これからも応援してくれたら嬉しいです。
長野:セカンドシングルを一年半前に出して、去年はファーストライブが出来なかった僕たちにとって今回のアルバムはかけがえのない作品になりました。昔から応援してくださっている方、最近応援してくれるようになった方、どの方にとっても特別な曲が一曲はあると思うので、自分の生活と照らし合わせながら各々の解釈で聴いていただければと思います。この先がどうなるかは分からないけれど、2021年は自分たちからもアクションが起こせるようにアプローチしていける一年にするつもりです。心配せずに僕たちだけを見ていてくださったら、僕たちはもっといい景色を見せていくので、今年もよろしくお願いします!そして、僕たちの曲を聴いて日々の糧にしていただければいいな、と思います。
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ディレクション:半澤暁
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:古里さおり