日向亘
日曜劇場『Get Ready!』
共演している妻夫木さんは
芝居の楽しさを教えてくれた師匠のような存在
TBS系の日曜劇場で放送中の『Get Ready!』で、正体不明の闇医者チームのセキュリティを守る万能ハッカー・白瀬剛人(スペード)役を好演している日向亘さん。第7話では自身が演じる白瀬の過去が明らかとなり、作品と演技にかける熱量がより高まってきた様子。生きる意味を問う異色の医療ヒューマンドラマに参加するなかで、彼が感じてきたこととは? 撮影の裏話満載のインタビューをお届け。
<あらすじ>
多額の報酬と引き換えに手段を選ばず患者の命を救う謎の闇医者チーム、通称「仮面ドクターズ」。メンバーは孤高の天才執刀医・エース、神出鬼没の交渉人・ジョーカー、凄腕オペナース・クイーン、若き万能ハッカー・スペード。ターゲットとなる患者の前では仮面で顔を隠し、その正体は世の中には知られていない。現在の医療界では不可能な医療も可能に変えてしまう彼らが素顔を隠し、秘密裏に医療行為を行う理由はいったい何なのか?
第9話では、エースの宿敵である千代田医科大学附属病院の理事長・剣持理三の娘を救ったことが決定打となって、警察の捜査が闇医者チームに及んでしまう。解散の危機に瀕したチームは果たしてどうなってしまうのか…。展開が気になる最終回は3月12日に放送!
日曜劇場にメインキャラクターとして
参加が決まったときの感想は?
「まさか僕が?!」とビックリしたし、選んでもらえて純粋にうれしかったです。でもわりと早い段階で気持ちを切り替えて、どうすればドラマを観てくださっている方の目にとまるのか、どう演じていこうかと、役作りについて自分なりに整理して臨みました。
これまでも日曜劇場はご覧になっていましたか?
小学生くらいの頃から父親の影響で観ていました。年齢層が高い人が観ている印象だったので、当時は「おれ、日曜劇場観てるんだぜ!」って大人向けのドラマを観ている自分に酔ってました(笑)。難しいテーマを扱っているイメージもあって、緊張感のある内容も子供ながらに観てて楽しかった思い出があります。そんな大好きなドラマ枠に出演できて、本当にありがたいことだなと思っています!
出演にあたって
周りからはどんな反響がありましたか?
友人や親世代の方たちに「いつも観てるよ」と言ってもらえてます。お世話になった学校の先生たちからも「日曜劇場は毎シーズン欠かさず観てるから、出てる姿が見れて嬉しいよ!」という連絡もたくさんいただいて、少しは周りに恩返しできたかなと思ってます。期待を裏切らないようにしたいですね。
ご自身が演じる白瀬剛人との
共通点はありますか?
白瀬は同級生とはあまり話が合わなくて苦手意識があると思うけど、大人でプロフェッショナルな仲間たちと仕事をしてるから、年上と話すほうが楽なのかな。僕も白瀬のように年上の人と接することが多い環境で育ったので、年上との方が居心地よく会話できるという意味では、白瀬と共通しているかも。今の現場も、とっても居心地良くお仕事させてもらっています。
白瀬の過去が明らかになる第7話で、
監督とどのような話をされましたか?
7話を担当された福田亮介監督とは、今までどう考えて白瀬を演じてきたかなど、細かく確認して臨みました。回想シーンに出てくる高校時代は、今までの演じ方と変わってくることもあって、監督が同級生役のみなさんとの本読みの機会を与えてくださいました。その結果、話し方ひとつとっても芝居が全然違うんだなと、課題点がいくつか見つかりました。本番を迎えて、監督に自分から「本読みでの僕のお芝居は全然違いました」と、自分なりの考えを伝えてみたんです。そこから監督と一対一で相談しながら変化を加えて、撮影を進めてくことができました。
監督と話して変えた部分を
具体的に教えてください。
1話の撮影時に監督から「白瀬はコミュ障で基本的に人と目を合わさない」という話があって、そう映るように演じてきたのですが、回想シーンを撮影するときは「白瀬は昔からそうだったのかな?」とずっと引っかかっていました。高校時代や闇医者チームに入るまでに何かあったのかもしれないし…。回想シーンでは基本設定を気にせず演じたいと監督に相談したら「目を見て話さないっていうのは忘れて演じていいよ」とOKをもらえて、そこから気持ちが楽になりました。台本を読んでると年上と会話している白瀬はあまり人間味がないので、同級生と話すときはどんな雰囲気なのかな?と、今までの白瀬から逆算して演じました。
7話を経て仲間意識が強くなった白瀬ですが、
その後どのような変化がありましたか?
白瀬が人として成長してみんなへの信頼も強くなり、作業として捉えていた出来事が自分の気持ちを軸にしたものに変わったのかなと思います。今まではリスクを犯すことやハッキング能力で人を圧倒するのをゲーム感覚で楽しんでいたのが、7話からは「この人たちとずっと一緒にやっていきたい」という気持ちに。だからこそ、チームの存続が危うくなってバラバラになっていくのがすごく嫌だったんです。自分にとって、守りたい場所になったんでしょうね。
日向さんから見て、
仮面ドクターズにはどんな魅力がありますか?
天才執刀医、敏腕オペナース、交渉術、万能ハッカー、それぞれのプロフェッショナルが集結しているのが本作の魅力のひとつですよね。お金のある人しかターゲットにしないのかと思いきや、圧倒的に資産のない夫婦でも相手をするし、いくらお金があっても悪党は助けない。お金がある人だけが助かるわけじゃないっていう面も含めて、命を推し量る基準がブレないのは圧倒的な安心感がありますよね。悪いことをしてはいるけど、エキスパートな腕前と考え方がしっかりしているチームだと思います。
メインキャストの中で若手のポジションですが、
撮影現場はどんな雰囲気ですか?
『仮面ライダー』では同世代の人たちと一年間くらいワイワイ賑やかに撮影してたけど、今の現場はみなさん大人なので。いい意味で気を遣わずにそれぞれ自由に過ごして、時間を有効に活用しているのが新鮮です。気が向いたときにおしゃべりして、集中したいときは楽屋で台本を読んで…っていう、自然体でいられる空間が居心地良いよねってみなさん口を揃えておっしゃっています。
共演者の中で一番お世話になっている先輩を
挙げるとしたら?
お芝居の面で言うと、妻夫木さんに一番お世話になってます。妻夫木さんが不定期で開催する事務所のワークショップに参加したことがあり、僕にとっては3〜4年くらいお芝居を見てくれている師匠のような存在。いつも丁寧に答えてくれるので、撮影中もよく「いまのシーンどうでしたか?」と質問しやすくて。かなり頼らせてもらっているし、お世話になっていると思います。
妻夫木さんの教えは、日向さんに
どんな影響を与えてくれましたか?
妻夫木さんはワークショップでよく「今は芝居の上達というより楽しさを確認する場。芝居について意見を出しあっていくのが楽しいよね」と話していて。エチュードを織り交ぜながら、自分なりに考えながら演じる楽しさをわかってもらいたいという方なんです。僕にとってもワークショップはお芝居が楽しくなったきっかけでもあるので、本当にありがたい経験をさせてもらいました。そんな妻夫木さんにつかみかかるシーンが7話にあって、撮影前日は緊張して眠れないほど怖かったです…。それを妻夫木さんが察してくれたのか、現場に入ってすぐ僕の背中をやさしくポンっと叩いてくれて(笑)。言葉はなかったけど「思いっきり来いよ」「気楽にやれよ」っていう激励をその一撃から感じて、すごく勇気づけられましたね。
藤原竜也さんも同じ事務所の先輩ですが、
どのような印象ですか?
これまで竜也さんの作品をたくさん観て、本作でご一緒できて、竜也さんにしかできない役を演じてきた方だな…と改めてと思います。佇まいもセリフ回しも唯一無二な感じがしますし、デビュー作のときから背中が大きすぎるという印象です。目指すべき場所というか、追いたい背中というか…。4年ぶりに竜也さんと共演して「大きくなったな」と言ってもらえて、僕としても成長した姿を見せられてるのかな?と思いつつも、竜也さんの背中の大きさや凄さを感じることがいまだに多くて。かっこいい人だな〜…という憧れは今でも変わりません。
そんな先輩たちの芝居を見て、
引き込まれたシーンはありますか?
エースとジョーカーが意見の違いでぶつかるシーンがたびたびあるんですが、とくに9話が凄まじかったです!台本通りではなく、その場の空気感で出た気持ちをセリフにのせて演じられていて。しかも毎カット違う言葉が出てきて、それを見て鳥肌立つくらい圧倒されました。本当に言い合っているようなリアルさがあるので、ハラハラして思わず「ケンカしないで〜!」って言いたくなってしまいました。
日向さんも
気持ちがセリフにのった瞬間
というのはありましたか?
周りからはセリフを間違えているように見えてるかもしれないけど、役に入り込んで集中しているときにセリフが変わってしまって、本当に白瀬が言ってるようになる瞬間がたまにあります。語尾や言い回しといったちょっとした部分ですが、この感覚を極めることができたら、いつかはお二人の領域まで近づけるのかなって。まだまだ先だとは思いますが、僕もいつかお二人のようなお芝居できる役者になりたいなと思いました。
まもなく最終回を迎えますが、
注目してほしいポイントは?
本作での僕の課題としては、白瀬の成長を視聴者の方にしっかりお届けすること。闇医者チームに入ってから年上のプロフェッショナルたちといろんな経験をして、ちょっとずつ居心地が良くなってきて、白瀬にとって大切な場所になっていったと思うので、回を重ねていくごとにみんなに対する接し方が変わっていくよう意識していました。配信で観られる2〜3話からちょっとずつ口調が柔らかくなって接しやすいキャラクターになっているので、内面の変化も感じてもらえたら嬉しいですね。
生き延びる価値や生きる意味が
テーマになっている本作。
日向さんにとっての生きがいとは?
きれいごとに聞こえるかもしれませんが、ファンの方々です。「今日仕事で失敗しちゃったけど日向くんがSNSを更新してくれて元気が出ました!」とか「日向くんが出てる『Get Ready!』があるので仕事頑張れます!」とかメッセージをくれることが、僕にとって生きる価値。僕を生きがいにしてくださる方がいると思うとモチベーションになるし、応援していただけるのが自分の力になる。みなさんに良い報告ができるように頑張りたい。だからこそ、楽しみながら撮影できていると思ってます。
日向亘
ひゅうが わたる
インタビューに同席していたドラマのプロデューサーから「日曜劇場という年齢層の高く重厚な役者ぞろいという印象が強いドラマ枠に、新しい風を吹き込んでくれた。柔軟さと人柄に作品もチーム全体も救われています」と言われ、照れながらも満面の笑顔で喜んでいた日向さん。質問のひとつひとつに丁寧に受け答えし、周囲を笑わせて和やかなムードで包み込む一面に、高評価の理由を見つけた気がします。後編では最近のプライベート事情についてお聞きしていきます!
日曜劇場『Get Ready!』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送中
※Team Credit
カメラマン:八重樫ケイン
ヘアメイク: 佐々木麻里子
スタイリスト:五十嵐堂寿
ディレクション:半澤暁
インタビュー・記事:井上ハナエ