前田公輝
培ってきたアクションに対する職人魂と
舞台『巌流島』に掲げる意気軒昂な拳—
舞台『巌流島』
『巌流島』× 前田公輝
このお話をいただいた時、単純に嬉しく感じました。横浜流星くんと伊藤健太郎くんとはお会いしたことがないんですが、僕の中のイメージはお二人とも“映像”の方。「この舞台の三番手はきっと、このお二人を支えるような舞台経験の多い方が来るんだろうな」と思っていた矢先にお話をいただいたので、「え、お邪魔して大丈夫かな?」と思いました(笑)。どちらかというと僕も映像の方が多かったので…。ただ、世代が少し離れていることもあるしお二人が伸び伸びとされることがこの舞台が一番輝く方法だと思うので、稽古の間などにいろいろとお話していければいいなと思います。
殺陣も楽しみですね!
そうですね。今回の舞台は舞台『里見八犬伝』で殺陣をつけていたじゃえいさんというアクションチームの方々が入るみたいで。僕たまたま塩野くん(塩野瑛久)が出演していたこともあり、『里見八犬伝』を観に行ってたんですよ。出演者の方の剣さばきを見ていて、初心者と感じさせないような殺陣だったので、僕自身今回の舞台でどんな風に殺陣をつけてもらえるのかわくわくしています。人の長所を見つけて、出来ないことはやらせない、ここは出来そうって部分は伸ばす。だからみんなが出来るように見える。そんな風な殺陣の付け方をされるチームだと聞いているので、どんな風に僕をスキャンしてもらえるのかが今から楽しみです。きっと今後の自分の武器にもなると思うので、あと3カ月くらいの中でしっかりと相談しつつ稽古したいと思います。
巌流島の戦いについてはご存知でしたか?
僕、こういった作品に携わってから勉強させてもらうタイプなので、今回も巌流島の戦いをお話をいただいてから調べました。意外といろんな諸説がある戦いみたいで、しかもそこまでドラマのない戦いという説もあって…(笑)。予備知識を入れ過ぎて、台本とのズレが出た時に「あれ?」となるのが一番怖いので、一旦台本を読むまでは深追いはやめようと思っています(笑)。
アクションってやればやっただけ伸びるんです。距離感も掴めるようになるし、自分の身体の使い方が分かってくる。そもそも腕の長さって人によって違うじゃないですか。手が届くか届かないかって自分のさじ加減で決まるんですよ。フック一つにしても、腕を伸ばして撃つものと伸ばして撃つものがある。これだけで5センチくらいリーチが違ってくる。そうなると相手ととっておくべき距離感も変わる。ほんの少しの距離感でも見え方や安全面が変わってしまうので、極力安全にアクションをするようには心がけています。あとは、僕、フックが多めかもしれないです(笑)。現場で「フックかストレートどっちでもいいよ。」と言われる時がけっこうあるんですけど、そういう時は絶対フックにしちゃう(笑)。ストレートって、相手のリアクションとすごいマッチしないといけないんです。、もちろんフックもそうなんですけど、フックの場合は振りかぶっている間であれば相手がいつリアクションしてくれても自然に見えるんですよ。あとは見せ方的にもフックのほうが大きく見せられる。強そうに見せることができるんです。
なるほど!
前田さんのアクションシーンを
楽しむポイントが増えました!
アクションシーンは相手との息の合い方も
重要になってきますもんね。
そうなんですよ!そこが合っていないと本当に危なくて。まあ、僕がボコボコにされるだけなんですけど(笑)。本番でも何度か、胸倉を掴まれてストレートパンチされる時に、本番中ガンガン当たっている時があって(笑)。「いやいやもう芝居じゃないじゃん!」と思っても、相手はもうお芝居のモードに入っちゃってるんですよね。僕も芝居をしつつなので、心の中で「本当に痛いわ~」と思っている時があります(笑)。そんな経験があるからこそ人に怪我をさせないためにしっかりと稽古するようにしています。
刀になると
また違う悩みが出てきそうですね(笑)。
そうですね。刀はリーチが伸びるし、しかも僕は殺陣の経験がないからより距離感は気にします。刀って死角があるんですよ。素手でのアクションの時は後ろは気にしなくても大丈夫なんですけど、見えていない部分にも気を遣わなきゃいけないのは大変ですよね。死角が一番怖いです。
舞台となると、
周りに他の方もいらっしゃいますもんね。
そうそう。劇場が大きいからいいんですけど…ただ、本番中はアドレナリンも放出されて気持ちまで大きくなっちゃうじゃないですか。「見せてやろう、やってやろう」って。でもアクションは絶対にそこに気持ちをのせちゃいけないと思っています。すべてが崩れてしまうので、そこは地に足をつけてきちんとやっていきたいですね。
では、前田さんの新たな一面にも期待の舞台『巌流島』に向けて
意気込みをお願いします!
僕自身、自分の中で会得しないといけないものは剣だけだと思っているんです。この舞台を転機にして、自分の中での剣に対する自信に繋げられるように必死に稽古にかじりついていくので。ぜひ本番楽しみにしていてください!
舞台『巌流島』
脚本:マキノノゾミ 演出:山田和也
出演:横浜流星 伊藤健太郎 前田公輝 荒井敦史 岐洲匠 押田岳 宇野結也 菅原健 後藤光利 横山一敏 白羽ゆり 葛山信吾 ほか
2020年7月31日(金)~8月10日(月・祝) 東京 明治座
その後、仙台・新潟・金沢・名古屋・高松・大阪・福岡にて上演
詳細は公式HPにて(https://ganryujima-stage.jp/)
前田公輝
まえだ ごうき
1991年4月3日生まれ。
二つの活眼で優しく世界を捉えながら、静かに役と一体化する真剣な芝居愛に抱きしめられた29歳。
※Item Credit
Shoes:スリッポン/BLK/¥23,000+tax(TOSS)
他スタイリスト私物
(お問い合わせ先)
TOSS
HEMT PR
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2-31-8 FKビル3F
Tell:03-6721-0882
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
スタイリング・ディレクション:町山博彦
インタビュー・記事:満斗りょう