綱 啓永
人生一度きりだから、一瞬一瞬を大切にして何事も楽しみたい
2018年に俳優デビュー後、柔軟な芝居力を武器に様々な役を演じてきた綱 啓永さん。2022年のドラマ『君の花になる』では、劇中で演じたボーイズグループとして実際にデビューするなど大きな話題を呼びました。最旬俳優の一人となった今、見据える未来とは? 過去の「FAST」での発言を振り返りつつ、語ってもらいました。
紗羅への一途さが礼雄の魅力ですが、ご自身が一途になれるものはありますか?
家族と友達ですね。家族と友達がいれば、なんでもできます。
家族や友達と過ごす時間を大切にしている?
そうですね。友達とは、ほぼ毎日会っています。この後も会います(笑)。僕はできる限り月イチで実家に帰るようにしているし、連絡もマメにとっていますね。僕、妹がいるんですけど、この前、妹に「○○がほしいから、お金ちょうだい」と言われました(笑)。そんなやり取りができるのも、仲がいいからこそですよね。
友達とは、お仕事が忙しくても頻繁に会うのですか?
うーん、忙しいときはあんまり……僕は睡眠が一番大事なので、睡眠時間に支障のない範囲で会います。今は舞台(『う蝕』)の公演期間中なので(取材は2月中旬)、週に3、4回しか会えてないですね。
本作はエリーの妄想シーンも見どころの一つですが、綱さんも妄想することはありますか?
ありますあります。家族についてとか、自分の未来についてとか、いろいろと妄想しますけど、言える範囲だと(笑)……例えば、夜に友達と会う日は、“今日はあそこへ行って、ここへ行ってここへ行って、サウナ行って~”みたいな妄想をよくします。
キチンと計画を立てて遊ぶタイプ?
いや、いっさい立てないです。ただ、そういう想像をしている時間が楽しいんですよね。
では、エリーのような妄想女子をどう思いますか?
えりつぃん(エリー)には共感します。だって、誰しも妄想はしますよね。まぁ、えりつぃんの場合は、その妄想がちょっと濃いめで、SNSにアップしたりとか、僕とはちょっとレベルが違うけど(笑)。でも、それに引くかと言われたら引かないし。むしろかわいいなって思うし、それを素直に表現しているところに共感の嵐です。
これまで様々な役を演じてきましたが、お芝居の魅力や難しさはどんなところに感じていますか?
いやー、毎回毎回難しいですね。今やっている舞台で、まさに痛感しています。セリフ一つにもいろんな意味があって。セリフとセリフの間の“間”とか、セリフのテンポとか、一つ違うだけで伝わり方が変わってくるし。本当に繊細な作業をしているなって、毎回毎回思います。
でも、そこが舞台のおもしろさでもある?
はい、楽しいです。みんなで作り上げて、それをお客さんに届けて。お客さんの反応とかも目の前で見られて。その一連が全部楽しいですね。
2023年で俳優デビュー5周年を迎えました。当時描いていた5年後の自分とくらべて、今の自分はいかがですか?
5年前は正直、自分の未来のことをちゃんと考えられていなかったんですよね。もう、必死すぎて。「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリをいただいて、事務所に入ってレッスンを受けて、作品に出演させてもらって~って、その時々にとにかく一生懸命で必死だったので、未来のことまで考えられなかったんです。今、改めて考えるとどうなんだろう? 思い描いていた自分……まぁでも、こんなもんかなーとも思います。
例えば当時、漠然と“売れたい”と思っていたとか。
あー。そうですね、漠然と売れたいとは思っていたな。そこだけでいうと、今の自分はまだ全然ダメですね。
でも、自分なりに進化したと感じる部分もありますよね。
それはもう、日々感じます。台本の読み方とか、コミュニケーションのとり方とか、人前に立ってしゃべるときの答え方とか。人としても、さすがに少しは成長したなと思います。
台本の読み方が変わったというのは?
以前は、ホントに今考えるとただセリフを覚えるだけだったんですよ。セリフを覚えて、ひたすらそれを現場で吐き出すっていう。でも今は、台本に書かれているひと言ひと言に意味があることが改めてわかって、それを考えながら読めるようになったので。そこは全然違いますね。
「FAST」に初めてご登場いただいたのが、2019年4月。そのときのインタビューで、「『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の最初の試写の際、冒頭2分で泣いてしまった」とおっしゃっていました。
えーっ!俺、泣いたんだ?いや、でもたしかに、当時はいろんな思いがありましたね。初めてちゃんとメインのキャストに選ばれたうれしさとか、夢だったヒーローになれたうれしさとか、親がすっごく喜んでくれたこととか。とにかく今までの人生では経験したことのない瞬間を味わえたのが、たぶん自分のなかですごく感慨深かったんでしょうね。
その初心は、今も胸の内にありますか?
もちろん!初心は忘れちゃダメです。まぁ、今は自分の作品を見て泣くとかはないかもしれないですけど……いや、わからないな。これからまだ、泣く瞬間はいっぱいありますね。絶対に。
そのときのインタビューで綱さんのポリシーを伺っているのですが、「常に笑顔で、ブレずに前に」とお答えになっています。
俺、めっちゃいいこと言ってるな(笑)。
今のポリシーは?
ん~、楽しくやる!何事も楽しむ。ちょっと変わったかな?人生一度きりなんでね。「人生楽しんだもん勝ち」という言葉がありますけど、ホントにその通りだなと思って。僕も、その瞬間瞬間を楽しんでいます。
そして、座右の銘には「強いハートと努力と笑顔が夢をつかむ」と回答されていますが、こちらも変わりましたか?
最近、一期一会という言葉を覚えまして。めっちゃいいなと思ったので、自分の座右の銘にしようかと。
その心は?
一期一会って、“そのときだけ”みたいな意味じゃないですか。いや、めっちゃそうだなと思って。人間、いつ死ぬかわからないし、いつ誰がいなくなるかわからないし、いつ環境が変わるかもわからないから。年始に能登半島の地震とかありましたけど、そういう予想外のことがあるなかで生きているんだなって考えると、確実に明日があるとか思っちゃダメだなって。さっきのポリシーにも通じますが、一回一回の出会いだったり、一瞬一瞬を大切にしていきたいなと思います。
綱啓永
つな けいと
1998年12月24日生まれ。
撮影では夕日のスポットライトを浴びながら影やカーテンを使ってかっこいい表情をたくさんカメラに向けてくださいました。タイミングよく見せてくださる可愛らしいポーズやピースはモニターを真剣に見つめるスタッフやスタイリスト・ヘアメイクさんの空気をフワッと明るくして下さいました。日差しが眩しいのを周りが心配すると「僕がこっち行っちゃったからですね~」と気遣って対応してくださる神対応も見せて下さいました。多くのメディア取材の最後に撮影させていただきましたが、撮影を増すごとにかっこよさはどんどん増していました。
常に明るさを忘れずにいながらも熱く優しい一面を併せ持つ綱さん。これからのご活躍も応援しております!ご出演ありがとうございました!
最近の出演作に、テレビドラマでは、TBS『恋愛のすゝめ』(’23-24)、フジテレビ『ぼさにまる』(‘23)、フジテレビ『ばらかもん』(‘23)、舞台では、『う蝕』(‘24)、映画では、3月15日より公開『恋わずらいのエリー』(‘24)、などがある。
©2024「恋わずらいのエリー」製作委員会©藤もも/講談社
【恋わずらいのエリー】
2024年3⽉15⽇(⾦) 全国公開
原作:藤もも『恋わずらいのエリー』(講談社「デザートKC」刊)
出演:宮世琉弥 原 菜乃華(W主演)
西村拓哉 白宮みずほ 藤本洸大 ・ 綱 啓永
⼩関裕太
監督:三⽊康⼀郎
脚本:おかざきさとこ
音 楽:林イグネル小百合
主題歌:NiziU「SWEET NONFICTION」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給:松⽵株式会社
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:牧野裕大(vierge)
スタイリスト:三宅剛
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿