池田匡志×堀 夏喜
ドラマ『雨上がりの僕らについて』
奏の目線に立って真城の言動を感じとってもらえたらうれしい
現在放送中のドラマ『雨上がりの僕らについて』で、同性愛者であることを隠し、恋に臆病になっている社会人・奏 振一郎役を演じる池田匡志さんと、奏の高校時代の親友であり、片思いの相手・真城洸輔を演じる堀 夏喜さんにインタビュー。役作りについて、撮影時の思い出などをお聞きしました。

©らくたしょうこ・一迅社/「雨上がりの僕らについて」製作委員会
<あらすじ>
東京で暮らす社会人の奏 振一郎(池田)は、学生時代の苦い思い出から同性愛者であることを隠し、もう恋はしないと心に決めていた。そんなある日、高校時代の親友であり、かつて“特別な想い”を寄せていた真城洸輔(堀)と6年ぶりに再会。それをきっかけに二人は過去と向き合い、自分自身を見つめ直しながら前に進み始める。時に傷つけあいながらも不器用に想いあう、心温まるボーイズラブ。

本作はマンガ原作ですが、最初に読んだときの印象を教えてください。
池田匡志(以下、池田):原作を読んだときは、奏と真城のもどかしい二人……不器用な二人を純粋に応援したくなる、やさしい物語だなと思いました。
堀 夏喜(以下、堀):何か大きな出来事が起こるわけではないのですが、日常の些細な悩みなどが繊細に描かれていて。そういうところにすごく共感が持てるし、リアリティがあって身近に感じられるなと思いました。
実際に撮影に入ってみて、その印象から変わった部分もありましたか?
池田:もちろん原作を主軸に動いてはいるのですが、“このセリフが、(実写だと)こうなるんだ”とか、“原作をこうやってつなげてストーリーを作っていくんだ”という部分もあり、新鮮でした。
堀:台本の字面だけを読んでいるのにくらべて、実際にやってみるとズシンとくる部分がたくさんありました。“真城は、裏ではこんなにも悩んでいたんだな”と、理解がより深まった気がします。
撮影中の二人の距離感で、気をつけていたことはありますか?
池田:奏としては、かつて真城のことが好きだったり、もう恋はしないと決めた過去の傷があったりするので。真城と再会してから徐々に関係を築いていくという、その距離感は意識していました。
堀:順撮りではなかったので、時系列はすごく意識しました。
池田:難しかったねー。
堀:高校時代も描かれていますし。大人になってからも、再会して時間が経つにつれて、二人の関係性もどんどん変わっていくので“今って、どんな距離感だっけ?”と、常に思い出しながらやっていました。
池田:すごく仲のいいシーンを撮った直後に第1話、2話を撮る、みたいなことがあると、まだよそよそしいはずなのに、“あれっ、めっちゃ仲よくない?”みたいな距離感になってしまったり(笑)。
堀:あったね(笑)。あと、名前の呼び方も途中で変わるんです。
池田:そうだそうだ!
堀:そういうところを思い出しながらやりました。

役作りをするうえで、表情の作り方やしぐさなどで意識したことがあれば教えてください。
池田:奏は、僕とは違う面がたくさんあるので、日常から馴染むように……ホントに些細なことですけど、奏が家で育てているマリモと豆苗を実際に買ってみたり。奏は料理が好きなので、僕も料理を練習してみたり。そうしているうちにすごく奏に影響されて、普段の僕がガラッと変わりました。部屋もキレイになりましたし、今でも料理を続けています。
堀:真城は、とてもハツラツとしたキャラクターなんですが。僕は普段どちらかというとあまり感情の起伏が少ないタイプなので、“めっちゃ笑顔!”とかをするのが難しかったです。
池田:そっか。
堀:真城は、すごく高低差のある性格でもあって。過去のことを思い出しているときなどは、真面目な顔をしているのですごく入り込みやすかったんですけど。普段の明るい感じをどう演じたらいいのか、最初はなかなかつかめなくて苦戦しました。どうしても“無理やりやってます”という感じが出てるんじゃないかなって。
そこは、どのようにつかんでいったのでしょうか。
堀:うーん、なんだろう……だんだんと現場に慣れていって、お芝居を何回もやっていくうちに馴染んでいったという感じですかね。いや、でも本当に笑顔は難しかったです。表情筋が鍛えられました(笑)。
池田:普段の自分とは全然違うってことでしょ?
堀:うん。
池田:ファンの方たちはレアな顔を見られてうれしいんじゃないかな?
堀:あー、たしかに。普段は見せない顔かもしれないです。
FANTASTICSのメンバーも見たことがない顔?
堀:いや、さすがにそこまで鋼の顔面の持ち主ではないですけど(笑)。でもこういうキャラを演じることはなかなかないので、メンバーもあまり見たことのない顔だと思います。

本作のオンエアは、メンバーのみなさんにも観ていただけそうですか?
堀:観ていただきたいですね。聞いてみます(笑)。
メンバー同士で、常に情報共有はしているのですか?
堀:個人の仕事の解禁事とかは、みんなで一緒に発信するようにはしています。グループみんなで塊になって……?
一丸となって。
堀:あっ、そうです。一丸となってやっていこうという意識はあります。
池田さんは、今も料理をされるとおっしゃっていましたが、どんなメニューを作るのですか?
池田:せっかく育てた豆苗があるので劇中に出てきて僕も好きなサバと豆苗を合わせたりしてみるのですが、全然合わなかったりするんです(苦笑)。でも、そんなふうに料理に挑戦すること自体が今までは全然なかったし、少し料理が好きにもなったので、よかったなと思います。
料理は、今も継続されている?
池田:はい、時間があるときに。実は、道具を買い揃えたんです。今は魚を捌いてみたくて!ちょっとハードルは高いんですけど。
堀さんは、真城に影響を受けた部分はありますか?
堀:うーん……。
池田:人にグイグイいくようになったとかは?
堀:ないですね(キッパリ)。
池田:わははは!
堀:うーん、僕、もともと運動するのが好きなんですけど、がっつり体重を増やして~というトレーニングはやめていたんです。でも、このドラマの撮影が終わってから、久しぶりにウエイトトレーニングをがんばって、4キロ増やしたんです。あと4キロぐらい増やすつもりです。
池田:それはもう、真城の活力に影響されてってことだよね?
堀:そうだね、真城に影響されました。

特に観てほしいシーンを教えてください。
池田:観てほしいシーン……たくさんあるなー。第1話の雨がめっちゃ降っているシーンとかは……。
堀:うん!
池田:やっぱり、奏と真城が想いを一番ぶつけ合ったシーンなので、注目していただきたいなと思います。(堀に)いっぱい濡れたもんね!
堀:大変だったね。撮影しながら、明らかに二人ともどんどん寒さで顔色が変わっていって(笑)。
池田:そうそう(笑)。あとはやっぱり、胸キュンシーンが今後いっぱい出てくるので、そこにも注目していただきたいです。
堀:僕は、そういったいろいろなことを経ての、最終話のラストシーンです。撮っていても幸せな気持ちになったし、すごくいいシーンになったと思うので。
池田:ラストシーンね。
堀:最初から最後までしっかり見届けてほしいです。
池田:たしかに!最後まで観てほしいです。
本作のタイトルのように、お二人の関係性を「○○の僕らについて」と端的に表現すると?
堀:「寒がりの僕らについて」とか?
池田:あっ、そうだね!でも、僕はそこまで寒がりじゃなかったけど。
堀:えっ、最初は寒がりだって言ってたよ!?
池田:いや、寒がりではあるんだけど……。
堀:僕のほうが、ちょっと上をいっちゃったかな?
池田:それは、ちょっとある(笑)。まぁでも、寒がりではあるから……。
堀:そうだよね?きた!
では、先ほどお話に挙がった雨降りシーンの撮影などは、大変だったのでは?
堀:いや、もう、とんでもなかったです!撮影が終わって、お風呂に直行したもんね。
池田:あー、入ったね!

©らくたしょうこ・一迅社/「雨上がりの僕らについて」製作委員会
あっ、一緒にお風呂に?
池田:(人差し指を唇に当てながら)それは内緒です(笑)。
堀:(笑)。スタッフさんがお風呂を用意してくださって。その後もまだ撮影も続くし、とにかく1回体温を戻さないと、このままでは顔色が心配だと言われて。
池田:そう、風邪をひいちゃうからって。あれは気持ちよかったよねー!
堀:ねー!無事に生き返って、その後の一日もがんばれました。
池田:ホントにあのまま寝ちゃうかと思ったもん。
堀:あの後、車で移動中に、二人とも……。
池田・堀:爆睡!
では、今後の見どころを教えてください。
池田:あっ、いよいよ第3話ですよ!水族館デートをする……3話って、堀くんまだ観てないよね?
堀:うん、そうだね。
池田:僕はモノローグ録りがあったから、先に観ちゃったんだよね~。
堀:なんか、謎のマウントとられたな(笑)。
池田:いやぁ、水族館のシーンはいいですよ。
堀:気になるなー。
池田:僕らの初めての私服デートですから。
堀:あっ、そうだね。でも、第3話はまだ二人のすれ違いというか、気持ちがうまく混ざり合わない感じがあって、見ていてすごくムズがゆいんです。あと真城に関しては、元気なだけじゃない、いつもと違う顔が垣間見える瞬間もあったりして。
池田:そうだ!第3話からはね。
堀:そう。なので、そこにも興味を持ってもらえたら。“なんでなんだろう?”というところを感じとってもらえたらいいなと思います。
池田:奏としては、“これからどうなるんだろう”と、ずっとドキドキしながらデートをしているので。観ているみなさんも奏の目線に立って、真城の言動を感じとってもらえたらうれしいです。

記者会見の後に取材のお時間をいただきましたが、記者会見終わりでも、お二人とも和やかな感じがとても印象的でした。インタビューの時にドラマの撮影が終わって、お会いするのがお久しぶりとのことでしたが、そんなことを感じさせない空気感のお話っぷりに周りのスタッフもたくさん笑顔と笑いに包み込んでくださいました。後編ではドラマからは一歩離れてみたプライベートな話題にも触れております。
お楽しみに。
池田匡志
いけだ まさし
1999年12月13日生まれ。
最近の出演作に、NHK総合『ワタシってサバサバしてるから2 』(‘25)、テレビ東京『今夜は…純烈』(‘25)、『ROOM〜史上最悪の一期一会』(‘24)、映画では、『闇金ドッグスX』(‘24)、『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』(’25)、がある。
堀夏喜
ほり なつき
1997年8月6日生まれ。
最近の出演作に、テレビ朝日『きみは面倒な婚約者 プラチナ編』(‘25)、CBC『スパイの人事部』(‘24)、MBS『サブスク不倫』(‘23)、映画では、『女神降臨 After プロポーズ編』(‘25)、『女子大小路の名探偵』(‘23)などがある。

©らくたしょうこ・一迅社/「雨上がりの僕らについて」製作委員会
ドラマNEXT「雨上がりの僕らについて」
毎週水曜24:30~テレ東系にて放送中
池田さん
スタイリスト:徳永貴士(SOT)
ヘアメイク:MISU(SANJU)
堀さん
スタイリスト:中瀬 拓外
ヘアメイク:福田翠(Luana)
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿