鈴木伸之
自分のなかでちゃんと昇華できるお芝居を続けていきたい
2010年に俳優デビューして以来、『HiGH&LOW』シリーズ、ドラマ『あなたのことはそれほど』『バントマン』、映画『東京リベンジャーズ』シリーズなど、さまざまな役どころを自在に演じ、注目を集めてきた鈴木伸之さん。主演映画『サラリーマン金太郎』でも、新たな矢島金太郎を魅力的に演じている彼に、これまでの俳優人生を振り返ってもらいつつ、役者としての展望なども伺いました。
役者デビューから14年。これまでに転機になった作品や出来事があれば教えてください。
転機っていうと……『今日から俺は!!』や。映画『東京リベンジャーズ』もそうですし、あとは、『HiGH&LOW』シリーズですかね。
不良モノが多いですね(笑)。
あははは!戦ってばっかりですね(笑)。
それぞれ、どんなところが転機になったのでしょうか。
『今日から俺は!!』は、街で「観ました!」や「おもしろかったです」など、声をかけてくれる人が多かったです。でも、僕としてはどの作品に対しても同じ思いを持っています。そのなかで今挙げた作品は、たまたま世の中に広く受け入れられて、たまたま知ってくださる人が多い作品だったというか。もちろん、そういう作品に今後も出演し続けていきたいので、これからもご縁がいっぱいあったらうれしいです。
これまでに共演者の方やスタッフさんからいただいた言葉で、特に印象に残っているものはありますか?
(【暁】編の)劇中に、金太郎が大島社長(橋本じゅん)にジョウロの水をかけてしまって、笑顔でごまかすシーンがあるんですけど。橋本さんが、「東京に染まった人の笑顔じゃなくて、田舎から上京してきたばかりの新入社員みたいな、利己心のない笑顔を見たいんだ」とおっしゃったのが、すごく心に残っています。
完成した映像をご覧になって、その言葉通りの笑顔になっていた?
どうなんだろう……(笑)?自分ではわからないですけど、僕にそういう言葉をかけてくださったことがうれしかったです。
では、デビュー時から、お芝居への向き合い方で変化した部分はありますか?
大きくは変わっていないと思います。どの作品も一生懸命やって、自分の演じる役柄についていろいろと調べて。反省して、うまくいかなかったことがあれば、同じことをしないように復習して~ということの積み重ねです。ありがたいことにいろんな役に挑戦させていただいているので、毎回新しい気持ちで臨めるといいますか……毎回緊張するし、ドキドキするし。作品が完成して、世の中の反応をいただくまでは、自分のお芝居が合っているのかどうかわからない部分もありますけど、自分のなかでちゃんと昇華できるやり方を続けていきたいですね。
ある程度、ご自身でプランを考えて現場に臨むのですか?
そうですね。ただ、監督によってはこだわりの強い方もいらっしゃるので、その表現に合わせられるように、あんまりガチガチに固めすぎずに。その場で生まれたものも大事にして演じています。
台本の読み方も変わっていない?
うん、変わってないと思います。まず、頭からお尻まで読んで流れを把握したら、セリフをバーッと覚えて。朝起きたとき、お風呂に入っているとき、外を歩いているときにも違和感なくしゃべれるぐらいになるまで反復して。あとは、自分のなかでの役の印象やイメージを、全然違う角度からも見るためにスマホで検索して調べてみたりそうやって落とし込んでいく感じです。
理想の役者像はありますか?
うーん、特にないんですよね。いただいた役を一生懸命やるだけで……でも、充実した役者さんになりたいなと思います。作品に没頭できて、自分自身も達成感がある。そういう経験をどんどんどんどん積み重ねていきたいです。
今後、やってみたい役や作品は?
派手にドンパチやる役も演じてみたいですし、海外の作品みたいにフロリダへ行ったと思ったら、アジアへ行ったりヨーロッパへ行ったりといったように、劇中のなかでいろんなシチュエーションでお芝居をできるような作品にも参加してみたいですし。日本だけに収まらない、もっともっともっと規模が大きくて、ザ・エンターテインメントな作品にも挑戦してみたいです。
いずれは、海外作品への出演も?
そうですね。具体的なイメージはまだないですが、機会があれば挑戦してみたいです。
2019年11月に「FAST」にご登場いただいたときと同じ質問をするので、アップデートしていただけますか。「欠かせないものは?」という問いには「ごはん」を挙げていらっしゃいました。
今はサウナですかね。仕事があった日も休日も、ボーッとサウナに入っている時間がすごく休息になるので。僕にとって一番の癒しで、必要不可欠なものです。
「鈴木伸之の軸」として「直感」と答えていらっしゃいました。
フフッ。それは、変わってないかもしれない。やっぱり、“好きだな”とか“イヤだな”という気持ちは、頭で考えるよりも先にくる感情なので、ファーストインプレッションは大事にしています。
「座右の銘」には「粉骨砕身」と。
あー!子どもの頃に、野球チームのマネージャーさんが色紙に書いてくれた言葉ですね。今でもいい言葉だなと思いますし、変わらず座右の銘でもあります。
鈴木伸之
すずき のぶゆき
1992年10月14日生まれ。
作品に寄せたパキッと赤いバックにも負けない存在感を出してくれた鈴木さん。インタビューとは違って撮影ではとても漢らしく、かっこいい写真ばかりをカメラに収めてくれました。またスタイルも抜群の鈴木さんですが、着こなしも抜群で。グラデーションのニットもサラッと着こなされていて、服装もとても似合って素敵な佇まいでした。最後にもスマートにお辞儀をして退出され、漢らしくも真面目なお人柄でした。
最近の出演作に、テレビドラマでは、フジテレビ『バントマン』(‘24)、フジテレビ『忍者に結婚は難しい』(‘23)、映画では、『劇場版 ラジエーションハウス』(‘22)、『東京リベンジャーズ』(‘21)などがある。
©本宮ひろ志/集英社©2025映画
『サラリーマン金太郎』
キャスト:【暁】編
鈴木伸之
城田優 石田ニコル 文音 影山優佳
竹島由夏 米倉れいあ 山口大地 斎藤さらら 前田瑞貴 川合智己 佳久創
橋本じゅん 尾美としのり 浅野温子
榎木孝明
【魁】編
鈴木伸之
城田優 石田ニコル 文音 影山優佳
竹島由夏 米倉れいあ 山口大地 斎藤さらら 前田瑞貴 川合智己 佳久創
草川拓弥 水谷果穂 勝矢 斉藤陽一郎 八⽊将康 市川知宏
中⽥喜⼦ 本田博太郎 尾美としのり 浅野温子
榎木孝明
原作:「サラリーマン金太郎」/本宮ひろ志(集英社刊)
監督:下山 天 脚本:田中眞一
企画・製作:TIME 制作:楽映舎
主題歌:【暁】編:BALLISTIK BOYZ「Get Wild」 【魁】編:GENERATIONS 「Cozy」
配給:ライツキューブ ティ・ジョイ ©本宮ひろ志/集英社©2025映画『サラリーマン金太郎』製作委員会
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:下川真矢(BERYL)
スタイリスト:中瀬 拓外
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿