濱尾ノリタカ
写真集『H3O』
自分のベストが詰まった写真集になった
10月20日に1st写真集『H3O』を発売した濱尾ノリタカさん。タイトルに込めた思いから、この写真集撮影によって得た気づきまで、様々な角度から語ってくださいました。撮影時のエピソードを話し出すと、次から次へと思い出が溢れて止まらなくなるなど、思い入れの強さが伝わるインタビューです。
〈写真集『H3O』〉
沖縄で撮影されたという海辺でのシーンでは、学生時代、競泳の部活動に勤しんでいたという肉体美を披露。街歩きでのスタイリッシュなカットやベッドルームでのカットなど、実に多様な表情が見られる一冊となっている。常にカメラを持ち歩いていたというカメラマンが撮った、プライベートな表情も必見!
写真集のタイトル『H3O』には、
どんな思いが込められているのでしょうか。
“3”を左に90度回転させると、アルファベットの“M”になるんです。そうすると「HMO」になるので、“はまお(濱尾)”と読ませるという遊び心が詰まっています。ファンの方も、気づいていない方が多かったので、意外に難しいのかもしれません。
写真集のキャッチコピーが
「令和のリアルビーチボーイ」なので、
「H2O」からきているのかな、
というところまでは想像したのですが。
そうですよね。もともとタイトルは、編集担当の方が最初に「セレンディピティ」という、幸運とか巡り合わせといった意味がある言葉を案として出してくださったんです。今回の写真集は、僕が仕事を始めた当初から僕のことを見ていてくれて、ずっと僕のことを撮りたいと言ってくれていた方たちと一緒に作ったもので。何より僕が今こうして仕事をできているのも、応援してくださるみなさまのおかげであって、それも巡り合わせだよね、というところから、「セレンディピティ」というタイトルにしようと思っていたんです。
そこから、どういう経緯で現在のタイトルに?
水辺での撮影があったり、テーマも「リアルビーチボーイ」ということで、タイトルにも“水”を入れたいなと。そうなったときに『H3O』というタイトルをご提案いただいて。先ほどお話ししたように、“濱尾”と“H2O”にもかかっているし、“これだ!”と即決でした。
いろいろな思いを感じられる
ステキなタイトルですね。
もともと、46億年前に地球ができて、その地球からちょっとずつ水ができて、それをきっかけに海ができて、生物が生まれて……というように、水はすべての源なんですよね。『仮面ライダーリバイス』に出演したのが3年前で、その後いろいろな作品を経験させていただいて、今やっと俳優として土俵に立つことができた気がするんです。もちろん、これからもずっと仮面ライダーから学んだものを背負って進んではいくのですが、すべての源である水にかけて、「ここから始まるんだ」という意味も込めてこのタイトルに決めました。
写真集の撮影は
様々なシチュエーションで行われましたが、
ご自身での新たな発見はありましたか?
僕のお気に入りが、看板で水着部分を隠して全裸っぽく見せているカットなんです。ずっと一緒に仕事をしているスタッフさんとだからこそのナチュラルな表情になっているのですが、やっぱりちょっと恥ずかしさもあって。「なに、この構図!」とつい笑ってしまっている、みたいな顔をしているんです。先輩にちょっとイジられているときの顔に近いというか。そういう表情が写真に残ることはほとんどないですし、撮影から1年ぐらい経ち、もしかしたら今はもうあんな表情はしないかもしれない。まさに水の流れのように、日々変わる表情を収められたのはよかったなと思います。
ファンの方も、濱尾さんの
素の表情を見られるのはうれしいですよね。
そういう意味では、両手でピースしているカットも気に入っています。撮影が全部終わって、「アイス食べようか」となって食べているときに何となく撮ったものなのですが、そうやって何気なく撮ったときは、やっぱりいい顔をしているんですよね。
リラックスした自然な表情になりますもんね。
そうなんです。ほかにも、僕が階段から変な体勢で覗き込んでいるカットがあって。モードっぽい撮影のときにそういうシチュエーションで撮ることはあるのですが、カッコよくキメているものがほとんどです。でも今回は、遊びながらちょっとふざけた感じに撮れたのもよかったなと。あと、顔にがっつり寄っているカットは、カメラマンさんもスタイリストさんもヘアメイクさんも、みんなお上手だからこそ、これまで接写で撮ったなかで一番いいものになったと思います。本当に、自分のベストが詰まった写真集になりました。
写真集の撮影に向けて筋トレしたなど、
ひそかに努力したことがあれば教えてください。
僕、普段はできる限り筋トレをしないようにしているんです。ずっと競泳をやっていたこともあって、筋肉が大きくなりすぎてしまうので。なので水泳をやめた後は、健康のためということも含めてスポーツの一環としての筋トレしかやってこなかったのですが、今回初めて“見せるためのカラダ”を意識して筋トレをしました。
筋トレも、目的によって内容が変わるんですね。
撮影に備えてずっと糖質制限をしていたので、(撮影地の)沖縄に到着してすぐにブルーシールのアイスを食べたりしました。糖分を摂ると、すぐにパンプアップできるんです。あとは、着替えるためにホテルに戻ったときに、ベランダでゴムチューブを引いてパンプアップしたりとか。その甲斐あって、ナイトプールでのカットはカラダが仕上がっているかなと思うので、ぜひ見てほしいです!
プール以外に、海でも撮影したそうですね。
実は僕、プールや海で撮影した経験はほとんどなくて、ビーチで水に濡れながら撮るのも初めてだったんじゃないかな。海に行くこと自体、すごくひさしぶりでした。子どもの頃は家族旅行で海へ行くと、朝から晩までひとりでビーチで遊んでいました。『NARUTO』に出てくる螺旋丸という技があって。砂を握ったまま水中に飛び込んだときに、砂が手からこぼれていく様子がそれに似ているので、ひたすら「螺旋丸!」と叫びながら海に飛び込んだりとか(笑)。今回の撮影で砂を触りながら、そんなことを思い出してなつかしくなりました。
写真集発売にあたり、
「自分を見つめ直し、大きな気づきを得られた
貴重な機会でした」というコメントを
出されていましたね。
今回の写真集のスタッフさんは、昔からお世話になっている方ばかり。編集担当の方も、俳優・濱尾ノリタカとしてほぼ初めて雑誌に出たときに編集を担当されていた方で。その方たちとは『仮面ライダーリバイス』の撮影中にもお会いする機会があったのですが、「濱尾くんは自然体なところも素敵だけど、カッコつける機会も増えてきたね」と言われたことがあったんです。
仮面ライダーへの出演がきっかけで、
少し変化した部分があったと。
はい。たぶん仮面ライダーを経て、ちょっと身構えるようになってしまった部分もあるんですよね。だから、以前は自然にできていたことを、今は調整して“無意識を有意識でできるように”しているんです。今回の写真集でいえば、意識的に力の抜けた表情に見せるとか。そういった技術的なところを含めて、撮影期間中は自分を顧みる時間が多かったです。あとはファンの方のことや、この仕事をやっている意味みたいなこともすごく考えました。
その結果、どんな結論に至ったのですか?
正直に自分の気持ちを話したり、偽りのない姿を見せたりして、それを応援してもらうことが大事なんだと思うようになりました。自分のファンサイトで日記を書いているのですが、なるべく赤裸々に語るようにしたり、ちょっとポエミーな文も恥ずかしがらずに出すようにしたりすると、やっぱりファンの方が喜んでくださるんです。そういうことができるようになったのも、この写真集で自分と向き合ったからこそじゃないかなと思っています。
10月21日に行われた刊行記念イベントでは、
ファンの方と触れ合う機会もありました。
来てくださった方みんなが「ありがとう」と言ってくれるんです。それは僕のセリフだと思うのですが、こんなにお互いに「ありがとう」と伝え合う状況はなかなか体験できないので、うれしかったです。みなさんの「ありがとう」の言葉が響きました。
濱尾さんがファンの方を大切に思う気持ちが
伝わってきます。
普段、ファンレターで相談を受けることもあるんです。僕自身も哲学書をたくさん読んでいて、幸せについてや、“ツラさを乗り越えるには何が必要か”みたいなことをよく考えるのですが、今回のイベントでも悩みを話してくれる方がいて。普段は相談されても返すことができないけど、直接レスポンスをすることができたのはよかったなと思います。そういえば! 数日前に、中国から観光に来られた方と喫茶店でお話ししたんです。
面識のない方とですか?
そうです。たまたま隣に座っていた方なのですが、仮面ライダーがお好きだったみたいで、僕に気づいて話しかけてくださったんです。そんな偶然、なかなかないじゃないですか。結局、30分ぐらい話していたのかな。「会えてうれしい」と言ってくれて握手をしたのですが、その手がすごく温かくて。人の力をもらうということはこういうことだなと実感しました。写真集のイベントでも、みなさんとお話しして本当に元気をもらえたので。僕は今、人生で一番いい状態だと感じています。
濱尾ノリタカ
はまお のりたか
今回取材させていただいたのは、写真集の記念イベント終了後。少しだけ見学させていただいたのですが、ファンの皆さんとの全ての瞬間を丁寧に噛みしめているような姿が印象的でした。FASTのインタビューでも、しっかりと目を見て前のめりに話してくださり、何に対しても本当に誠実な方なのだと感じました。後編では、出演中のドラマのこと、2023年を振り返ってのお話など伺っております! お楽しみに。
1999年11月26日生まれ。
最近の出演作に、ドラマ『クレッシェンドで進め』(‘22)、舞台『幾つの大罪〜How many sins are there?〜』(‘23)、ドラマ『埼玉のホスト』(‘23)、『ブラックポストマン』(‘23)などがある。現在放送中のドラマ『マイ・セカンド・アオハル』に田上寛太役で出演中。
濱尾ノリタカ 1st写真集
『H3O』(エイチスリーオー)
撮影:土屋文護
価格:2,970円(税込)
発売日:2023年10月20日
ページ数:112ページ
サイズ:B5判(ソフトカバー)
出版社:講談社
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:Takeru Urushibara
スタイリスト:小段 智久
インタビュー:林桃
記事:林桃/緒方百恵