鈴鹿央士
抜群のスタイル、人懐っこい表情で魅了する姿はまさに「王子」
僕は“優しいおとな”になりたい
地元・岡山県でその才能を見出されて上京。初出演の映画で日本アカデミー新人俳優賞を受賞し、『ドラゴン桜』でのヒール役の演技も好評を得るなど、順調にそのキャリアを積み重ねている鈴鹿さん。劇的に周囲の環境は変わったはずだが、本人は自分のペースで生きていると無邪気な笑顔で語る。そしてその言葉通り、鈴鹿さんには常に自由な雰囲気が漂っていた。話題の俳優として世間から注目を集める彼が今、気になっていること、興味のあること、大切にしていることに迫ってきました。
趣味は読書という鈴鹿さん。
本はよく読まれるんですか?
小説とかではなく、哲学書をよく読みます。最近、エーリッヒ・フロムさんが書いた『愛するということ』という哲学書を読みました。読もうと思ったきっかけは『ドラゴン桜』で藤井遼という役を演じて、“愛されるって何だろう”と考えていたんです。そんなときにInstagramで“愛されるためには・人に愛される方法”という投稿を見つけました。周りが東大受験を応援されている中、1人だけ「東大に受かってほしくない」と視聴者の方に言われていたのもあって、愛を欲していたのかもしれません。哲学の本は教科書とかではないので、ここに書いてあることが全て正しいとは限らないという思想が面白いんです。僕は色々考えながら読むのが好きなんですよ。この本を読んで愛を求めていた自分が“人を愛するにはどう生きていこうか”と考えをスイッチすることができました。
やはり『ドラゴン桜』での経験は大きかったですか?
とても良い経験になりました! 藤井遼という役との出会い、作品を通して出会った人たち。仕事面でも自分の交友関係でも良い出会いがたくさんありました。本当に色んな意味で貴重な現場になりました。
鈴鹿さんは演じるときに作品のことを
深く考えていると思うのですが、
それは映画を観るときも同じですか?
この前も『ロマンスドール』という高橋一生さんと蒼井優さんが出演されている映画を見ました。演技が凄くて「役が生きている」と思いました。僕も俳優として作品に参加していますが、監督よりも知識もないし全体も見えていない。でも、皆さんと同じように見る側の感覚も持ち、作り手側の感覚も持っている今、自分は面白い立ち位置にいるんじゃないかと思っています。もちろん作り手側100%の立ち位置になりたいという気持ちもあります。ただ、そうしたら映画の見方も変わって素直に映像綺麗だなとか、面白いなと楽しめなくなるのかな?とも思うので、僕としては今のちょうど良いポジションでこれからも色んな作品を見たいなぁと思っています。
ただ、たくさん映画の知識をつけて、カメラワークの意味も全部理解して、映っていること全ての意味が分かっている人にもなってみたいです(笑)。
鈴鹿さんはしっかりとした考えを持ちつつも、
独特のリズムをお持ちですよね。
自分のペースで生きています。頑なにキープしようとは思っていないんですけど、これはもうブレないですね。岡山で過ごした18年間が強すぎて東京に飲まれる気が全くしないです(笑)。ずっと岡山ラバーでいようと思っていますね。東京タワーとか見るとやっぱ東京すごいな、とは思います。でも、なんだかんだ地元が好きですね。
今、俳優として理想のステップアップをされていますが、
目指したい俳優像はありますか?
“ちょっとずつ進んでいこう”というのはずっと意識しています。良い作品に出会えているので、これからもこのペースでいければ嬉しいですね。俳優というより、人として、“優しいおとな”になりたいと思っています。シンガーソングライターの河島英五さんの『時代おくれ』という曲にそのヒントがあるので、『時代おくれ』の歌詞のような男になれるように頑張っています!今ここで歌詞を言ったら面白くないと思うので、こういう言い方にしておきます(笑)。
鈴鹿央士
すずか おうじ
2000年1月11日生まれ。
インタビュー時にペン型の録音機に興味津々だった鈴鹿さん。いきなり無邪気な表情で場を和ませてくれました! インタビュー中も常に柔らかい雰囲気で、ひとつ一つの質問に身振り手振りを加え、丁寧に答えてくれて好印象。撮影では非常にリラックスして、時々ふざけたり、撮影現場も笑顔に溢れていました!ベビーフェイスに反して高身長でスタイルも良く、表情がジェットコースターのようにコロコロ変わり、魅力的なお写真が撮れました!
『かそけきサンカヨウ』
10月15日(金)より新宿テアトルほか全国ロードショー
監督:今泉力哉
原作:窪美澄『水やりはいつも深夜だけど』角川文庫 所収「かそけきサンカヨウ」
出演:志田彩良 井浦新 鈴鹿央士 中井友望 鎌田らい樹 遠藤雄斗 石川恋 鈴木咲 古屋隆太 芹澤興人 海沼未羽 鷺坂陽菜 和宥 辻凪子 佐藤凛月 菊池亜希子 梅沢昌代 西田尚美 石田ひかり
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:金田紗世子
ディレクション:半澤暁
インタビュー:山根将悟
記事:山根将悟/近谷奈生