木戸大聖
写真集『HANA-UTA』
「一人の人間が生きている時間の流れを感じてほしい」
©ワニブックス刊/『HANA-UTA』
昨年放送されたドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』やNetflixシリーズ『First Love 初恋』で世の女性たちを虜にし、先日最終回を迎えた金曜ドラマ『9ボーダー』では優しくて気が利く三姉妹の幼なじみを好演した木戸大聖さんが満を持して「FAST」に初登場! 自身初となる写真集『HANA-UTA』(7月1日発売・ワニブックス)を7月1日に上梓します。写真集に込めた思いや写真で表現することの面白さと難しさなどをお聞きしました。
木戸さんからはどんなアプローチをして今回の撮影に臨みましたか?
今回の写真集は「ブーゲンビリア」という白い花が一つテーマとしてありました。自然の中に存在する花を使って色々できないか試してみたんです。
例えば、南国の花であるブーゲンビリアをあえて冬景色の中に入れ、その「異色さ」みたいなものの中に自分がいた時に、どんな自分がいて、ちゃんと溶け込んでいるのか。その場やイメージした空間に合わせて「どういう自分がそこに存在するんだろう」ということはそれぞれのロケ地ごとに意識していました。
ブーゲンビリアが一つの軸になっていたのですね。
撮影に入る前の段階からそのお話をいただいていたんです。しかもブーゲンビリアの花言葉が「あなたは素敵です」と知って、本当に素敵な言葉だなと思い、今回のファースト写真集の大枠に決めました。
様々な写真の中でも、夜の街にたたずみ、その後バーでお酒を片手にして、最後は寝落ち(?)されている一連のカットにどこか物語性を感じました。
今仰っていただいた感想が、まさしくこのカットの狙いでした。あるバーに1人の男が表れて、何かに葛藤していたり、ちょっと堕落していたり。例えるなら『人間失格』の太宰治みたいだねと現場でも話していたんです。でも人間、そういう時ってあるし、決して常に完璧ではない。それがまた美しかったりすることもありますよね。撮影で使わせていただいた店内のライティングも素敵だったし、東京にはあまりないような雰囲気だったので、そういうところからインスピレーションやヒントをもらいながらイメージして撮影していました。
1人でバーのカウンターでお酒を飲むことは、すごく大人なイメージがあるのですが、実際に撮影でこういう経験をされてみていかがでしたか。
今僕は27歳。これからもっと大人になっていく段階なのですが、演じる役もあいまってか、割と年下に見られることが多いんです。でも、こういうちょっと大人っぽい色気のあるような雰囲気の写真で「木戸大聖にもこういう表情や一面があるんだ」と気づいてもらいたいので、ここのカットは僕としてもぜひ見てもらいたいですね。
「写真」で表現することの面白さと難しさを、それぞれどんなところに感じられますか?
写真だと言葉で補足することができないので、何かを表現したり、心の中にあるちょっとした感情を出したりするには表情だけで見せなきゃいけない。あとは「こう見せたい」という思いが強くなりすぎると、表情にも力が入りがちになってしまうことがあるんです。
実は夜の街で撮影した時も、最初は色々なイメージが膨らみすぎて力が入ってしまったのですが、途中で「もう少し力を抜いていいよ」といってもらった後のカットを使ってくださっていて、やっぱりちょっと力が抜けている方が自然だし、見ている方も様々な想像を膨らますことができるなと思いました。見る人に「余白」を残して渡すというところは、写真の面白い部分だなと思います。
改めて、この写真集はご自身にとってどんなものになりましたか?
僕としても「自分なんだけど自分じゃない」って思えちゃうくらい素敵な写真集になったと思っています。1ページ1ページに時間をかけて、紙の質感や細部にも色々なこだわりが詰まっているので、写真集だけど写真集じゃないというか。ちゃんとそこにストーリーがあって、1人の人間が生きている時間の流れみたいなものがそこにあるなと感じられる。そんな他にはない写真集になったと自負しています。
木戸大聖
きど たいせい
1996年12月10日生まれ。
丁寧にお辞儀されて登場し、第一印象からもとても誠実な登場だった木戸さん。インタビューでも、写真集のお話を真剣な眼差しでこちらにしていただいたのがとても印象的でした。実際に作るまでの工程も工夫されたことも丁寧にお話をされ写真集を作るにあたってたくさんの人と向き合いながら、こだわって作られたのがすごく伝わりました。また様々なメディアで受ける印象通りの方で、インタビュー中も周囲に対しても変わらずお優しく、親しみやすく、そしてお仕事に対する姿勢はとても真面目な方でした。後編では最近の木戸さんについてと写真集にちなんだことを迫っております!お楽しみに!
最近の出演作に、テレビドラマでは、CX「海のはじまり」(‘24)、TBS『9ボーダー』(‘24)、テレビ朝日『万博の太陽』(‘24)、フジテレビ『高額当選しちゃいました』(‘24)、テレビ朝日『ゆりあ先生の赤い糸』(‘23)、映画では、東宝『きみの色』(‘24)8月30日公開予定、『先生!口裂け女です!』(‘23)、写真集、『HANA-UTA』(ワニブックス)7月1日~などがある。
©ワニブックス刊/『HANA-UTA』
<書誌情報>
木戸大聖 1st PHOTOBOOK 『HANA-UTA』
撮影:田尾沙織
ワニブックス刊
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:速水昭仁
スタイリスト:田中トモコ(HIKORA)
衣装協力:パラブーツ青山
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿