【永田崇人】ドラマ『カラフラブル～ジェンダーレス男子に愛されています。～』今を生きる〈覚悟の人〉たちへ

FEATURE

2021年5月17日

永田崇人

ドラマ『カラフラブル

～ジェンダーレス男子に愛されています。～』

今を生きる〈覚悟の人〉たちへ

物語の“悪役”に感情移入するようになったのはいつからだろう。幼い頃は当たり前にヒーローやヒロインになれるものだと思っていたし、彼らを邪魔する一切に対して嫌悪感を抱いていたのに。いつからか“ライバル”や“悪役”のキャラクターに自分自身の想いを代弁してもらうことが増えたように思う。私たち一人ひとりに唯一無二の人生があるように、登場人物の一人ひとりにもかけがえのない歩みがある。ゆうたんもその一人。彼の哀しいほどに強い〈覚悟〉と過去の〈涙〉を知る時、誰しもの中にきっとある“忘れられない傷”がゆっくりと癒えてゆくはず－

ドラマ『カラフラブル

～ジェンダーレス男子に愛されています。～』

＜あらすじ＞

「きみといれば、世界はカラフル」カワイく新しい、“眼福”カップルが爆誕！主人公は、一生懸命働くあまり自分自身には手を抜きがちな新米漫画編集者「和子（わこ）」。そんな彼女が出会うのは、メイクもファッションも完璧！な美しすぎる男「周（めぐる）」。一緒に歩いていたら“姉妹”と間違われるようなカワイイふたりが距離を近づけていく。カップルとなってからのハッピーなやりとりや同棲エピソードに、“ほっこりキュンキュン”。さらに、天上天下唯我独尊なイケメンモデル「キラ」。心は揺らさない、常に笑顔なバリキャリ女性編集長「あさひ」など、個性豊かすぎるキャラクターたちが織り成す群像劇！

＜ゆうたん＞

タレント。奇抜な衣装と独特の口調で、子供向け番組の歌のお兄さんをやっている。

ゆうたん × 永田崇人

台本を読む前に「歌のお兄さんで、最初は嫌なヤツだけど良いヤツになるよ」というサラッとした情報だけ聞いていました。実際に演じてみて思ったのは、視聴者の方や監督も仰っていたんですが「和子ちゃんに助けられなかった周くん」だな、ということ。大きな枠で考えるとゆうたんと周くんは違う部分があるけれど、ゆうたんにも和子ちゃんみたいな人がいたらきっと違ったんだろうと思います。ゆうたんは周くんの対比というか、本当に逆の立ち位置に立っているんですよね。

ゆうたんのエゴサへの考え方について、

大きく頷いたんですが

実際に永田さんはエゴサされますか？

します。やっぱりエゴサで嬉しい意見を見つけた時は「嬉しい！」とテンションが上がりますね(笑)。僕自身のことを書いていただけるのももちろん嬉しいんですが、作品やお芝居のご意見をいただけるのも励みになります。この期間になってファンの皆さんと直接お会いできる機会が少なくなってしまったので、こういった形で声をキャッチできるのは有難いです。お手紙を事務所に送って下さる方もいて、本当に感謝しています。

板垣さん（板垣李光人）とぶつかり合うシーンに

心揺さぶられました。

撮影時のエピソードはありますか？

監督の熊坂さん（熊坂出）が「自由に大胆に全部を好きに使っていいから！何したって全部撮るから！」と言ってくださって、本当に自由にやらせていただきました。細かく段取りをつけながら「テストの時に感情を出したら枯渇しちゃうから止めといてね」と言われ、テストなしの本番一発勝負で撮影しました。

永田さんの感情が爆発したことをフックに

板垣さんが動かれる、

といった動き方だったと思うのですが

板垣さんとのお芝居はいかがでしたか？

李光人くんがしっかりと受け止めてくださったので、化学反応が起きているのを感じられてすごく楽しかったです。ピタッとハマったというよりはお互いにパンッ！と爆発して。僕らのその芝居を監督がすごく上手に撮ってくださって完成した大事なシーンです。

周くん以外には

一貫して『ゆうたん』であろうとする姿に

胸が打たれました。

周くんに対してだけは本心を見せたけど、本来は絶対に自分の本心を他人に見せない子だと思うんです。周くんが癪に障りすぎて、ゆうたんとしての体裁を繕ろえない部分まできちゃったというか。言ってみれば周くんにしか出せない一面だったんですよ。あの場に違う人が1人でもいたら、きっとゆうたんであり続けようとする。それってすごくしんどいですよね。周くんは「自然体でいいよ」と言われているのに、ゆうたんは頑張って作り上げてきたものを「よくない」と言われてしまって。ゆうたんの中でのキャパを越えてしまった瞬間だったんです。

Message from

『カラフラブル

～ジェンダーレス男子に愛されています。～』

和子ちゃんの「人と違うからいいんじゃん」という感覚ってすごくいいな、と思っていて。今回ゆうたんは、いまだ社会的に繊細で難しい部分が残っている同性愛者という役どころだったんですが、そのことが「ありのままでいちゃいけない理由」には絶対にならない。その想いが届けばいいな、と思って演じていました。今回、熊坂さんのワークショップを受講した時にセルフコンパッションというワークを受けて「自分が自分であることを認めて自分を好きになる、その寛容さを持ってあげる大切さ」を学んだんです。僕自身、自分が嫌いなわけではなかったんですが、自分と向き合うためのヒントになった気がしました。その考え方に結構救われて、少しずつ前に進めるようになってきたんですよね。きっとこのメッセージを知るだけで悩みが軽減される人がたくさんいらっしゃると思うので、この作品が誰かの心に触れることを願っています。

Highlight of ゆうたん

ゆうたんって、実際にあそこまでひどいことをする人はいないにしても、数としてはゆうたんみたいな人って多い気がするんです。周くんがヒーローだとしたら、ゆうたんは現実味があるキャラクターというか。共感できるポイントもあると思うので、そういったところに注目しつつ観ていただければ、と思います。