小林 虎之介
不器用なので、人よりも努力しなきゃいけない
2021年に俳優デビュー後、ドラマ『下剋上球児』にレギュラー出演、ドラマ『ひだまりが聴こえる』ではW主演を務め、注目を集めた小林 虎之介さん。2026年前期NHK連続テレビ小説『風、薫る』のほか、10月スタートのドラマ『俺たちの箱根駅伝』にも出演が決定するなど、今後の飛躍が期待される彼に、役者という仕事に対する思いや近況などを伺いました。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』をご覧になって俳優という仕事に興味が湧き、その半年後には俳優養成所を見つけ、大学をやめて上京したそうですが、そうした行動力は昔からあったのですか?
昔からすごい行動力があったわけではないんですけど。僕がこの仕事に興味を持ったのが、大学2年生のときだったんです。あと2年間、まったく関係のない学問を学ぶというのは、時間がすごくもったいないなって。学歴にこだわりがあるわけでもないし、どちらかといえば、この業界は実力主義というか。学歴が重視されるジャンルもあるかもしれないですけど、基本的にはどれだけ秀でた能力があるかだと思ったので、すぐに大学を辞めました。
もしも『ボヘミアン・ラプソディ』に出会っていなければ、役者になっていなかったかもしれない?
なってないです。もしかしたら、ほかに“うぉー!”となるくらいの作品に出会っていたかもしれないですけど。役者になっている可能性は、限りなく少なかったと思います。たぶん、地元の食品メーカーとかに就職していたんじゃないですかね。
結果として、今の状況でよかったと思いますか?
はい。当時のなあなあに過ごしていた人生にくらべたら、よかったと思います。
いろいろなインタビューを拝読すると、小林さんは確固たる意志をお持ちのように感じますが、仕事をするうえで大事にしていることは?
直感?自分が“あっ、この作品に出たい”とか“こうしていきたい”とか“これが正しい”と思ったことを、信じるっていう。

その結果も含めて、自分の直感は信じられるということですよね。
はい……信じてます!
また、「演じているうちに、僕自身の考え方や価値観も変わってくる」ともおっしゃっていました。
ヤンキー役とかは、特にそうです。『宙わたる教室』もそうだし、『下剋上球児』もそうかな。まだ公開される前の作品(『ヤンドク!』)でもヤンキー役をやっていたりするんですけど、日に日にヤンキー心が芽生えてきちゃって(笑)。負けん気が強くなってきたので、すごく気弱な役とかをやって、フラットにしたい気持ちもあります。
最近、負けん気を感じた瞬間があれば教えてください。
負けん気とは違いますけど、信号無視をして横断歩道を渡っている人とかを見ると、恥ずかしくないのかなって思います。人として恥ずかしいことはしたくないです。
でも、芸能界で活動するうえで、負けん気というのは必要なものでは?
そうですね。でも、負けん気の強い方が多い気もしますけど、マイペースな方もたくさんいますし。必ずしも必要だとは思わないです。

小林さん自身は、今は穏やかな心を欲している?
そうですね。だから最近は、1人でふらっと出かけたりします。
直近だと、どこかへ行きましたか?
目的もなく、北の方へドライブしました。昔ながらの家族経営みたいなお店に入って、定食を食べて。また、ふら~っとドライブして、最後に温泉に入って帰るっていう。
いいですね!
その少し前に、箱根に行ったんです。そうしたら、観光客が多くて渋滞もスゴいし、時間もかかるしで。そういうところより、誰も知らないような場所に行きたくなったのがきっかけなんですけど。すごくいい気分転換になりました。
そういった旅の際にも、カメラを持っていくのですか?
はい、基本的には。持っていても、撮らないときもありますけど。

小林さん出演作品の感想を綴った方が、noteのタイトルを「小林虎之介さんに脳を焼かれた」としていて、とても印象に残ったのですが……。
えーっ、そうなんですか!?
そんなふうに表現されるほど小林さんのお芝居に惹かれている方がいることを、どう感じますか?
いやぁ、不思議な感じです。感動させてやろう!とか思って芝居をしているわけじゃないですけど。そう思ってくださる方がいるというのは……僕が『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリーを見て感じたのと同じようなことが起きているってことですもんね。それはうれしい半面、今後の作品も期待して観てくださるだろうから、その期待を超えられるように、次もがんばらないとなって思います。
ご自身では、役者としての強みはどこだと思いますか?
同世代の役者の人たちを見ても、たぶん誰よりも真面目だと思います。作品に対しても、人の倍は準備をするし。
準備というのは、具体的にどんなことを?
カラダづくりが必要な役だったら、とことんやりますし。役について必要な知識とかも、とことん調べるし。それが当たり前だと思っていたんですけど、意外に当たり前ではないことに、最近気づきました。でも、僕もすることがないから、そういうことに時間を費やしているだけなんですけど。ゲームとかにハマっているときは、そういうもので気を紛らわせられるんですけど、最近は特にないので、ずっと調べ物をしたり、カラダをつくったりしているだけで。不器用なので、人よりも努力しなきゃいけないと思っています。

おそらくストイックと評されることも多いと思うのですが、ストイックであることがキツいと感じることはないのですか?
いや、キツいっす。もう少し柔らかくいたいです。
演じている役が抜けないこともある?
役が抜けないことはあまりないですけど、抜かないことはあります。
あえて。
はい。でも、キツいと感じるときもあるんですけど、“人の人生を生きるんだから、そのくらいするのは当然だろう”とも思うし、そこまで突き詰められないことも全然あるんです。なかなか噛み合わなくて、とか。作品やシーンにもよるし。そういうときもあるけど、なるべくがんばりますっていう。

少し前のインタビューを拝見すると、2026年のお正月は帰省できなそうだとおっしゃっていましたが、地元でお正月を迎えるときは、決まった過ごし方がありましたか?
元旦は、夜中の2時から友達に連れ出されて、神社でおみくじを引いて。その後、複合型ネットカフェで、日が昇る1、2時間前まで永遠にダーツとビリヤードをして。最後は、毎年同じ場所で日の出を見るというのがお決まりでした。
決まったメンツで?
決まったメンツ3人で。
それができないのは、寂しいですね。
でも、ちょっとホッとしているところもあるんです。というのも、1人はすでに結婚していて、もう1人もこの2月に結婚するので、独身が僕だけになっちゃうんです。(この過ごし方を)いつまで続けるんだろうと思っていたところなので。
地元の岡山県に帰省した後、東京に向かう際は、武装するような感覚もありますか?
新幹線で移動しているときに、心のなかでスイッチが入ります。

地域でいうと、だいたいどの辺りで?
名古屋ぐらいになるんですかね。車窓を見ながら、“よしっ、仕事をしにいくぞー”みたいな。
近いうちに帰省する機会があるといいですね。
そうですね。今は、甥っ子の成長を見るのがすごく好きなので。まぁ、帰りすぎても「帰りすぎだ」と言われるので、ほどほどに(笑)。

小林虎之介
こばやし とらのすけ
1998年2月12日生まれ。
撮影ではついつい座ったり立ったりといろんなポージングをお願いしたのですが、どんな要望にも明るく答えてくださって、物腰の低く、気さくな印象を受けました。また撮影中にしゃがむ体制をお願いした際は、「身体が硬いんです」と周りにひと笑い起こしてくださり、撮影でも和やかにしてくださった小林さんでした。これからもお芝居や役作りに対してストイックに臨まれていても、周りに対しては常に明るく優しい小林さんのご活躍を応援しております。初登場ありがとうございました。
最近の出演作に、テレビドラマでは、テレビ朝日『科捜研の女 ファイナル』(‘26)、フジテレビ『ヤンドク!』(‘26)、日本テレビ『恋は闇』(‘25)、NHK『宙わたる教室』(‘24)、映画では、『生きがい IKIGAI』(‘25)などがあり、今後2026年度前期放送予定の『連続テレビ小説「風、薫る」』、10月期ドラマ『俺たちの箱根駅伝』の出演を控えている。

連続ドラマW-30
『ながたんと青と -いちかの料理帖-2』
2月20日(金)より毎週金曜 夜11:00~WOWOWにて放送・配信スタート
出演:門脇 麦 作間龍斗(ACEes)
小林虎之介 恒松祐里 久間田琳加 白石隼也/中村 蒼 戸田恵子
原作:磯谷友紀『ながたんと青と―いちかの料理帖―』(講談社「Kiss」連載)
監督:松本壮史 市岡 歩
脚本:川﨑いづみ
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
スタイリスト:青木紀一郎
ヘアメイク:堤紗也香
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿
