若林拓也
映画『私をくいとめて』
「自分らしくていいんだ」
我が道を駆け抜ける“カーター”から学んだ美学
FASTピックアップの「NEXT BREAK」の
言葉を届けるこのコーナー。
今回はモデルとして
活躍しながら俳優という
新たな荒野に歩みを進める23歳の
若林拓也さんに迫りました。
映画『私をくいとめて』
<あらすじ>
黒田みつ子(のん)、31歳。平日は会社員として働き、休日はイキイキとおひとりさまライフにいそしむいまどきの独身女性だ。みつ子が一人でも楽しく生きていられるのには、ある秘密がある。それはいつからかみつ子の脳内に生まれた、頼れる相談役=Aの存在。人間関係はもちろん、ちょっとしたご近所トラブルに至るまで、Aはいつだってみつ子の問いに正しい答えをくれる。
Aと一緒に過ごす平和でゆるゆるとしたおひとりさまの毎日。何かが足りないのは分かっているけど、決定的に不足しているものもない。そんなみつ子の日常に突如舞い降りた、久々の恋!それは会社を度々訪れる、年下の営業マン=多田くん(林遣都)。実はご近所さんだとわかってからは、定期的にみつ子の部屋を訪れてはうやうやしく手料理をもらっていく関係。そんなつかず離れずの微妙な仲をかれこれ1年ちかく続けているのに真面目な多田くんは決して部屋に上がろうとはしない。「20代じゃないんだよ?付き合ってもない年下の男を遊園地なんかに誘えますかい!」おそらくは両想いだろうと信じながらも、なかなか多田くんとの関係を進める勇気が持てず、20代と30代の恋愛の違いを痛感するみつ子。ひとりに慣れ過ぎたみつ子だがAと共に勇気を振り絞って、失敗したら巨大なダメージを負う31歳 崖っぷちの恋に踏み出そうとする……。
<カーター>
愛しのセニョール。ノゾミさん(臼田あさ美)の想い人。
カーター × 若林拓也
服装が奇抜なところや颯爽としている人だという表現は原作でも描かれていたんですが、「普段の彼はどういった人で、家族とどう接しているのか」などのパーソナルな部分は自分なりに考えました。社会に出ている時は気を張って張り切っているんだろうな、とか(笑)。あとは、登場した時の彼と後半のデートシーンでの彼のギャップを感じていただけるように意識していました。「ナルシストな部分はあっても、全く周りを見ていない人ではないんだな」と、観てくださる皆さんのカーターヘの信頼を回復出来るように(笑)。
なんだか憎めない人ですよね(笑)。
カーターの奇抜な服装は
どんな風に決めていかれたんですか?
打ち合わせの時に何個かコーディネートされているものがあって、「派手ですね!」と、僕、めちゃくちゃテンションが上がって(笑)。スカーフなどの小物はスタイリストさんと話し合って決めました。
スカーフを払いのける仕草、素敵でした(笑)。
ご自身で裏設定を考えられたと仰っていましたが
何か教えていただける裏設定はありますか?
スカーフは勝手に体が動いていて、カーターとして払いのけていました(笑)。カーターの裏設定は「マザコンなんじゃないかな」とか(笑)。「家にいる時は会社にいる時とは別人なんだろうな」とイメージしていました。
そう言った意味ではノゾミさんの
尽くしてくれる部分が
カーターには響いた?
そうなんですよ(笑)。ノゾミさんはカーターの心の開く部分をダイレクトに開けたんだと思うんですよね。監督ともそういった話をしていました。「何でもしてくれちゃう人だから、きっとそこに惹かれたんだよね」と。
監督さんとご自身との解釈の一致、
気持ち良さそうですね。
モデルとしてご活躍されている若林さんですが
俳優のお仕事は今後もやっていきたいですか?
そうですね。俳優の仕事って「新しいことを追求していく仕事」だと思っているので、それを踏まえて、最近はジムに通い始めたり、ギターを始めたりと「出来ることを増やす期間」を設けているんです。スポーツ選手や熟練の職人さんのような長期間をかけて作り上げていく役をやってみたいな、と思っています。
役としても“プロ”ってことですね。
そうそう。例えばプロボクサーの役だったら、本物のボクサーの方のようにめちゃくちゃ身体を絞った上に、ボクシングも実際のプロの方がやっているように見えないといけないわけじゃないですか。その為には“プロ”としての練習が必要になってくる。普通に過ごしていたら交わらない経験と出会えるのってすごく素敵なことだと思うんです。
ちなみに今回の役、
カーターから学んだものはありましたか?
カーターを演じている時、「より多くの視線を引き付けてやろう」と思ったんです。彼の少し変わっているところも彼にしかないキャラクター。カーターとしては「これが俺だ」と胸を張って生きているだけなのに、それが人の視線を引き付けちゃう。自分が俳優として生きていく中で、どこかで「つくろわないと」と思っていた部分があったんですが、彼に出会って「周りの人と違うなら違っていいし、自分らしくいていいんだ」と学ぶことができました。
Highlight of 映画『私をくいとめて』
作品の見どころは、一見「ずっとコメディーなのか」という雰囲気を漂わせつつも、みつ子が今の世の中に紐づきやすい“おひとり様”として人と関係を築いていくところと、その一方で「おひとり様でいることはそんなに悪いことじゃないんだよ」というメッセージもしっかりと込められているところ。観終わった後にこの作品で元気になってもらいたいですね。僕個人の見どころは「服のカラフルさ」。ちなみにお気に入りは東京タワーへ行った時のジャケットです(笑)。服装だけ見たら「やばい人」なんですが、そんなに引くほどやばい人じゃないので、カーターも愛していただけたら嬉しいです。
若林拓也
わかばやし たくや
1997年3月1日生まれ。
寡黙な佇まいの裏に秘めたチャレンジャー精神、“追求”という種から新たな自分らしさを開花させてゆく23歳。
映画『私をくいとめて』
2020年12月18日(金)ロードショー
脚本・監督:大九明子
出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 片桐はいり 橋本愛
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー・記事:満斗りょう