倉悠貴
「片思いでも、人を好きになるってすごく素敵なこと」
8月22日から公開中の映画「隣のステラ」に出演している倉悠貴さん。インタビュー後編では、海外作品を含め、現在放送中のNHK連続テレビ小説「あんぱん」で高知新報の編集局記者と、俳優としての頭角をめきめきと現している倉さんに、この半年間での変化や「隣にいてほしい」と思う人のこと、また、おすすめの映画や、前回一緒にご登場いただき、本作の共演者でもある西垣匠さんへのメッセージもいただきました!

前回のインタビューで「最近はいろいろな才能を持った人たちに出会えることがこの仕事の魅力だなと思うようになりました(中略)どんなクリエイティブなことができるかは現場ごとに違うし、自分も成長していけるんです」と仰っていましたが、あれからまた出演作を重ね、この半年間で出会った作品や現場から、ご自身にどのような成長や変化を感じていますか?
この半年間で、これまで以上に映画をたくさん見るようになりました。それも仕事のタイミングによるものなのですが、映画が好きでこの仕事をやっているので、そのための引き出しみたいなものやお芝居の幅が増えたかなと思っています。
あとは、徐々にですが落ち着いて現場にいること、その作品に合ったお芝居ができるようになれてきたかなと思います。
元々落ち着いていて、しっかりされているなというイメージがあったのですが、倉さんも現場でソワソワするようなこともあったのですね。
本当ですか?実はそんなこともなくて、若さゆえのミスみたいなこともたくさんしてきました。だから、これからは少しずつ大人の渋さや深みみたいなものを出せていける時間を過ごしていけたらいいですね。

今回の映画のタイトルにかけまして、倉さんが「隣にいて欲しいな」と思うのはどんな人ですか?
僕の趣味が映画や陶芸など、あまり人が踏み入れない領域にも踏み入れたりすることも好きなので、そういうことを理解してくれる人がそばにいてくれるとすごくいいなと思います。「それって変」と思わず自分の趣味に付き合ってくれるって、もうその時点ですごく素敵なことじゃないですか。そういう風に、一緒に同じものを同じような気持ちで感じてくれる方がいいなと思います。
本作は、幼なじみでありながら“芸能人と一般人”というもどかしい関係の2人の、近くて遠い恋が描かれていますが、片思いの良さはどんなところだと思いますか?
この映画もそうですが、やっぱり付き合うまでが一番ドキドキ、ワクワクすると思うんです。それも片思いの醍醐味だし、その思いが実る・実らないは関係なく、人を好きになるって、すごく素敵なことだと思うんです。それに「好きです」って言ってもらえることも嬉しいですし、片思いでも素敵だなと思います。

今回は王道の恋愛映画でしたが、倉さんがお好きな恋愛作品を教えてください。
これは特殊な映画でもあるんですけど(笑)、「クラッシュ」(1996)という自動車事故により性的興奮を覚える男女を描いた作品で、カンヌ国際映画祭では賛否両論がありながらも、審査員特別賞を受賞しているんです。結構バグっているように思うのですが、見ているとそれが至って普通のことに見えてくるというか、素敵に見えるところもある作品なんです。
それは気になりますね!映画好きの倉さんに、ぜひほかにもおすすめ映画があれば教えていただきたいです。
フランスとイタリアが共同制作した「白夜」という男女の恋を描いた映画があって、それも結局は実らないんですけど、すごくリアルなんです。特に、マルトという女性が赤いスカーフを店から万引きするシーンがめちゃくちゃかっこいいので、ぜひ見てほしいです。
あとは、僕が出演する深田晃司監督の「恋愛裁判」という作品が来年の1月に公開するのですが、これはすごくおすすめです!この作品は本当にいい作品だなぁと思うし、第78回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門にも正式出品されたので、ぜひこちらも劇場で見ていただけると嬉しいです。

今後演じてみたい役や、出てみたい作品はありますか?
今公開されているものとは別に、ダークな世界観の作品を最近あまりやっていないなと思うので、やりたいですね。あとは、実際に起こった事件をもとにした作品をやることによって、演じる側もひとつ重いものを抱えながらやることになるじゃないですか。
実際に起きた事件を題材にする場合、出演するキャストの方の覚悟も、相当なものがおありですよね。
そうですね。例えば、今上映している(インタビューは8月上旬)1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を映画化した「桐島です」とかもそうですが、責任感が伴うような、演じる覚悟が必要な作品に出てみたいなと思います。

さて、前回、映画「六人の嘘つきな大学生」で一緒に「FAST」にご登場いただいた西垣匠さんとは、今回は残念ながら同じシーンがありませんでしたが、実はこの後、西垣さんにも取材させていただくので、ぜひ倉さんから西垣さんへ、完成した作品をご覧になった感想や、メッセージがありましたら!
西垣くんが演じた新堂の「他人を演じる役者だからこそ自分の心を大事にしなきゃダメだよ」というセリフが、僕がこの映画で一番好きなセリフなんです。とてもいい言葉だし、まさに僕たちに言っているんじゃないかっていうくらい刺さったので、そのセリフがすごく好きだったということをお伝えしたいですね。
新堂は芸能人の役なんだけど、ちゃんと「西垣匠」ではなく、ひとりの芸能人に見えたので、やっぱり素敵な俳優さんだなと思っています。「六人の嘘つきな大学生」でもご一緒しましたが、またいつか共演できたらいいなと思っています。

倉悠貴
くら ゆうき
1999年12月19日生まれ。
撮影では、作品に合わせた煌びやかなパターンとモノクロで渋くカッコよく雰囲気を撮影しました。周りからも「かっこいい」と大絶賛の中、少し心配そうにこちらを見つめる倉さんはすごく可愛らしかったです。撮影でもご自身で常に考えられていて、しゃがんだり、座りまで色々考えてこちらにも提案をしてくださり、とてもスムーズに撮影することができました。これからも、すごく落ち着かれているようで、実はとても周りと打ち解けるのが上手な倉さんの益々のご活躍を応援しております。
約半年ぶりのご出演ありがとうございました!
最近の出演作に、ドラマでは、Disney+Star『ガン二バル シーズン2』(‘25)、フジテレビ『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』(‘25)、TBS『スロウトレイン』(‘25)、『あのクズを殴ってやりたいんだ』(‘24)、映画では、『ROPE』(‘25)、『リライト』(‘25)、『六人の嘘つきな大学生』(‘24)などがあり、2025年11月公開予定の『平場の月』、2026年1月公開予定の『恋愛裁判』が控えている。
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©餡蜜/講談社 ©2025 映画「隣のステラ」製作委員会
タイトル:『隣のステラ』
原作 :餡蜜『隣のステラ』(講談社「別冊フレンド」連載)
監督 :松本花奈
脚本 :川滿佐和子
出演 :福本莉子 八木勇征 倉悠貴 横田真悠 西垣匠 田鍋梨々花 / 清水美砂 宮崎吐夢 紺野まひる / 野波麻帆 浜野謙太
主題歌 :FANTASTICS「いつも隣で」(rhythm zone)
公開日 :2025年8月22日(金)
コピーライト:©餡蜜/講談社 ©2025 映画「隣のステラ」製作委員会
※Team Credit
カメラマン:遥南碧
ヘアメイク:NOBUKIYO
スタイリスト:伊藤省吾(sitor)
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿