小野塚勇人
『MUSICAL INTERVIEW
~お願い、誰か僕を助けて~』
力強い“決意”を胸に
今、初挑戦の幕が上がる
Stage of FAST -Stage 21-
2020年は誰よりも自分と対話する時間が多かったように思う。急に訪れた環境の変化に驚き、その場に佇み、今まで自身が歩んできた道を振り返る日々を過ごした人も多いはず。「当たり前は当たり前ではない」分かっていたはずの事実を耳元で囁かれたような気すらする。そんな日常の停留を越え、新たに動き出した世界で「挑戦」の文字を掲げる戦旗。その旗を振る彼の瞳に映っているのは、誰でもない“自分自身”だ。「武器を増やす」と静かに語る彼の“初戦の火花”が散り乱れる、ミュージカルのお話。
『MUSICAL INTERVIEW
~お願い、誰か僕を助けて~』
(C)『ミュージカルINTERVIEW』制作委員会
<あらすじ>
愛する人に裏切られたショックから殺人を犯した一人の少年。彼は自らを罰するべく自死を選ぼうとするが、自らも知らないうちに記憶を改ざんし、死を逃れ、生き延びた。そして10年後。青年となった殺人犯の少年は記憶が蘇り、罪の意識から今度は連続殺人犯となっていった。2001年、ロンドンのとある小さい事務所のドアを叩く音…。ベストセラー推理小説『人形の死』の作家であるユジン・キム(松本利夫/丘山晴己※ダブルキャスト)の事務所へ、作家志望の青年シンクレア(糸川耀士郎/小野塚勇人※ダブルキャスト)が訪ねてくる。ユジンは、自殺を企てた連続殺人犯が書いた遺書を差し出し、シンクレアに物語を作ってみろと促す。そこから10年前の殺人事件の真犯人を探す2人の男の「インタビュー」が始まる。
<マット・シニア>
作家志望の青年・シンクレア
シンクレア × 小野塚勇人
台本を読んで「解離性同一性障害」を患っている、とても難しい役どころだと思いました。自分でもこの病気についていろいろと調べたんですが、脳の不思議といいますか…やっぱり難しくて。「解離性同一性障害」ではない人でも、やっていることと全然違うことを考えている時ってあるじゃないですか。例えばこうやってインタビューで話しながらも、「お腹すいたな」と思っている自分がいたり。そういったことってきっと誰しもにあることだと思うんです。それでも自分がバラバラにならないように保っているのが人間で。シンクレアはそれが全く別の人間となって表に現れてしまう青年なんですよね。
小野塚さんにとって初のミュージカル。
お話を聞いた時の感想をお願いします。
実は、昨年くらいから2、3本ほどミュージカルのオーディションを受けていて、自分の中で何となくミュージカルに対して縁を感じていたんです。今まで「ミュージカルをしたい」とは全然思っていなかったんですが、徐々に「挑戦してみようかな」という気持ちになってきていた時にこのお話をいただいて。韓国のリメイク版、そして男2人と女1人の3人芝居だと聞いて、正直「大変そうだな」と思ったのを覚えています(笑)。ただ、当たり前にできていたことができなくなってしまったコロナ禍で「俳優」という仕事を改めて見つめ直した時に、「難しさ」よりも「新しいことにチャレンジしたい」という気持ちが強くなってきて。「今だ!」というタイミングでお話を頂けて良かったと思っています。
ファンの皆さんとお会いするのも久しぶりですね。
そうですね。一昨年の『勇者のために鐘は鳴る』ぶりの舞台です。今回の劇場は前回の舞台よりもお客さんとの距離も近いので、より肌で演技を感じていただけるんじゃないかと思います。告知をしたら、この作品を知ってらっしゃる方が結構多くて。マツさん(松本利夫)や乃々華ちゃん(山口乃々華)などの顔ぶれを見て「LDHでミュージカルやるんだ」と、LDHの新たな挑戦にもワクワクしてくださる方が多かったです。
そんな初挑戦への意気込みをお願いします。
ミュージカルとなると、歌を芝居で表現しないといけないわけじゃないですか。何もかもが初めての僕にとっては表現の仕方すら分からない、まさにゼロの状態からのスタート。ザ・ミュージカルっぽくやったほうがいいのか、あくまで喋っているように歌ったほうがいいのか、など演出家さんと話し合って、いい具合に自分らしさを出していければいいな、と思っています。ユジン・キム役の丘山さん(丘山晴己)はすごく経験豊富な方なので、足を引っ張らないように頑張りつつ、学べるところはどんどん学んでいきたいです。そして個人的には、多重人格の役だからといって極端に子供っぽくやってみたり、女の子っぽくやってみたりするのではなく、一人ひとりの人格に深みを持たせることのできるお芝居をしたいな、と。それこそが今作の自分の勝負どころだと思っています。そういった意味でも歌以前に考えることがすごく多くて…10曲ぐらい歌を減らしてセリフに変えていただく提案はどうでしょうか(笑)?
お芝居に歌に盛りだくさんですもんね(笑)。
劇中の曲は韓国のものを?
そうです。韓国公演時の曲を日本語に変えて歌っています。韓国語の歌詞を日本語に変えているので、ボイトレの先生が「ミュージカルをやっている人でも難しい」とおっしゃるほど、歌うのが難しい曲が多いんです。初めて聴いた時、いきなり断崖絶壁の淵に立たされた気分でした(笑)。
お芝居に続いて新たな壁が…(笑)。
今年は「挑戦」というテーマでいくつもりだったんですけど、現れた壁がいきなり高かったです(笑)。でも裏を返せば、この作品を自分の中で腑に落ちるくらいまでモノにできれば自信もつくと思いますし、今後、またミュージカルをやる機会があった時にその自信が役に立つんじゃないかと思っています。
Message from ミュージカル
『INTERVIEW~お願い、誰か僕を助けて~』
こんなご時世にも関わらず劇場まで足を運んでくださった方々に、この作品の良さや世界観、シンクレアという役の持つメッセージなどをしっかりとお伝えできるよう、精一杯演じさせていただきます。そして、韓国のオリジナル版を知っている方には「日本でリメイクするとこうなるんだ」という2作品の違いを楽しんでいただきたいです。是非、楽しみにしていてください。
小野塚勇人
おのづか はやと
1993年6月29日生まれ。
滾る闘志を巧みに操る冷静さと、当意即妙な性合をユーモアの深層で隠し持つ27歳。
『MUSICAL INTERVIEW
~お願い、誰か僕を助けて~』
2021年3月24日(水)~4月4日(日)
品川プリンスホテル クラブeXにて上演
原作:チュ・ジョンファ 作曲:ホ・スヒョン
演出:田尾下哲
出演:Team RED…松本利夫/糸川耀士郎/伊波杏樹
Team BLUE…丘山晴己/小野塚勇人
/山口乃々華
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:笹和紗